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「パーパス」を今さら明確にする「パーパス」は何なのか?(その2)

(写真は都庁から眺める都心:2015年1月撮影)

前回は

  • 「パーパス」とは?

  • どこから来たの?

について前半部を投稿しました。

今回は後半部となります。

前半はこちら


なぜ今「パーパス」なの?

現代は、先行きが不透明将来の予測が困難な時代、VUCAの時代と言われています。世界中が大きな時代の転換期に入っています。

先行きの見えない中、環境問題、人権問題、格差社会など様々な社会の課題に、公的機関や政府だけで解決することができなくなっています。

企業も対応しなければならないのです。

そのようなことから、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に配慮した企業に対する投資「ESG投資」年々増加しています。

環境問題や人権問題に対応していない企業は、企業価値毀損のリスクがあると見なされて投資対象外になってしまう時代なのです。

株主だけではありません。

事業を営む際に、その社会においての「存在意義」や「存在目的」を明確にして「共感」を得なければ働く社員、そして顧客にまでも、そっぽを向かれてしまうようになってきているのです。

ビジネス向けSNSを運営する米国のLinkedInが、2016年7月に3,000人のビジネスパーソンを対象に「パーパス」について調査を実施しました。

人々の生活や社会に対してポジティブなパーパスを掲げる企業で働くならば、給与が下がってもいい」と答えた人は全体の49%、約半数でした。

https://business.linkedin.com/content/dam/me/business/en-us/talent-solutions/resources/pdfs/Practical-Guide-to-Purpose-at-Work.pdf

また、先進国の中で労働者一人あたりの生産性が著しく低い日本にとって、個人の生産性向上が課題となっています。

従業員の「パーパス」が、企業の「パーパス」に重なっているならば、生産性が2倍以上になるとも言われているようです。

「パーパス」を明確にして、株主、従業員、そして顧客から共感を得ることが、先行き不透明な中で企業の存続を確かなものとしていくのです。


「パーパス」を活用する

ここまで、見てきたように「パーパス」をステークホルダーに対して明確にする必要は増していると言えます。

魅力ある投資先になること、従業員の生産性向上顧客のロイヤル化など、どれも大切ですが、どのような業種であったとしても、事業を営むのであれば、その「目的(パーパス)」を明確する必要があるのではないでしょうか。

「企業の目的」については、「パーパス」が脚光を浴びる以前から、語られてきました。

「経営(マネジメント)の父」と呼ばれることもあったピーター・ドラッカーは、1987年に日本で出版された「現代の経営」の中で、こうのように語っています。

「企業とは何を理解するには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。事実、企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。」

「現代の経営」ピーター・ドラッカー

また、日本が世界に誇る経営者、稲盛和夫さん。一兆円企業を2社創業し、倒産した一兆円企業を再建した経営者は世界に一人しかいません。

「『全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献する』これ以外に、企業の目的はない」

「心を高める、経営を伸ばす」稲盛和夫

「目的(パーパス)」を明確にしないことの悪影響は、「手段が目的化してしまう」というものです。

実際に企業にとって利益を上げることは、「手段」であるはずなのですが、「目的」化してしまっていることを見てもあきらかでしょう。

大きな変革のただ中にあるばかりか、その先行きが不透明な今こそ、自らの組織が存在している社会における意義をもう一度明確にし直すことによって、未来を創りあげていくことができるように思います。

ミッション、ビジョン、バリューと同じですが、「パーパス」を明文化するといっても、SDGsなどから取ってきた美辞麗句を並べただけでは、無意味なばかりか、返って逆効果になるでしょう。

投資家、従業員、顧客に「ウケ」の良い「パーパス」を見つけ出すようなことも助けにならないでしょう。

自らに「自社がなくなったら、社会から何がなくなるだろうか?」などのタフな質問を投げかけながら、取り組むべきです。

また、自らの組織文化を無視して取り組むことも避ける必要があります。

先に紹介した京セラの稲盛和夫さんも、若手社員が昇給、賞与の保証を求めて団体交渉を申し込んできた際に、真剣に「会社の目的は何だろう」と三日三晩考えたそうです。

このように現実の土壌に根を張るようにして、言語化された「パーパス」が、投資家、従業員、顧客の支持を受けるだろうことは想像に難くありません。

「パーパス」が脚光を浴びている現在、どんな小さな組織であっても、自らの「存在意義」を明確にして、不透明な未来に向かって、道を切り開いていくことを願います。


前半と後半に別れてしまいましたが、ここまでにいたします。

最後までお読み下さりありがとうございます。


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