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躾(しつけ)

*今日のサンデーモーニングの“風を読む”のお題は『躾』

去年1年間に虐待の疑いがあると、
通告された子どもの数は8万人
躾が暴力行為の正当化になっている
明治時代から続いてきた民法の懲戒権
親が子どもを懲らしめ戒める権利

2011年に改正・
子どもの利益になる場合に限ってと条件が付けられた
懲戒行為の注釈として
(叱る・殴る・ひねる・押入れに入れる・蔵に入れる
・禁食せしめる)などの行為が挙げられている

躾と暴力の線引きの難しさ
16〜18世紀に日本来た外国人の記録によれば、
日本では子どもを育てるのに、
懲罰ではなく言葉で戒めている
子どもを打つ、叩く、殴るなどはなかった

子どもに寛容な国だった日本で、
いつから虐待が始まったかといえば、
山梨県立大学・人間福祉学部・西澤哲教授によると、
明治期以降にヨーロッパ圏のキリスト教の
性悪説(生まれながらに悪魔を宿しているので、
叩かないとダメな大人になってしまうという思想)に基づいた、
体罰という方法を無批判的に取り入れた。
昭和に入る頃に、軍国主義的な教育が持ち込まれる。
富国強兵政策により、体罰も日常的に行われるようになった。

戦後、世界で子どもの見方が変わっていく。
1959年国際連合が児童の権利宣言の採択
1989年子どもを単に保護の対象としてではなく、
大人同様に人としての権利を持つ主体であることを謳った、
子どもの権利条約が国連で採択され5年後日本も批准した

しかし2017年の調査では日本で6割が体罰を容認
懲戒権の見直しの動き。
子どもという存在にどう向き合うのか?
日本の社会が試されています。

*コメンテーターの言葉    

親は上から目線
躾の出来ていない子どもが大人になった
経済的に自立できていない
大人に社会的成功体験がない
対策が急務
通告する義務の意識を高める
懲戒権はやめた方がいい
社会で確認
親はどうしていいか分からない
親へのサポート
子どもは親のものだという意識がある
核家族化で密室になる
一人の人間として認める
怒ると叱るは違う
怒りには感情が入る

…という内容

*なぜ日本で体罰がなくならないのか?

現在、全世界で60ヶ国近くが体罰の全面禁止をしている。
それであるにも関わらず、日本でこんなに遅れているのは、
軍国主義を通して戦中戦後の人々が体験した精神的・肉体的苦痛の、
本当の意味での負のループから抜けだせていないからだろう。

以前、高齢者の方から戦争体験のお話を伺う機会を得た。
それは私にとってものすごく貴重な体験で、
星の未来を担う子ども達にそんな苦しみを味わわせてはならないと心に誓った。
人間が精神的にも肉体的にもギリギリまで追い詰められた時に、
そのストレスは弱いものへと向かう。

高度成長期に経済的な豊かさを得ても、
戦中戦後の子ども達が受けた強烈な傷は癒えてはいなかった。
その子ども達が親になり、そのまま受験戦争へと引き継がれて行く。
“今頑張らなくてどうする。”“負け組になっちゃいけない、勝たせなければ。”
”立派な子に、きちんとした子に躾なければ”という社会的に認められる
高学歴、高収入への必死の思いは、子ども達の気持ちを追い詰めた。
その中で劣等感を背負い、自分の人生をなくしてしまった人達がいる。

誰か一人が悪いのではない。
暴力を受ける側はもちろん傷つくが、手をあげる方も昔の傷が疼く。
暴力を振るっている時には、自分の行為を正当化しているのだ。
生育環境で常識として身につけたことを直して行くのは難しい。
経済的、社会的、精神的に満ち足りた現在を手に入れている人は、
その傷に触らなくても済むかもしれないが。

18世紀に日本の家庭にあった愛が、いつの間にか消えてしまったのだ。
根本的な解決は、家庭で愛を持って子どもが育てられるかどうかにあります。
愛を持った子どもをどうやって育てるかといえば、その子を肯定することです。
ありのままのその子を受け入れること。
先日の反抗期でも話しましたが、
どんなに厳しく叱っても子どもは反省ができません。
心が凍りつくだけなのです。

*今までの子育ての常識は、こんなプロセスでした
・どうしてそうなってしまうのか、お子さんには本当にわからないのです。
・けれど謝らないともっと怒られるのでとりあえず謝ります。
・失敗を責められると悲しいので、泣いて言い訳をしたり反抗したりします。
・それでも解決法が身に付いていないので、
問題行動を繰り返し、もっと怒られると頭や心が混乱してきます。
・周囲の大人に理解してもらうことも愛されることも諦めてしまいます。
・何も話さなくなってしまいます。どうせわかってもらえないから。
・愛も理性もコミュニケーション能力もないまま育たないまま大人になり、
社会に出て人生に迷います

*解決法はこうです
・どうしてそうなってしまうのかお子さんには本当にわからないのです。
・問題行動を子どもがしたら、
声を荒らげずに「大丈夫?大変だったね」とか
「そうなっちゃうのは不思議だね」と思いやりの声をかけて落ち着かせます。
・「こうすれば良くなるよ。こんな時はこんな風に謝ろう」とか、
「こんな方法があるよ。こうすればみんなの気持ちがいいね」などの、
具体的な対処法を示します。
・できたら「ありがとう」と声をかけ、
失敗を繰り返しても同じように落ち着いて対処します。
・大人が落ち着いて対処すると、
子供は失敗したと言う認識は持ちません。
・劣等感を感じないので、
精神的に不安定にならずに対処の仕方を学び人間力を育てることができます。
・大人や社会に対する不信感や絶望の気持ちを持たずに、
身近にいる大人を尊敬しながら自己肯定感を高めていくことができます。
・自分の考えや判断で責任を持って行動できるようになります。
・独り立ちして社会に出るために必要な、情熱、プライド、想像力、器、公平性、勇気、理性、勘、愛、洞察力、経済力、忍耐力、強靭さ、堅実さ、慈悲などを獲得します。
・愛と理性とコミュニケーション能力に育てられ、
勇気と根拠のない自信を持って社会に出ていく大人に成長します。
・愛や理性がないまま高学歴を手に入れても、
自分と他の人を幸せにする生きがいを見出すことができません。
・社会的地位や収入だけで職業を選んでしまうと、
仕事に対して心血を注ぐことができないので無責任になってしまいます。
・偏差値や学歴・職歴・収入は関係なく、
人は自分の好きなことを見つけて夢中になって良いのです。

*躾という名の暴力を無くすためには
家庭の中にまで監視カメラが入れば別ですが、
法の規制で虐待を無くすのは難しい。
暴力を止めるためには、暴力を振るう側の心育てが必要なのです。
失われてしまっている”自分を大切に思う気持ち”を取り戻す必要があります。
虐待を止められない人の、愛を育てる必要があります。
加害者の生育環境で受けた、心の傷に配慮する必要があるのです。

*子どもは怒る必要はもちろん叱る必要もありません
子どもは実験を経て、短所を長所に変えて才能を伸ばしていきます。
落ち着いて優しく、何度でも同じ調子で言い聞かせれば良いだけです。
虐待がなくなる社会を作るのは、家庭での愛なのです。
反抗期を大人の力で制するのは間違いで、
反抗期ではなく才能の芽期なのだという理解が必要なのです。

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