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サルコペニアに対するビタミンD補給の効果


📖 文献情報 と 抄録和訳

サルコペニアに対するビタミンD補給に関する最新の研究:臨床試験のレビュー

📕Kressel, Heidi, and Antonios Matsakas. "Current Research on Vitamin D Supplementation against Sarcopenia: A Review of Clinical Trials." International Journal of Sports Medicine (2023). https://doi.org/10.1055/a-2116-9240
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[背景・目的] ビタミンDは骨格筋の機能と代謝に重要な役割を果たしている。本総説の目的は、A)非サルコペニア者のサルコペニア予防におけるビタミンD補給の単独または他の戦略との併用に関する臨床的エビデンスを検討すること、B)ビタミンD欠乏症のないサルコペニア者の筋力、筋量、筋機能に対するビタミンDと他の戦略との併用効果に関する臨床的エビデンスを批判的に検討することである。

[方法] PubMed検索により、タイトルと抄録をスクリーニングしてN=591の記録を特定した。この段階でN=522の記録が除外された。N=69の論文で全文が評価され、この時点でN=52の記録が除外された。このレビューでは、組み入れ基準に適合した18の研究が組み入れられた。

[結果] サルコペニアでない人を対象としたまばらな臨床データによると、ビタミンD単独では、880~1600IU/日の投与で、握力や筋量を改善することなく、膝伸展筋力にわずかな有益な効果を示す。タンパク質など他のサプリメントと併用すると、6~12週間にわたり800~1,000IU/日を投与した場合、混合効果により筋肉量の減少が抑制され、非サルコペニア者のサルコペニアの発症を遅らせる可能性がある。サルコペニア患者では、ビタミンD 100~1,000IU/日をタンパク質と同時に摂取すると、握力が9.8~40.5%増加した。しかし、ビタミンDの投与量と筋力や筋量の変化が相関するという強い臨床的証拠はない。

[結論] 研究間で食い違いが生じる可能性のある原因について考察した。サルコペニアに対するビタミンDの正味の効果を明らかにするためには、適切な実験デザインを用いた今後の研究が不可欠である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「最近注目のビタミンといえば?」

そう聞かれたならば、必ずビタミンD、と答えるだろう。
それくらい、ビタミンDに関する研究報告は増えている。
あらゆるアウトカムとの関連が報告され始めている。

少し前までは、「ビタミンD?ああ骨にとって重要な、ね」という感じだった。
だが、ビタミンDの効果は、それだけではなさそうなのだ。

✅ ビタミンDの威力に関するミニレビュー
・早期の死亡リスクを低減する(📕Sutherland, 2022 >>> doi.)
・転倒や骨折のリスクを低減(📕Iuliano, 2021 >>> doi.)
・脳血管疾患リスクの低減(📕Tanno, 2021 >>> doi.)
・認知機能・認知症リスクの低減(📕Tessier, 2021 >>> doi.)
・筋力/筋量を維持しサルコペニア発症リスク低減(📕Mizuno, 2022 >>> doi.)

今回のレビュー論文は、この最後の効果について、筋力と筋量に対するビタミンD補給の効果を検証した。
結果としては、わずかな効果を認める可能性はあるが、全般としてビタミンD補給と筋力、筋量の相関は認めない、というものだった。
だが、現時点で相関関係を認めていないだけで、これから研究数が増えていく中で、効果が明らかになっていくかもしれない。
今後も、目が離せないビタミンD、である。

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