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哲学書を読むための年表

 坂部恵は、『ヨーロッパ精神史入門 カロリング・ルネサンスの残光』で、以下のような時代の切れ目を示しています。  本記事では、この大きな時代の切れ目を参考に、出来事を整理して年表にしてみたいと思います。  ちなみに、現状での個人的な理解を述べると、3世紀にプロティノスの新プラトン主義、9世紀にカール大帝によるカロリング・ルネサンスで自由学芸が誕生し、10世紀頃のアヴィセンナとアヴェロエスの活躍が12世紀のスコラ学に影響を及ぼし12世紀ルネサンス、14世紀に神学と哲学に亀裂が

    • こころの科学増刊号 『心理臨床と政治』を読んで

       こころの科学増刊号『心理臨床と政治』を読みました。といっても、東畑開人さんの序論「心と政治―「善く生きること」についての二つのまなざし」と、信田さよ子さん×東畑開人さんの対談「心理臨床にとって政治とは何か」の章だけですが。簡単な感想を書いておきたいと思います。  東畑さんの序論は、政治からみた心理臨床の歴史が4つの時代に定義されていました。学会の分裂、ロジャーズ、河合隼雄さんの仕事、ケアの元年となる1995年、下山晴彦さんの仕事、行政への対応、公認心理師、暴力と心理臨床、

      • ベルクソン 著 ドゥルーズ 編『記憶と生』を読んで

        感想本文  ベルクソンは、持続のなかに多様性と単一性をみていて、作用と反作用のように、一方だけを分析しても、それは現象の一側面でしか無いと考えており、混沌や無が、秩序や実在より少ないと考えるのではなく、混沌や無は、知覚の主観的な記憶の収縮が分割する以前であり、混沌と無からなる虚無の誤謬に陥らないような努力を携えながら、《直観》という、動き自体に内在しつつも主観的な体験、記憶を一旦外した、純粋持続という相互浸透を方法とし、時間の厚みを措定して、物質と記憶、科学と形而上学 ※1の

        • 対人援助の人文知との再接続に向けて

          問題と目的  人を助ける、援助するという事が人間社会の中の制度となった歴史は、医療や法律といった人間社会の古くからある制度に比べ新しくまだしっかりとした構造とはいえないと考えられます。古くは、宗教がその多くを担っており、寺院や教会などの施設では、神の代わりに手当て(care)と、歓待(hospitality)をしていたと考えられます。また、法律の制度の成り立ちからは神の代りに人を裁くという、神(権威)の代行者(あるいは預言者)という構造をみることができます。  例えば、対話に

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          文献リスト〔随時更新〕

          【あ】 アウエルバッハ『世界文学の文献学』みすず書房 アウエルバッハ『ミメーシス』ちくま学芸文庫 石井健吾 訳『アシジの聖フランシスコの小さき花』聖母文庫 伊藤邦武/山内志朗/中島隆博/納富信留『世界哲学史3―中世Ⅰ 超越と普遍に向けて』ちくま新書 伊藤邦武/山内志朗/中島隆博/納富信留『世界哲学史5―中世Ⅲ バロックの哲学』ちくま新書 伊藤邦武/山内志朗/中島隆博/納富信留『世界哲学史別巻―未来をひらく』ちくま新書 岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』岩波ジュニア新書 ヴェイユ『

          文献リスト〔随時更新〕

          東豊著『マンガでわかる家族療法2 大人のカウンセリング編』を読んで

          はじめに 波長合わせjoining 巻き込まれinvolvement 意味づけ(レッテル貼り・ラベリング) 仮説の作り方と介入計画 悪魔の契約 苦行療法ordeal therapy 認識されやすくなる(目につく)  一番に見立てるべきはセラピスト自身の頭の中 利用法utilization(症状、行動、ルール、癖、嗜好、価値観や考え方など) 都合のよいように現実を切り取る 問題持続システムの一部としての枠組み(対象者・関係者の思い) 真の原因や本当の問題は関係ない 家族への

          東豊著『マンガでわかる家族療法2 大人のカウンセリング編』を読んで

          『増補新版 KAWADE夢ムック 総特集 中島らも』を読んで

          中島らも シュルレアリズム 渋澤龍彦 結晶とイメージと時間 毒と呪術と旅 バロウズ『裸のランチ』 ギンズバーグ『吠える』 ケルアック『路上』 ボルヘス、南米、マジックリアリズム 自失願望 鈴木創士(EP-4) ジル・ドゥルーズ… なんだかバラバラだったものがつながり始めた。  河出書房新社から出ている、中島らもさんの特集本がとても良くて気に入っている。厳選されたエッセイと交友のあった人達からのメッセージ。そして、安藤礼二「水晶が成る場所 中島らも『ガ

          『増補新版 KAWADE夢ムック 総特集 中島らも』を読んで

          エリクソン/ロッシ著『二月の男』を読んで

          二月の男のアプローチ 1945年の非公式な形のデモンストレーション ミス・キャメロン エリクソン先生の秘書で、このデモンストレーションを速記した。 フィンク医師 当時はインターンであり、患者であるミスSをエリクソン先生に任せた医師であり、デモンストレーションに同席した。 新規にケースの精神力動を調べる際に、自発的な無意識の連想に頼ったという点においては、確かにエリクソンは直感的でした。催眠経験の現象学的な現実を評価するために「フィールド実験」を始めるにあたって、確かに

          エリクソン/ロッシ著『二月の男』を読んで

          河本英夫やシステム論のメモ

          自己組織化は、おのずと進行しつづける生成プロセスのネットワークである。この場合には、個々の生成プロセスでは、次の生成プロセスの開始条件となると同時に結晶を外に排出する働きも行う。この事例では、この二つが二重の働きになっており、二重作動の一つのモードである。 「システム的思考」 システム的思考は、つねに新たな経験領域に踏み込むための課題設定ができなければならない。そうした課題設定のもとで次々と新たな問題を見出し、創意と工夫に満ちた知識そのものの形成へと踏み込むのでなければ、シ

          河本英夫やシステム論のメモ

          近代から現代の人名メモ

          フランツ・アントン・メスメル(1732−1815)ドイツ→医師、動物磁気、メスメリズム ジャン=バティスト・ラマルク(1744−1829)フランス→博物学、生物学 ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ(1762−1814)ドイツ→哲学者、ドイツ観念論 ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル(1770−1831)ドイツ→哲学者、ドイツ観念論 フリードリヒ・シェリング(1775−1854)ドイツ→哲学者、ドイツ観念論 ジェイムズ・ブレイド(1795−1860)イギリス

          近代から現代の人名メモ

          「借りぐらしのアリエッティ」の『借り』とは何か?

          2023/08/22の日記より  「借りぐらしのアリエッティ」の『借り』とは何だろうかと考える。誰にとっての『借りぐらし』何だろうか、『借り』と『狩り』をかけているんだろうか、『借り』とはどんな意味が込められているんだろうかなどの疑問が思い浮んでくる。登場人物は個性的で主人公の台詞は唐突で意味ありげだし、ハルさんの行動も善悪で動いている訳でもない。それでも、人間と小人の、動物や自然との関係を匂わすところがあり、ファンタジーや恋愛ともとれる物語の懐の広さもある。  まず、出だ

          「借りぐらしのアリエッティ」の『借り』とは何か?

          外在ーひとつの生

           無記名の、無所属のひとりの人間、立場も、役割りもない人間が書く文章を誰が読むのだろうか。それは壁に書かれた匿名のいたずら書きと変わらない、意味のない文字の羅列と考える人もいるだろう。その文章や文体、言葉やその間や拍子に魂が宿ると信じる人ならば、その文章の意味から魂が、そこに宿るのを見るのかもしれない。考古学者のように、その痕跡から、その人間が過ごした生活を、社会を、読み取ろうとする人にとっては、個人と集団がおりなす人間の文化を意味するのかもしれない。  しかし、そこに個人の

          外在ーひとつの生

          ミシェル・フーコー+渡辺守章著『増補改訂版 哲学の舞台』を読んで

           ミシェル・フーコー+渡辺守章の『増補改訂版 哲学の舞台』を読みました。対談ということもあり読みやすく、フーコー自身が自分の考えや実践について解説してくれています。この本では、キリスト教の〈告解〉の形態が現代の主体という問題に引き継がれていることを言及していて、ここだけでも読む価値のある本だと個人的には思いました。今回の記事はこの本を紹介していきます。まず、フーコーは自身の関心について、以下の引用のように語っています。  と、本の題名にも入っている〈舞台〉という言葉を使って

          ミシェル・フーコー+渡辺守章著『増補改訂版 哲学の舞台』を読んで

          明け方のエコール(ポッドキャスト)の紹介と感想

          はじめに  最近、明け方のエコールというポッドキャストをよく聞いていています。哲学に関するポッドキャストなんですが、日常についての会話から哲学に触れていくのが面白くて聴いています。今回の記事では、このポッドキャストの紹介と感想を書いてみたいと思います。 ※Spotifyから聞けます♪ ※youtubeからも聞けるようです。 ポッドキャストの紹介  明け方のエコールは、夜燈(よあかり)さんと小林さんのお二人がテーマについて話しながら、哲学や現代思想、文学や創作について触れ

          明け方のエコール(ポッドキャスト)の紹介と感想

          ★Erickson’s Technique (Multiple Level Communication)

          悪ふざけ Joke なぞなぞ Riddle しゃれ(驚き、混乱、スペル間違い、ダブルテイク)Puns 散りばめ Interspersal 埋め込み Embedded お話 Stories 暗喩メタファーMetaphor 類喩アナロジーAnalogies 逸話アクネドート Anecdote 屈折法(私の友達のジョン)Refraction 選択の錯覚(ダブルバインド)Illusion of Alternatives イエス・セット The Yes Set

          ★Erickson’s Technique (Multiple Level Communication)

          P・コブリー 文/L・ジャンス 絵著『記号論(FOR BEGINNERSシリーズ)』を読んで

           フェリックス・ガタリの記号論を理解するためにP・コブリー 文/L・ジャンス 絵の『 記号論(FOR BEGINNERSシリーズ)』現代書館を読んでみました。今回の記事はその備忘録として、大事だと思ったポイント+αを書いていきたいと思います。  まずはじめに、古代の時代では身体の症状が記号の典型だったそうです。病になった人の熱で赤くなった顔を観察して、その徴となるなるものを記号としていたようです。そして、ストア派とエピクロス派(前300年頃のアテナイ)で起こった「自然的な記

          P・コブリー 文/L・ジャンス 絵著『記号論(FOR BEGINNERSシリーズ)』を読んで