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超加工食品の弊害

📖 文献情報 と 抄録和訳

超加工食品への暴露と有害な健康結果:疫学的メタアナリシスの包括的レビュー

📕Lane, Melissa M., et al. "Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses." bmj 384 (2024). https://doi.org/10.1136/bmj-2023-077310
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✅ 前提知識:超加工食品とは?
・「超加工食品」とは、糖分、塩分、脂肪を多く含む加工済みの食品のこと。主に硬化油・添加糖・香味料・乳化剤・保存料などの添加物を付与して、工業的過程によって作られる。
<食品の分類方法である「NOVA分類」>
・未加工または最小限加工された食品(グループ1):自然のままの食品や、洗浄、乾燥、冷凍など最小限の加工が施された食品。例えば、果物、野菜、肉、魚、卵、はちみつなど。
・加工された食品(グループ2):グループ1の食品に塩や砂糖などが加えられ、保存性を高めたり風味を付けたりするために加工された食品。例えば、塩漬けの野菜、果物のシロップ漬け、濃縮還元でない無糖の果物ジュースなど。
・加工食品(グループ3):2つ以上の種類の食品を組み合わせて作られた食品で、通常は自宅で調理するための食材として使用される。例えば、加糖の果物ジュースや野菜ジュース、加糖ヨーグルトなど。
・超加工食品(グループ4):工業的な製造過程を経て作られ、多くの添加物が含まれた商品。通常、5つ以上の食材が含まれている。具体的な例としては、ポテトチップス、菓子パン、カップ麺、クッキー、ビスケット、冷凍ピザなどがある。

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[背景・目的] Nova食品分類システムで定義される超加工食品への曝露と健康上の有害転帰との関連に関する既存のメタ解析的証拠を評価すること。

[方法] デザイン:既存のメタアナリシスの系統的包括的レビュー。データ情報源 MEDLINE、PsycINFO、Embase、Cochrane Database of Systematic Reviews、および2009年から2023年6月までの参考文献リストの手動検索。研究選択の適格基準 コホート研究、症例対照研究、および/または横断研究デザインの系統的レビューおよびメタ解析。エビデンスの信頼性を評価するために、事前に規定されたエビデンスの分類基準を適用し、説得力のあるもの(「クラスI」)、示唆に富むもの(「クラスII」)、示唆に富むもの(「クラスIII」)、弱いもの(「クラスIV」)、またはエビデンスなし(「クラスV」)として格付けした。エビデンスの質は、GRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development, and Evaluations)の枠組みを用いて評価し、「質が高い」、「中等度」、「低い」、「非常に低い」に分類した。

[結果] 検索により、13の用量反応関連と32の非用量反応関連を含む45のユニークなプール解析が同定された(n=9 888 373)。全体として、超加工食品への暴露と、死亡率、がん、および精神、呼吸器、心血管、胃腸、代謝の健康転帰にまたがる32(71%)の健康パラメータとの間に直接的な関連が認められた。

■ 説得力のあるエビデンス(クラスI)
・事前に規定されたエビデンスの分類基準に基づくと、説得力のあるエビデンス(クラスI)により、超加工食品への暴露が多いことと心血管疾患関連死亡の発症リスクが高いこととの直接的な関連が支持された(リスク比1.50、95%信頼区間1. 37~1.63;GRADE=非常に低い)
・また、2型糖尿病(用量反応リスク比1.12、1.11~1.13;中等度)、ならびに有病不安アウトカム(オッズ比1.48、1.37~1.59;低い)および複合一般精神障害アウトカム(オッズ比1.53、1.43~1.63;低い)の高リスクが支持された。

■ 示唆性の高い(クラスⅡ)エビデンス
・示唆性の高い(クラスⅡ)エビデンスは、超加工食品への曝露が多いほど、全死因死亡の発生リスクが高いこと(リスク比1.21、1.15~1.27;低い)、心臓病関連死亡(ハザード比1.66、1.51~1.84;低い)、2型糖尿病(オッズ比1. 40、1.23~1.59;非常に低い)、抑うつ転帰(ハザード比1.22、1.16~1.28;低い)、さらに睡眠関連の有害転帰の有病リスク(オッズ比1.41、1.24~1.61;低い)、喘鳴(リスク比1.40、1.27~1.55;低い)、肥満(オッズ比1.55、1.36~1.77;低い)が高かった。

残りの34のプール解析のうち、21は示唆的または弱い強さ(クラスIII~IV)と評価され、13はエビデンスなし(クラスV)と評価された。全体として、GRADEの枠組みを用いると、22のプールされた解析が低品質と評価され、19が非常に低品質、4が中品質と評価された。

[結論] 超加工食品への暴露が多いほど、有害な健康アウトカム、特に心代謝、一般的な精神障害、死亡アウトカムのリスクが高いことと関連していた。これらの知見は、人々の健康増進のために、超加工食品への食事暴露を目標とし、それを減らすための集団ベースの公衆衛生対策を開発し、その有効性を評価する根拠を提供するものである。また、緊急のメカニズム研究にも情報を提供し、その裏付けとなる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

カップラーメン、ポテチ、ハンバーガー。
彼らは、なぜあんなにも美味しく感じるのだろうか。
僕は、これらの食品が大好きで、休日の前には必ずカップラーメン&ポテチを食べていた。
そして、ある日、「動悸」が起こったのである。
ぼくは、結構運動はしていて、睡眠としても規則正しい方だ。
そんな僕に、動悸が起こるなんて、おかしい!

「もしかして、カップラーメン & ポテチ?」
そう思い、決死の覚悟で、これらをやめてみた。
そして1ヶ月くらい経ったとき、動悸がほとんど治ったのである。
それ以来、バイアスかもしれないが、超加工食品に対しては強く危険性を感じるようになった。
今回の抄読研究は、その信念がバイアスではないかもしれないと思わせてくれる論文だった。
超加工食品のメタ解析のレビューで、その結果、心血管疾患関連の死亡と直接的な関連が認められた。
超加工食品は、ほどほどにしておいた方がいい。

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