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日本の医療従事者。がん悪液質ケアに対する障壁


📖 文献情報 と 抄録和訳

日本の医療従事者におけるがん悪液質に対する職種間ケアの障壁:全国調査

📕Naito, Tateaki, et al. "The barriers to interprofessional care for cancer cachexia among Japanese healthcare providers: a nationwide survey." Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle (2023). https://doi.org/10.1002/jcsm.13384
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[背景・目的] がん悪液質は進行した悪性腫瘍の重篤な合併症であり、治療選択肢はほとんどない。がん悪液質に対する専門職間ケアを推進するためには、医療従事者のニーズに詳細に対応する必要がある。このGlobal Educational Needs Evaluation: a systemic interprofessional study in cancer cachexia(GENESIS-CC)調査の事前に計画されたサブグループ解析は、日本におけるがん悪液質の専門職間ケアの障壁を明らかにすることを目的とした。

[方法] 2021年1月から3月にかけて、日本のがん診療連携拠点病院または一般医療施設の医療従事者を対象に、全国規模の電子調査を実施した。日本地域アドバイザリー委員会は、(1)自信の欠如、(2)知識不足、(3)個人的実践における障壁、(4)認識における障壁、(5)チーム実践における障壁、(6)教育における障壁の6つの領域の障壁を定量化するために、オリジナルの調査項目58項目から33項目を用いて障壁スコアリングシステムを開発した。バリアスコアの最大値は100点とした。職業別に得点を比較した。

[結果] 医師302名(24.6%)、薬剤師252名(20.5%)、看護師236名(19.2%)、管理栄養士218名(17.8%)、リハビリテーションセラピスト193名(15.7%)、その他26名(2.0%)から合計1227名の有効回答を得た。全体として、460人(37.5%)ががん悪液質ケアについてあまり自信がない、または全く自信がない、791人(84.1%)がケアは診療報酬の有無に影響されることに同意または強く同意する、774人(81.9%)ががん悪液質を必須カリキュラムとしていない、であった。障壁スコアの平均値(±標準偏差)が最も大きかったのは教育で63.7±31.3、次いでチーム実践で55.6±21.8、知識で43.7±32.5、認識で42.8±17.7、個人的実践で36.5±16.7であった。すべての領域で統計学的に有意な職種間差がみられ(P < 0.05)、特に薬剤師と看護師はほとんどの領域で最高得点または2番目に高い得点であった。

[結論] 多くの日本の医療従事者、特に薬剤師と看護師に対して、がん悪液質に関する教育システムとチーム実践を改善する必要がある。本研究は、日本におけるがん性悪液質に対する専門職間のケアを促進するために、がん性悪液質に関する義務教育カリキュラムおよび診療報酬制度を改革する必要性を示唆する。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前、悪液質の診断基準についての文献抄読をした。

その際に、今後の課題として以下のようなことを考察した。

そして、これから探るべきは、
(1) それでも良くできる領域はどこなのか?、また効果的な介入方法とは何か?
(2) よくできない領域はどこなのか?、その場合に求められる介入方法とは何か?
この両輪をぐるぐると回しながら、漸進していきたい、もがきたい。

しかしながら、課題はもう少し前にあったようだ。
そもそも、悪液質ケアというものに対する医療者の認識はどのようになっているか?
それを知らなければ、臨床現場での実践に際して、何を具体的に行なっていけばいいのかがわからない。
どんなに効果的な治療方法やケアの方法が開発されたとしても、それは現場の医療者を通じて臨床実践に結実するのだから。

今回の研究はまさにその部分に光を当てた研究だ。
そして、臨床現場スタッフが特にがん悪液質ケアに対して障壁だと感じている領域が『教育』であることが明らかになった。
確かに、がん悪液質に対しての臨床現場単位での教育、というものを受けたこともないし、聞いたこともない。
次の漸進は、この領域にあるのかもしれない。

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