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システムズアプローチ関連

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システムズアプローチに関する記事をまとめたマガジンです。
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記事一覧

コンテクストを活用した見立て

本文
1. 語り手の語る現象を時系列(現象前、現象中、現象への対応、対応後、などの時間軸の区切りを設定する)で捉えなおし、事実として何が起きたのかを見立てる。

2. 現象はどのような状況で、どのように始まり、どれくらいの量と質で、どのように終わったのかを見立てる。

3. その現象を話し手がどのように捉えているか(枠組み/フレーム)を見立てる。

4. 現象を変数と変数の関係として見立てる(現象

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システムズアプローチを実践する上で大切なポイントを検討する

はじめに
 本論では、筆者が考えるシステムズアプローチを実践する上で大切なポイントをいくつかあげて検討していくことを目的としたいと考えています。その中で、システムズアプローチの実際の面接のイメージや、学習していく上で大切なポイントを記述できればと考えています。

①なぜ観察が大切なのか
 まずシステムズアプローチでは人間関係の変化の促進を目的としていることもあり、セラピストは面前のコミュニケーショ

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①ジョイニング過程について

はじめに
 家族療法やシステムズアプローチでは、来談者と家族からなる、家族システムを対象としています。そこへセラピストが合流して治療システムを形成していくことで、セラピストは家族システムと治療システムという複眼的観察(東,2018)を活用しながら面接を進めていきます。
 また、個人の内界を対象としてきた多くの精神療法や心理療法とは異なり、個人間の相互作用やとその関係を対象としている家族療法やシステ

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②情報収集過程について

はじめに
 システムズアプローチでは、来談者と家族といった家族システムに合流しながら、これからの面接の基本となる情報を集める必要があります。この時、面接者は、家族システムを外部から観察する立場に置きながらも、実際には自らも家族システムに関わりながら内側から観察しているという治療システムの中の関与者の立場に置かれます。
 こうした実践を、吉川(2013)は、“システムズアプローチは、外部観察という視

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③仮説設定過程について

はじめに
 システムズアプローチでいう仮説とは、セラピストが面接の中で何気無く思ったこと、ふと考えたというレベルものから、相互作用やパターンを把握するために集めた情報、家族システムの動きに対する大雑把な見立て、相互作用やパターンから推測されるニーズ・期待や希望、変えやすいところと変えにくところ、来談者と家族がすでに持っての能力や資源(SFAでいうのリソース)のアセスメント、セラピストと来談者や家族

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④介入の下地作り過程について

はじめに
 システムズアプローチの下地作り過程とは、治療的な介入(働きかけ)を行う前に小さな差異や変化を積み重ねて、治療的な変化のための文脈や状況設定(下地)を作ることだといえます。介入の下地づくり過程で重要なのは、セラピストが介入(働きかけ)を行う前に、セラピストと来談者や家族とのやりとり(相互作用やパターン)の中で、治療的な文脈を構成しておくことだといえます。
 会話における話題は文脈(コンテ

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⑤治療的介入過程について

はじめに
 システムズアプローチの治療的介入過程では、これまでの面接過程で形成された治療システムのコンテクスト(状況・場面設定・関係性・背景・文脈など)がどのようなものかで、介入方法が変わってくると考えます。そこで重要となるのが、介入の下地作り過程であり、文脈構成(吉川,2012)という考え方になります。
 また、吉川(2012)は、“文脈構成という基本的技法の獲得ともに、治療における介入過程

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⑥継続または終結過程について

はじめに
 これまで、システムズアプローチの面接過程を順番に追ってきましたが、いよいよ最後の継続・終結過程になります。面接の目的が未だ達成されていない場合は変化を持続したり、増幅していく継続過程となり、同様の面接過程を繰り返すことになります。また、問題が解消したり、面接の目的が達成された場合は面接は終結し適切な状態で治療システムも解消されることになります。場合によってはフォローアップ面接ということ

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システムズアプローチの学び方

本題に入る前の長い前置き
 システムズアプローチでは、起きている事象や問題をかたまり(システム)としてみるということはご存知だと思います。このようなシステム論や、同時期に現れたサイバネティックスと呼ばれる理論を背景にしていますが、これらについて詳しく触れられることはあまりありません。また、これらの理論を実際のセラピーでどのように活用するかも手がつけづらいところがあるかと思います。

 勉強会でも家

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家族療法の年表

1940年代
1945年 フォン・ベルタランフィが一般システム論を提唱
1946年 メイシー会議が開催(年1回開催され1955年まで続きサイバネティクスや心理学などの発展へ関与、ノーバート・ウィナー、フォン・ノイマン、マーガレット・ミード、グレゴリー・ベイトソン、エリク・エリクソンらが参加)
1948年 ウィナーが「サイバネティクスー動物と機械における制御と通信の理論」を発表

1950年代(※家

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家族療法とシステムズアプローチの文献リスト

★家族療法の入門に適した文献
「はじめての家族療法」浅井伸彦編著・松本健輔著・坂本真佐哉監修 北大路書房
「マンガでわかる家族療①:親子のカウンセリング編」東豊 日本評論社
「マンガでわかる家族療法②:大人のカウンセリング編」東豊 日本評論社

★学術的にまとめられた文献
「臨床家のための家族療法リソースブックー総説と文献105」日本家族研究・家族療法学会編 金剛出版
「家族療法テキストブック」日

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システムズアプローチと家族療法の認識論について

はじめに
 システムズアプローチは、日本で生まれた対人援助のアプローチです。その背景には家族療法があります。本論では、システムズアプローチがどのような背景から生まれ、どのようなアプローチであるかの概要を把握することを目的とします。

システムズアプローチの誕生とその背景
 吉川(2016)は、“システムズアプローチは、現在までの家族療法に含まれている認識論を包括的に活用し、人間関係に変化をもたらす

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治療システムのアセスメントに自分が所属する職場と自身のコミュニケーション特性を活用する

はじめに
 面接者がよりよい面接を提供するために、問題とされる出来事や現在起きている事象をアセスメントすることは重要な面接過程のひとつだと考えられます。そのためには面接者が置かれている職場がどのようなシステムとして働いているのかを理解しておく必要があります。
 たとえば、職場の組織がどのような理念と目的を持って活動しているのか、その中で各個人の与えられた役割と権限はどのように設定されているのか、ど

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治療システムを観察するための思案

はじめに
 システムズアプローチで治療システムをメタ・ポジションから観察するためにどうすればよいかを以下に思案として提示してみます。

①ThとCl・家族の非言語の相互作用を考えてみる。
 例えば、システムズアプローチやSFAなどの研修で行う音声カットでロールプレイを行う ワークのように、言語的な意味を離れて動作や間合いと順番、表情やテンポとトーンがどの ように繋がっているのか、結果どうなるのかま

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