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台湾の大学院で出会った尊敬できる恩師

台湾の大学院へ進学して良かったと思える理由の1つに、恩師との出会いがある。

恩師とは、日本語教授法の授業で出会った大学教授で、現在は69歳。来年にはご退任される。私があと1年でも入学が遅ければ出会えなかったであろう。そう思うとなにかとても、ご縁を感じる。

どうして私がその先生に対して敬意を持っているかというと、彼女の日本語教育への志が私のそれと近いように思えるからだ。先生は、これまで台湾の日本語教育の発展に大きく貢献し、特に中等教育機関の日本語教育にご尽力された。台湾の中等教育では、大学のように第二外国語が選択できる高校が多く、その学習指導要領などの考案に携わってきたのだそう。

先生はいつも「言語は資格試験や単語の暗記が全てじゃない。人と人とを繋ぐ、コミュニケーションのためのもの。」と口酸っぱく言う。
現在の台湾の資格主義的な外国語学習を批判的に見ている。台湾は学歴社会でその為、外国語を資格取得の為に勉強する人も少なくない。なので、授業も毎回暗記テストで評価をしたり、座学中心になっていたりする。

外国語学習は文化背景の異なる相手を理解するためのツールなので、使える言語を教えるべきだし、使う環境、使いたくなる環境を整えるのが教師の役目だと言う。

そして、その先生は中高生の修学旅行やオンライン等での日台の交流の機会創造にも携わる。一度、ボランティアとして私達修士学生も、近隣中学校のオンライン日台姉妹校交流会に参加した。学生たちは、習ったばかりの日本語を使って、一生懸命伝えようとし、好きなアニメやオススメの食べ物の話などで盛り上がっていた。分からない言葉は、英語やジェスチャーで伝えようと努力していた。先生は、子供達の笑顔を見てすごく満足そうだったし私自身も、子供達が言葉の壁を乗り越えて外国人の友達を作っている姿に感動した。
小さい頃からこのような異文化交流の機会がどんどん増えれば、自文化への関心にも繋がると思うし、何より外国人の友人が出来たという経験は子供達の自信にもなるのではないかと思う。

授業を通して恩師から学べる機会は残り1年も無いが、私は先生の意思を受け継いで、積極的に子供達に異文化交流の機会を提供していきたいと思うし、語学教師の役目として「コミュニケーションの為の言葉」を意識して教室活動を考えていきたい。

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