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脳卒中者のAFO装着×歩行バイオメカニクス


📖 文献情報 と 抄録和訳

脳卒中片麻痺患者におけるトレッドミル歩行時の歩行パターンと時空間指標に対する足関節装具の効果

📕Ohtsuka, Kei, et al. "Effects of ankle-foot orthosis on gait pattern and spatiotemporal indices during treadmill walking in hemiparetic stroke." International Journal of Rehabilitation Research 46.4 (2023): 316-324. https://doi.org/10.1097/MRR.0000000000000602
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[背景・目的] 足関節装具(ankle-foot orthosis, AFO)は、片麻痺患者の異常な歩行パターンを矯正し、歩行の安定性と速度を改善することが知られている。脳卒中後の歩行におけるこれらの利点を定量化するために、歩行パターンの3次元動作解析が行われた。

[方法] 片麻痺患者40名が登録された。三次元動作解析システムを用いて、AFOを装着した/装着していない患者のトレッドミル歩行を解析した。アウトカム指標は、12の異常歩行指標(前足部接地、膝伸展スラスト(膝ロッキング?)、臀部後退、膝屈曲歩行、立脚相内側ホイップ、ぶん回し歩行、骨盤挙上、遊脚相膝屈曲不足、 体幹の過度な側方移動、伸び上がり歩行、過度な股関節外旋、骨盤後傾)、運動学的データと時空間指標を用いて算出し、複立と単立の時間と歩幅の対称性指標を算出した。

[結果] 前足部接地(AFOなし対AFOあり:71.0対65.8、P<0.001)ぶん回し歩行(65.0対57.9、P<0.001)伸び上がり歩行(78.2対72.2、P=0.003)は有意に減少したが、過度の股関節外旋(53.7対62.8、P=0.003)はAFO装着歩行中に有意に増加した。骨盤挙上(77.1 vs 71.7)は、AFO使用によりわずかに減少した(P = 0.096)。二重立脚時間の絶対対称指数(21.9 vs. 16.1, P = 0.014)は、AFO装着歩行中に有意に減少した。

[結果] AFOは片麻痺歩行に典型的な異常歩行パターンを効果的に緩和する。臨床志向の指標を備えた3D動作解析システムは、歩行異常に対する介入効果の評価に役立つ。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

AFOを装着することの大まかな利得、それはしばしば目にする。
歩行速度増大、ADL自立度・・・。
だが、もう1次元階段を降りてみると、どうだろう。
具体的に、AFOが歩行バイオメカニクスのどの部分に、どのように貢献しうるか。

今回の抄読論文は、まさにその部分に切り込んだ貴重な研究といえる。
そして、その示され方も、代表的な12の異常歩行をダイヤグラムに、という非常にわかりやすいものだった。
その結果、代表的な異常歩行において3つはAFOにおいて改善しうることが明らかになった。

意外だったのは、過度な股関節外旋は、AFOの装着によってむしろ助長される、という事実。
考察の中では、足指MTP関節の伸展方向への運動がAFO装着によって阻害される影響では、と述べられていた。
そうだとすると、AFOを装着していて、過度な股関節外旋が出現している患者は、もしかしたら足指部分のAFOカッティングが適応になるのかもしれない、と思った。
何にせよ、具体的に影響を考えると、それに対するOne on Oneの対策が見えてくる。
理解の解像度を、もっともっと上げていかなければと感じる、今日この頃である。

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