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記事56 『悪の芽』

  貫井徳郎著

 日本最大のコンベンションセンターである東京グランドアリーナでは、アニメコンベンションが開かれている。昨年は三日間で述べ十万人が集まり、今年はそれ以上になると予想されている。
 そんなアニコンの最中に、悲惨な大量殺人事件が起こった。死者は八名、重軽傷者は三十数名だという。犯人は斎藤均四十一歳。その場で自ら命を絶った。
 
 少しずつ明らかになる犯人に関する情報は「小学校五年生のときから、不登校になっていた」「いじめがあった」というものだった。
 当時、同じクラスだった安達周は衝撃を受ける。

 小学校五年生のときに、一体何があったのか?そして、斎藤はなぜこのような凶悪な事件を引き起こしたのか?
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 小学校五年生のときの同級生。斎藤の家族、アニコンの事件現場にいた人たち。就職氷河期などの背景。被害者家族。安達は斎藤のその後を知るために動きます。

 人の命を奪うのは絶対にいけないことです。(防衛でやむを得ない場合や、意としない場合はあるかもしれませんが)

 でも、誰もが関心のある情報だからといって、ネットに流すのもいけないです。ネットの反応に満足を求めて、傷つく人のことまで考えていない。「それは間違っている」「わたしはやりたくない」と言える勇気。そういう「善の芽」を問われる部分もありました。

 「人間が動物であるのをやめて社会を作った」「まだ、進化が充分でないから、世の中にはいやなことがたくさん起きるんだ」という絶望は、ひとりひとりの意識のあり方につなげています。そして、安達は・・・?

 この作品も、思い違いやちゃんと見られていないことがたくさん出て来ます。悲惨な話や一方的な見方だけで終わらずに、その都度「自分はどうなのか」を問いかけられ、そこで考えないとを訴えかけられているようでした。

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