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空色の鉛筆|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 新しい色鉛筆を買った。とは言っても、それは「空色」と書かれた1本の鉛筆で、黒色の芯が付いている。試しに、画用紙に風景画を描いてみると、やっぱり普通の鉛筆と同じような黒い線しか出ない。

 ――本当に色鉛筆なのかな……。

 不思議に思いながらも一通り描き終えると、絵の空は見る見るうちにオレンジ、紫、藍色などのグラデーションになった。

 まさに今、自分が見ている夕焼けと同じように。

 ――なるほど。空色ね。

 翌朝の空は快晴だった。

 昨日と同じように風景画を描くと、絵の空も、青に染まった。

(了)


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