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牧水 by 俵万智さん

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記事一覧

【牧水の恋の歌】⑫最終回

わが戀の終(をは)りゆくころとりどりに初(はつ)なつの花の咲きいでにけり  結婚もしてい…

俵万智
3年前
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【牧水の恋の歌】⑪わが妻は

わが妻はつひにうるはし夏たてば白き衣(きぬ)きてやや痩せてけり  雑誌「新声」の明治四十…

俵万智
3年前
107

【牧水の恋の歌】⑩小鳥より

小鳥よりさらに身かろくうつくしく哀(かな)しく春の木の間ゆく君  木々の間をゆく恋人の姿…

俵万智
3年前
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【俵万智の一首一会⑧】ホスト万葉集から

「ごめんね」と泣かせて俺は何様だ誰の一位に俺はなるんだ  手塚マキ  二年ほど前から、一…

俵万智
3年前
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【牧水の恋の歌】⑨君かりに

君かりにかのわだつみに思はれて言(い)ひよられなばいかにしたまふ  「わだつみ」は海の神…

俵万智
3年前
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【牧水の恋の歌】⑦海哀し

海哀(かな)し山またかなし酔ひ癡(し)れし戀のひとみにあめつちもなし  最愛の女性小枝子…

俵万智
4年前
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【牧水の恋の歌⑥】君を得ぬ

君を得ぬいよいよ海の涯(はて)なきに白帆を上げぬ何のなみだぞ  思いつづけていた人と、やっと結ばれた牧水。心は惹かれあっているのに、なぜか体の関係を拒みつづけてきた小枝子が、年末年始の旅行を承諾してくれたのだ。二人は、千葉の根本海岸で明治四十一年の初春を迎えた。感慨と感激と感動と。まさに三つの感極まる歌と言っていいだろう。  君を得た! という初句の簡潔な言い切りが印象的だ。『万葉集』の「われはもや安見児(やすみこ)得たり皆人の得難にすとふ安見児得たり 藤原鎌足」(私は安

【牧水の恋の歌⑤】「さびしさ」

あひもみで身におぼえゐしさびしさと相見てのちのこの寂しさと  会えなくて感じていた寂しさ…

俵万智
4年前
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【牧水の恋の歌④】「吾木香(われもこう)」

吾木香すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ   吾木香もススキも刈萱も、見た…

俵万智
4年前
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【牧水の恋の歌③】 「秋立ちぬ」

秋立ちぬわれを泣かせて泣き死なす石とつれなき人恋しけれ  明治四十年に詠まれた一首。小枝…

俵万智
4年前
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【牧水の恋の歌②】「白鳥」

白鳥は哀しからずや空のあを海の青にも染まず漂よふ 若山牧水  牧水の作品でもっとも有名な…

俵万智
4年前
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【牧水の恋の歌①】「樹蔭」

海見ても雲あふぎてもあはれわがおもひはかへる同じ樹蔭(こかげ)に 若山牧水  作者は旅の…

俵万智
4年前
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