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大腿骨近位部骨折後の地域理学療法。障壁と促進因子に関する理学療法士の見解


📖 文献情報 と 抄録和訳

大腿骨近位部骨折後の効果的なコミュニティ提供の障壁と促進要因に関する理学療法士の見解:英国における質的研究

📕Adams, Jodie, et al. "Physiotherapists’ perspectives of barriers and facilitators to effective community provision after hip fracture: a qualitative study in England." Age and Ageing 52.9 (2023): afad130. https://doi.org/10.1093/ageing/afad130
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[背景・目的] 目的:大腿骨近位部骨折後の効果的な地域医療提供に関する理学療法士の見解を調査すること。

[方法] イングランド全土の地域理学療法士17名を対象とした定性的な半構造化面接を実施した。Theoretical Domains Frameworkを用いた主題分析により、効果的な治療を実施するための障壁と促進要因を明らかにした。インタビューは、提案された介入が実施されている、および/または実施可能なケアのポイントを特定するために、ロンドンの1つの行政区におけるコミュニティ提供のプロセスマッピングによって補完された。

[結果]
■ 大腿骨近位部骨折後の地域理学療法提供に関する理学療法士の見解
コーディングツリー インタビューデータから、大腿骨近位部骨折後の地域理学療法提供に関する理学療法士の見解を4つの主要テーマに整理した65の初期テーマが明らかになった:
①非効率的なケアシステムの調整
②非効率的な理学療法の層別化
③不十分なスタッフの採用と維持アプローチ
④転倒後の恐怖回避行動による理学療法の進歩の阻害

赤は障壁、緑は促進要因、黄色は将来の構想を示している。

ケア連携を強化するために、参加者はソーシャルサービスや作業療法士へのアクセス改善、オンライン表記による多職種コミュニケーションの最大化、理学療法の役割拡大、整形外科特有の役割、7日間勤務などを提案した。参加者は、紹介を受けた患者を評価時に層別化し、適切に適合した介入を行うことの重要性を助言した。スタッフの確保と定着が不十分であることを緩和するために、参加者は、実践復帰の流れ、見習い制度、大学との連携、急性期と地域のローテーションの組み合わせ、求人広告の改善などを提案した。恐怖回避行動がリハビリテーションに及ぼす影響を軽減するために、参加者は、患者固有の目標の使用、患者と介護者の教育、心理的戦略に関するスタッフ教育、地域心理学者へのアクセスなどを提案した。ロンドンのある自治区のプロセスマッピングにより、障壁を克服するための介入案が実施されている、あるいは実施可能なケアポイントが特定された。

[結論] 理学療法士は、大腿骨近位部骨折後の地域理学療法の効果的な提供には、ケアコーディネーションの改善、層別化技術の活用、採用・維持戦略の強化、恐怖回避行動への対処が必要であることを提案する。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

在院日数がどうしてこんなに長いのですか?
我が国なら、もっと短い、どころか入院すらできない場合もある

論文の査読でしばしばつっこまれるポイントの1つだ。
日本の在院日数は長い…、だが医療費はひっ迫している。
自然、在院日数は短くすることが求められ、実際、現場にはある程度の在院日数短縮が求められている。
すると何が起こるか?
地域でのリハビリテーションが必要とされ、重要とされる。

ぼくは訪問リハをある時期経験していたので肌感覚でわかるのだが、訪問リハをはじめ地域リハは、まだまだ未開発、未整地の領域が大きい。
その分、自由度も大きいのだが、全体で統制された動きをして、質を担保するためには、ある程度の整地は必要になる。
そのときに大事になることは、整地すべき領域と障壁、促進因子の特定である。
今回の抄読研究は、まさにこの部分に貢献できる情報を示してくれた。
ご丁寧に将来構想まで添えて。
膨大な量だ、図を和訳するのに、なかなか骨が折れた。

だが、これが来るべき日の地図になるはずと信じている。
そして、来るべき日は、もう来ているのだ、多分。

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