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愛しき牛と消費される牛、貨幣経済と貧困の出現 #2【カラモジャ日記 24-03-23】
この文章は #1 に続くものである。 https://note.com/tabatytabaty/n/n90d5fef442c6 「貨幣経済の浸透だよ。誇りだった牛は市場で売り飛ばされる牛になった。そして、貧困…
ある傷を負った少年との再会 【カラモジャ日記 24-04-05】
乾燥した飢餓の大地に、集中的豪雨が降り注ぐ。ついにカラモジャにも、恵みの雨をもたらす限定的雨季がやってきた。僕たちはイギリス人に負けないくらい、天気の話をする。雨は僕たちの生命線だからだ。
雨は基本的に喜びの種だけれど、一つだけ厄介なのが副産物としてうまれる道路状況の悪化だ。未舗装路は豪雨によって秩序を失い、深い凹凸がところどころ思い出したかのように現れる。
そんな不規則な凸凹をかわしなが
愛しき牛と消費される牛、貨幣経済と貧困の出現 #2【カラモジャ日記 24-03-23】
この文章は #1 に続くものである。
https://note.com/tabatytabaty/n/n90d5fef442c6
「貨幣経済の浸透だよ。誇りだった牛は市場で売り飛ばされる牛になった。そして、貧困の時代が始まった」
彼の表現はいささか文学的すぎて、僕はその意味を咀嚼するのに時間がかかった。そんな混乱した僕の目をじっと覗き込んで、ブライアンは長い話を始めた。
「ずいぶん昔のこと
愛しき牛と消費される牛、貨幣経済と貧困の出現 #1【カラモジャ日記24-03-17】
ここ数週間、雨季の到来を告げるような規則的な雨がカラモジャの大地を湿らせた。住民たちは天を信じて、ソルガム(カラモジャにおける主要穀物)の種を畑に蒔き始めた。
しかし、彼女たちの作付けが終わるのを待ち伏せしていたかのように、雨はピタリと降り止んだ。それからというもの、乾燥した強い風が吹き荒れ、雲ひとつない晴天の日が続いている。まるで反時計回りに時間が進んでいるみたいだ。乾季に逆戻りしたのかもし
痛む手のマメ、満たされる心 【カラモジャ日記 24-02-28】
雨の匂い。土の匂い。牛糞の匂い。十日ぶりに足を踏み入れた畑は、新しいシーズンの匂いに満ちていた。
ナタパル村の住民たちが、野菜を植えるために畑の準備をしている。今日の主な作業は野菜の苗を植えるための畝作り。そして土を肥沃にするため、畝に牛糞堆肥を混ぜ込んでいくことだ。
住民たちは、今日も賑やかに歌いながら鍬を振りかぶる。農作業はいつだって重労働だけれど、彼女たちはまるで答えを知りながら問
平和の根源、意志の再確認【十万字クラブvol.2】
前略
2月21日水曜日の午後8時。冷蔵庫で冷えていた白ワインの残りで口を湿らせながら、君が紡いだ言葉たちを一文字一文字、大切に味わうように読む。今朝君から届いた書簡の開封だけを楽しみに、僕は今日一日を懸命に生きたんだ。嘘じゃない、掛けたっていい。
手紙をありがとう。
率直に言って君のメッセージはいつも、僕にさまざまな感情を与える。勇気、平和、愛、中立、焦り、嫉妬。味のある桂馬の手筋で相
新卒NGO就職、ウガンダ駐在に至るまで
4月1日より、認定NPO法人テラ・ルネッサンスに入職しました。4月下旬からは、活動国の一つであるアフリカのウガンダに駐在します。
学部新卒のNGO就職、ウガンダ駐在ということで、ここまでの経緯を振り返ってみることにしました。
きっかけと大学生活のこと高校生の時に観た「こんなところに日本人」というテレビ番組。「インパラの朝」というノンフィクションの本。
それらから、自分にはまだ知らない世界がた