外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」第34話 リタイヤメントを決めること

第34話 リタイヤメントを決めること

調べたことはありませんが、定年という概念は欧米のグローバル企業にはないと思います。そもそも年齢で差別しない実力社会ですから、何か特別な事情がない限り定年ではやめません。つまりリタイヤメントは自分で決めるわけです。

ではどういう時に会社を去ることを決めるのでしょう。

グローバル企業に勤めるということは、たとえて言えばプロ選手のようなものだと思っています。会社はいつか去らなくてはならない。できれば会社から言われる前に自ら意思表示をしたいのが心情です。では、どんな状況になったら会社を去るべきなのでしょうか?

1つは、気力、情熱がうせてしまった時です。お相撲さんの引退会見で「気力がついていきませんので辞めます」という言葉を何回か聴いたことがありますが、厳しい世界に行けばいくほどこのような気持ちになるのも無理はありません。

2つ目は、能力、技能が落ちたときです。競争社会ですから、いつもライバルと競っているといえます。力が劣ってきたら評価も下がります。会社での扱いも自分の思うようにはならないかもしれません。あるレベルを超えてしまえば、辞めることが潔いかもしれません。

3つ目は、どうしても我慢できない人間関係のときです。競争社会の中では不幸にも自分の上位の立場にどうしてもリスペクトできない人物が来ることがあります。その人が相当期間自分に影響を及ぼし続けるとすれば、よい仕事をしても評価されません。従ってその期間次第によっては辞めることがベターかもしれません。

4つ目は、今よりももっとやりたい新しいことができた時です。これは、A社からB社という変化ではありません。従って価値観の違いでもあります。つまり、個人のキャリアプランといったもっと大きな視点から、この世界を卒業したいと思うことです。

会社を去る理由は1つではないかもしれません。複合的な要素が複雑に入り混じっているケースもあります。私の場合も13年のグローバル企業勤務のあと、自ら退職を決めました。それが、正解かどうかはわかりません。何をもって判断するかは、人それぞれです。

但し、1ついえることは、時系列で自分と会社の関係は変わってきたということ。だから、フェーズ、経験が違う人が、あるいは価値観が違う人が理解しようとしても本当の理由はわからないということです。

そして最後に、会社を去るときは、周囲の人への感謝を込めて引き際はスマートにおこなえればと思います。


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