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読書88 『プラナリア』

   山本文緒著

・プラナリア
乳がんの手術以来、何もかも面倒くさくなってしまった私は、恋人の神経を逆撫でし、親に八つ当たりし、バイトを無断欠勤して出口が見えない。「どうして私は、こんなにひねくれているんだろう」

・ネイキッド
夫から一方的に離婚を言い渡されて、夫の会社で働いていた私は自動的に職を失った。
ずっと上へ上へ前へ前へと、がむしゃらに有意義な人生を歩んで来たはずなのに。

・どこかではないここ
夫の収入が減ったため、22時から夜中の2時までの時間パートに行く。朝5時半に起きてお弁当を作り、夫の親や自分の親のところにも行き、目の前のことをこなすことでいっぱいいっぱいだった。

・囚われ人のジレンマ
つきあい始めて七年目の彼から結婚の話をされた。しかし、私はその話題を避けている。
仕事は充実している。彼は大学院生。
何がこんなに引っかかる?彼が気になったという「囚人のジレンマ」とは?

・あいあるあした
父のようになりたくなくて、一生懸命働いた。それなのに・・・。
だから、会社員を辞めて自分の居酒屋を持った。

表面だけ取り繕って、自分の気持ちすらろくにわかっていない私には、胸を抉られるようでした。
こんな風に奥まで入ってきて、掴まれるような気分になった小説は初めてです。

印象に残ったところは「プラナリア」の中で、噂になるのをわかって、親しくもない人に自分の病名を話すことに対して「アイディンティなんです」「アイディンティでなければ、唯一の持ちネタなんです。私、他に特技も特徴もないし」と言うところ。
そんな話を聞いている相手は、主人公が心を許した相手だったのですが、その後に取られた行動には苦しくなりました。良かれと思ってしたことなんでしょうが。

自分に置き換えてみたときに、いかに自分が浅はかかを思い知らされるようでした🥲

『プラナリア』は124回直木賞受賞作品です。「あいあるあした」は、ちょっとほっこりした気持ちで読めました。

『自転しながら公転する』は未読です。
『プラナリア』が初めて読んだ山本さんの本です。
『無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記』と山本さんとがつながりました。

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