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食後低血圧を知っていますか?


📖 文献情報 と 抄録和訳

高齢者における食後低血圧の有病率:系統的レビューとメタアナリシス

📕Huang, Lei, et al. "Prevalence of postprandial hypotension in older adults: a systematic review and meta-analysis." Age and Ageing 53.2 (2024): afae022. https://doi.org/10.1093/ageing/afae022
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

[背景・目的] 食後低血圧(postprandial hypotension, PPH)を有する高齢者は、転倒、失神、脳卒中、急性心血管病、さらには死亡に至る可能性が高くなる。しかし、この病態の有病率は研究によって大きく異なる。我々は、高齢者におけるPPHの有病率を明らかにすることを目的とした。

[方法] Web of Science、PubMed、Cochrane Library、EmbaseおよびCINAHLをその開始から2023年2月まで検索した。検索語には「食後期」、「低血圧」、「食後低血圧」を含む。適格な研究は、Joanna Briggs Instituteのツールを用いて評価した。メタアナリシスは、同様に選択された研究間で行われた。

[結果] 13の適格研究が含まれ、3,021人の参加者のデータがプールされた。メタ解析の結果、高齢者におけるPPH有病率は40.5%[95%信頼区間(CI):0.290-0.519]であり、地域(32.8%、95%CI:0.078-0.647、n=1,594)長期療養施設(39.4%、95%CI:0.254-0.610、n=1,062)病院の老年科(49.3%、95%CI:0.357-0.630、n=365)で有病率が高かった。プール結果は有意な異質性(I2>90%)を示したが、これは参加者の年齢、性別、食前収縮期血圧値の違い、あるいはPPHの診断に用いられた基準や方法の違いに部分的に関連していた。

[結論] PPHは高齢者に蔓延している疾患である。この結果を確認するためにはさらなる研究が必要であり、PPH診断基準に関する国際的なコンセンサスを確立し、その診断手順を設計することを優先すべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「血圧が高い(低い)、どうして?」
「運動したのに血圧が下がる、なんで?」
「ちょっとストレスイベントがあったから血圧が上がる、なぜ?」

血圧というのは、そこに関与する要因が非常に多く、複雑で、それが1個の結果(例えば収縮期血圧(SBP))として生じる。
その問いは、あたかも「どうして海の水質汚染が起こっているのですか?」のように難解だ。
その中で、血圧に関与する大きな影響の1つを知った。

それが、今回の抄読研究のテーマである『食後低血圧』である。
その仕組み(原因)も納得のできるものであり、今後、高齢者に起こった食後低血圧については少なくとも仕組みが不明だと嘆くことは無くなるだろうと思う。
加えて、食後低血圧の有無を入院時に確認しておくことで、リハビリテーション実施の至適時間が変わるかもしれない。
覚えておきたい症状である。

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