「ジャミロクワイって、声に出して言いたくなるよね」

　どこかの誰かがSNSで呟く。

「だよな！」
「確かに！」
「みんなで言おう！」

　どこかの誰かが同調する。

「仕事変わったらジャミロクワイしよーぜ！」
「週末、ジャミロクワイに行かない？」
「となりのジャミロクワイ」
「続きまして、天気予報とジャミロクワイです」
「被告人をジャミロクワイ26年の刑に処す」
「このジャミロクワイは現在使われておりません」
「警察です。事件ですか？　ジャミロクワイですか？」

　どこかの誰かがみんな、ありとあらゆることに「ジャミロクワイ」を当てはめた。

　そして……。

　Give me a break!
（いい加減にしてくれ！）

　本家本元のジャミロクワイがSNSで悲痛な声を上げる。

「ジャミロクワイしてんじゃねーよ！」
「お前なんかジャミロクワイだ！」
「ジャミロクワイは自由だ！」

　どこかの誰かがみんなで本物のジャミロクワイに噛みつく。

　結局、ジャミロクワイはお蔵入りとなった。

　しばらくして……。

「サルティンバンコって、声に出して言いたくなるよね」

　どこかの誰かがSNSで呟く。

　どこかの誰かは、あなたかもしれない。

（了）

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