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椎体骨折患者の◯%が矢状面アライメント異常?


📖 文献情報 と 抄録和訳

腰部に限局した骨粗鬆症性椎体骨折は矢状アライメントに大きな影響を与える

📕Plais, Nicolas, et al. "Osteoporotic vertebral fractures localized in the lumbar area significantly impact sagittal alignment." Osteoporosis International (2023): 1-8. https://doi.org/10.1007/s00198-023-06936-y
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[背景・目的] 腰部骨折および/または腰部または胸腰部の多発骨折は、70歳以上の高齢患者における矢状不整の危険因子である。OVF (Osteoporotic vertebral fractures)の患者は骨折後に大きな代償能力を示すが、腰椎および腰椎骨折はより綿密なモニタリングが必要である。目的:骨粗鬆症性椎体骨折が高齢者の矢状アライメントに及ぼす影響を評価し、矢状面アライメント異常の危険因子を同定すること。

[方法] 慢性椎体骨折を起こした70歳以上で骨粗鬆症と診断された患者249人のコホートについて後方視的研究を行った。人口統計学的データとX線学的データを収集した。矢状面を解析するために全脊椎側面X線写真を入手した。骨折の数と部位により患者を分類した。Pearsonの相関係数を用いて、骨折の種類と矢状面アライメントの関係を評価した。

■ 矢状面アライメント異常の定義
・Sagittal vertical axis (SVA)
・仙骨上縁から引いた水平線と第7頚椎から引いた垂線との距離
・矢状面アライメントの異常を示す定義:SVA>65.8mm
※ SVAに加え, 骨盤傾斜, 腰椎前弯によるアライメント異常定義もあり

[結果] 249名の患者において合計673個の慢性骨折が検出され、1人当たりの平均椎体骨折数は2.7±1.9個であった。矢状面アライメント異常を有した者は41人 (16%)だった。

矢状面アライメント異常を示した集団においては、腰椎骨折を有する患者の過多(34%対11%)と胸椎骨折の過少(9%対34%)が報告された。また、腰椎または胸腰椎の骨折が3つ以上ある患者は矢状面アライメント異常のリスクが高いことが観察された。

[結論] 腰椎骨折および/または腰椎または胸腰椎部位の多発骨折は、70歳以上の高齢患者における矢状面不整の危険因子である。患者は顕著な代償能力を示すが、腰部および胸腰部における骨折はより綿密なモニタリングが必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「背が小さくなっちゃってね」
「骨折してから姿勢が悪くなったかな」

椎体骨折患者さんとの会話で、しばしば経験するところだ。
理論的に考えれば、「そうですよね」と思われ、毎回そう答えていた。
今回の抄読研究は、それを実際に確かめてみた、という研究だ。

それによれば、椎体骨折患者の「16%」だった。
この16%が高いのか、低いのか、それはわからない。
だが、おおよそ6人に1人は矢状面アライメント異常を示す、ということは1つの事実だ。
この研究において気になることは、「病前はどうだったの?」ということである。
もしかしたら、病前から姿勢アライメント異常を示していた可能性はある。
そう考えると、純粋に骨折によって異常の閾値を跨いだ者は、16%より少ないのかもしれない。
何にせよ、椎体骨折後の矢状面アライメント異常を最小限に防ぐ介入は、やはり必要だと思った。

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