小野寺史宣著

　湾岸に立つマンション「溱レジデンス」に住む四人の話。

　学校では成績優秀な反面、夜な夜なひったくりを行っている中学生・望。
　望の小学生の時の同級生で夜は自転車泥棒に暴行を働いている弓矢。そして、弓矢の異母兄・充也。
　就職活動前に事故にあったことで就職できなくなってしまったフリーターの根岸。

　それぞれが何らかの鬱積を抱えている。プロローグでは、警官が「溱レジデンス」へ逮捕に向かっているが、誰のところへ？そして、一体何があったのか？
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　『まち』『いえ』『ライフ』『縁』の筧ハイツのシリーズ（『いえ』は未読）は、やさしい人ばかりの、心が温まるお話でしたが、この作品はなかなかダークな部分が絡んでいました😔
　一癖も二癖もある登場人物ばかりで、人に対しての感情も、あまりきれいなものではありません。男女間の描写もリアルなものでした。
　
　ラストは驚きました🫢

　印象に残ったところは、いつものような「感動した」はないのですが、表面上は優等生だったり、いいひとだったりするのに、裏の顔とのギャップにただただ驚き🫢そして、その微妙な心理状態の表現の仕方が、とてもスマートなので、なおさらこわいと感じたところです。「え？小野寺さんの作品のキャラクター？」と思いました。

　わたしの勝手な小野寺さんのイメージとはまた違った、歪んだ魅力が詰まった作品でした。　
　文章は柔らかくてわかりやすく、読みやすかったです。

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