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正直さの健康ベネフィット

📖 文献情報 と 抄録和訳

善であること、善を行うこと。健康に対する正直さと誠実さの役割

Weziak-Bialowolska, Dorota, Piotr Bialowolski, and Ryan M. Niemiec. "Being good, doing good: The role of honesty and integrity for health." Social Science & Medicine 291 (2021): 114494.

🔗 DOI, PubMed, Google Scholar

🔑 Key points
- 健康に対するCSHI(Character Strength of Hony and Integrity)の役割を検証しています。
- CSHIは、その後の身体的および精神的な健康結果の有意な予測因子であった。
- CSHIは、その後の日常機能のアウトカムと有意に関連している。
- CSHIは健康長寿を促進する因子である可能性がある。

[背景・目的] 性格の強さなどの心理的特性は、幸福に好ましい役割を果たし、うつ病のリスクを低減する可能性がある因子として、実験研究において既に確立されています。また、性格の強さと体力、自己申告による身体的・精神的健康との間にも正の相関があることが報告されている。しかし、正直で誠実な性格の強さ(CSHI)がその後の健康アウトカムや日常機能を形成する役割について、大規模な疫学的データによる証拠は、まだ検討されていない。

[方法] 我々は、正直さと誠実さという性格の強さが、6つの身体的健康アウトカム、2つのうつ病アウトカム、2つの日常機能アウトカムと前向きに関連しているかどうかを調べた。9813人の高齢者から得たHealth and Retirement Studyのデータを使用した。

[結果] 4年間の追跡期間後、CSHIのスコアが最も低い人と比較して、3番目の三分位のスコアの参加者は、肺疾患のリスクが18%低く(RR = 0.824; 95% CI = 0.732; 0.927)、うつ病のリスクが11%低い(RR = 0.891; 95% CI = 0.806; 0.986)ことが明らかになった。また、移動の制限が少なく(β = -0.048; 95% CI (-0.089; -0.008))、日常生活の手段的活動の困難さが少ない(β = -0.088; 95% CI (-0.128; -0.047))ことも報告された。

[結論]これらの関連は,人口統計学,以前の社会経済的状況,心理的要因,健康状態,健康行動とは無関係であった.政策立案者や実務家は、正直さや誠実さという人格的強さを、健康長寿を促進し、身体的不活発になるリスクを抑え、身体的・精神的疾患のリスクを低減する要因として考慮することができるだろう。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

自ら省みて直ければ、千万人と雖も吾住かん
孟子

大好きな言葉だ。
正直さ、誠実さ、自分に嘘をつかない大切さ。
古今東西の哲学において、幾度となく、繰り返しく伝えられてきた。
その正直さに、大きな健康ベネフィットがあることが示唆された。
なぜなのだろう?

個人的な体験記。
嘘つくと、めっちゃ疲れる。
そして、過食に走りやすい。
その上で、泥のように長く眠る。
目覚めも悪い・・・。
そりゃ、健康上の弊害も大きいだろう、と思う。

誤差仮説、というものを考えてみた。
たとえば、新年度。新規な環境、新しい職場、新しい職員。
これらは、共通して、疲れる、ストレスである(もちろんポジティブもある)。
既知情報とのギャップ=ストレス、というわけだ。その前提に立って話を進める。
嘘をつく、という行為は既知情報とのギャップである。
すなわち、自分の中で誤差が生まれ、それがストレスとなる。

つまり、何を帰結に置くか、だと思う。
相手の望むこと、成功に帰結を置きすぎると、嘘をつくしかなくなってしまう。

例.
この書類、ちゃんと見直したの?
ええ。3回。(嘘である)

相手の望むこと、成功にはフィットする答えかもしれない。
でも、自分のなかの真実とはギャップがある。
面白いのは、相手にも、案外そのギャップが伝わってしまうことだ。
なぜなら、書類は3回見直した質になっていない、現実が有言に伝えてしまうから。

大切なマインドセット。
相手の望むこととのギャップはあるかもしれない。
でも、自分とのギャップはない。

こんな感じの帰結、自分の中の真実だけを道として、歩む。
成功でも、失敗でもいい、それが現実。
現実をそのまま享受して、そこからの成長をつくる。

禅の言葉で、『二念を継がない』というものがある。
これは、「目の前で起こったことを、ありのままにとらえる」という意味。
『一念(最初に湧いてきた思考)』の後に『二念(自分の主観的な意見や解釈)』をつけない、ということ。
『二念を継がない』人生には、健康ベネフィットがある。
正直を選択する、大きなインセンティブとなろう。

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