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Hip Fracture。世界的な疫学, 発生要因

📖 文献情報 と 抄録和訳

大腿骨近位部骨折の世界的負担:世界疾病負担調査

📕Feng, Jing-nan, et al. "Global burden of hip fracture: the global burden of disease study." Osteoporosis International (2023): 1-12. https://doi.org/10.1007/s00198-023-06907-3
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🔑 Key points
🔹本研究は、1990年から2019年までの204の国と地域にわたる55歳以上の患者における大腿骨近位部骨折の世界的負担を測定した初めての研究である。
🔹我々の研究は、大腿骨近位部骨折の世界的負担が依然として大きいことをさらに証明した。
🔹男性の大腿骨近位位部骨折はおそらく過小評価されており、高齢者はより注目されるべきである。

[背景・目的] 大腿骨近位部骨折は普遍的な公衆衛生上の大きな課題であるが、高齢者の大腿骨近位部骨折の発生率および負担に関する最新の包括的かつ比較可能な評価は世界の大部分において存在しない。

[方法] Global Burden of Diseases(GBD)2019のデータを用いて、1990年から2019年までの55歳以上の患者における204の国と地域の大腿骨近位部骨折の発生率、有病率、障害とともに生きた年(YLD)の数と率を推定した。

[結果] 2019年、55歳以上の患者における大腿骨近位部骨折の発生率、有病率、YLDs率は、人口100000人あたり681.35(95%UI 508.36-892.27)(1990年から24.00%増加)、人口100000人あたり1191.39(95%UI 1083.80-1301.52)、人口100000人あたり130.78(95%UI 92.26-175.30)であった。この30年間で、60歳未満の罹患率は減少傾向を示したが、高齢者では急激な増加傾向を示した。女性の大腿骨近位部骨折の数と率はいずれも男性より高く、年齢とともに増加し、最も高い年齢層で最も高い数と率を示した。特筆すべきは、55歳以上の罹患率の男女比が1990年の0.577から2019年には0.612に増加していることである。

55歳以上の患者における大腿骨近位部骨折の発生パターンは、場所によって大きく異なっていた。2019年に最も高かったのはクロアチア、スロベニア、スイスの3カ国・地域だった。

転倒は男女ともに、またすべての年齢層で主要な原因であった。

[結論] 55歳以上の患者における大腿骨近位部骨折の発生率および数は過去30年間で増加しており、股関節骨折の世界的な負担が依然として大きいことを示している。男性の大腿骨近位位部骨折はおそらく過小評価されており、高齢者はより注意を払うべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

大腿骨近位部骨折は、高齢の女性で最も多い疾患です。

これは常識的に知っていることである。
しかし、その部分が少しずつ変化していることを今回の研究から知った。
骨折発生率の男女比において、男性の割合が次第に増えてきているというのだ。
まだ肌感覚では感じたことはないが、今後、男性の大腿骨近位部骨折患者が、少しずつ増えてくるのかもしれない。

また、地域差も気になった。
一見すると、赤道から離れるほど、発生しやすいのかな、という印象を受ける。
骨折は、冬期に多い。
それは色々な要因によるのだろうけれど、とにかく気温が低いと発生率が高まりやすいことはあるのかなと妄想した。
大腿骨近位部骨折の最新の疫学。
普段から、最もよく接するといってもいい疾患だけに、よく学びたい。

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