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BMI × 死亡リスク。フレイルの有無で関係性が変わる


📖 文献情報 と 抄録和訳

フレイルは高齢者における肥満度と死亡率の関連を修正する: 京都・亀岡研究

📕Watanabe, Daiki, et al. "Frailty modifies the association of body mass index with mortality among older adults: Kyoto-Kameoka study." Clinical Nutrition (2024). https://doi.org/10.1016/j.clnu.2024.01.002
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[背景・目的] フレイルのある高齢者とない高齢者における体格指数(BMI)と死亡率との関連については、依然として不明な点が多い。本研究では、フレイルの有無にかかわらず、地域在住の高齢者を対象にこの関連を調査した。

[方法] この前向き研究は、日本の京都・亀岡研究においてベースラインの郵送調査アンケートに有効な回答を得た65歳以上の成人10,912人を対象とした。BMIは自己申告の身長と体重に基づいて算出され、4つのカテゴリーに分類された: <18.5、18.5-21.4、21.5-24.9、≥25.0kg/m2。フレイルは有効なKihon Checklistを用いて評価し、25点満点中7点以上と定義した。死亡率データは2011年7月30日から2016年11月30日まで収集した。多変量Cox比例ハザードモデルを用いて全死因死亡のハザード比(HR)を算出した。

[結果] 追跡期間中央値5.3年(54,084人年)の間に1352人の死亡が記録された。生活習慣や病歴などの交絡因子を調整した後、BMIが21.5~24.9kg/m2の参加者と比較すると、BMIが低いカテゴリーの参加者は死亡率のHRが高く、BMIが高い参加者は死亡率との関連が逆であった(<18.5kg/m2:HR:1.85、95%信頼区間[CI]: 1.58-2.17;18.5-21.4kg/m2:HR:1.38、95%CI:1.21-1.58;25.0kg/m2以上:HR:0.80、95%CI:0.67-0.96)。

■フレイルの有無によるBMI×死亡リスク関係性の違い
・フレイルの高齢者:BMIが高ければ高いほど死亡リスクが大きく下がった。
・フレイルでない高齢者:BMIが23.0–24.0 kg/m2で最も死亡リスクが低い値となった。

[結論] BMIと死亡率の関係は、フレイルの有無によって異なり、フレイルのある人はない人に比べてBMIが高い方が有益である可能性がある。本研究は、高齢者の死亡リスクを最も低くするための最適なBMIを検討する際には、フレイルを評価すべきであることを示唆している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

BMI×死亡リスクの関係性は、フレイル者において『線型』、非フレイル者において『U字型』を示した。
それぞれの関係性の違いによって、指導方法が変わってくる。

フレイル者の場合には、線型の関係性だったため、体重が大きければ大きいほど死亡リスク低下には有益だ。
そのため、(死亡リスク低下だけを考えた場合なので極端になる)指導の声掛けとしては「とにかくたくさん食べて体重を大きくして下さい。大き過ぎる分には問題は少ないです」というものになる。

一方で、非フレイル者の場合、U字型の関係性なので、BMIにおける正解は1つの領域になる。
そのため、指導の声掛けとしては「BMIが23〜24になるように体重を調整していきましょう。それ以上でも、それ以下でも死亡リスクは高まります」というものになる。
それにしても、関係性の種類自体が変わってしまうとは。
改めて、フレイルは患者の層別化において重要な因子だと感じた。

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