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ベンチャー企業のマネージャーが読むべき本をマンガだけで選んでみた (厳選15選)

株式会社ベーシック執行役員 CAOの角田(@takeshisumida_)です。

私は、これまで仕事をする中で、知識面やモチベーション面においてマンガに助けられてきたことは多く、同じような立場の方の参考に少しでもなればと、これまでに、以下2つの切り口にてマンガをご紹介するnoteを書いてきました。

どちらも予想以上に多くの反応をいただけたこともあり、その後も違う切り口のテーマを継続的に考えていました。そして、そのうちの1つに"マネジメント"がありました。
ご承知の通りビジネス書においてもマネジメントはある意味普遍的なテーマであり、世の中には多くの書籍が出版されています。このテーマについて学べるマンガをまとめてみたくなるのは、マンガ好きとしてはごく自然な流れ?ではないでしょうか。

しかし、このまとめ、想像以上に作成が難しいことにすぐに気が付きます。と言うのも、そもそもマネジメントで語られる範囲があまりにも広いからです。
リーダーシップ的な話なのか、組織作りの話なのか、育成・教育の話なのか、はたまた戦略策定のような話なのか等々。全ての範囲を網羅しようとすればその数は膨大になりますし、特にリーダーシップやチーム作りの話になると、「ほとんどのスポーツ系マンガは結局そうなのでは…?」という壁に必ずぶち当たります(笑)。

そのため、マネジメントの中でもより切り口を絞ったものする必要があるなと考え続けていた時に、DeNA時代の同僚であり現在はEVeMの代表である長村さんと仕事関係でお話しすることがありました。長村さんと言えば"ベンチャーマネージャー"という概念の提唱者であり、その考えを綴ったnoteは界隈でとんでもなく拡散されています。

自分自身もベンチャー企業に属し、ボードメンバーとして会社を、また複数の組織を直接的にもマネジメントする立場でもあることから、久々にお話ししたことをきっかけに、改めて「これでは!」と感じました。
このベンチャーマネージャーの考え方の詳細は、上記noteや書籍にてご確認いただくとして、そこで触れられていることも踏まえ、

"限られたリソース"の中、一部の人のチート能力だけに依存せず、メンバーの育成も適切に行いながら、"チームの成果"を最大化する

ことを特に描いたマンガを今回は選んでみることにしました。

チート能力こそマンガの醍醐味的なところはありますが、ことベンチャー企業においては一人のチート能力だけで突破できるということはありませんし、何よりそんな優れたタレントが十分に揃っているという状況がまず起き得ません。
いかに一人一人が持つ能力を開花させて、限られたリソースをなんとかやりくりしながら、あくまで個人ではなく組織として成果を最大化させるかが肝だと考えています。

既に世の中にはマネジメントに関連するマンガを紹介している記事はいくつかありますが、このような軸を入れることで、対象となる範囲がより絞られ、結果的に既存のものとも少し違った形でご紹介できるのではないかと思いました。特に以下に当てはまる人に読んでもらえると嬉しいです。

・ベンチャー企業でマネージャーを務めている方
・ベンチャー企業でマネージャーを目指している方
・ベンチャー企業でマネージャーの採用を行っている人事の方
・組織のマネジメント力を底上げしたいベンチャー企業の経営層の方

というわけで、とても前置きが長くなりましたが(笑)、書こうと思い立ってから早一年、年間500冊以上のマンガを読んでいる私が厳選した「ベンチャー企業のマネージャーが読んおくべきオススメのマンガ」をどうぞ!

1. ワールドトリガー

巻数:24巻 (2022年5月時点未完)

近界民と呼ばれる異世界からの侵略者と、地球の防衛組織との戦いを描いたSFアクション。組織の部隊がかなり細かく分けられており、とにかく登場人物が多い。その分それら部隊を束ねるリーダー(隊長)が多く登場し、それぞれの個性に応じた様々なマネジメントスタイルが描かれれている。一定の強キャラは存在するものの、近界民はそれ以上に強敵であり、各部隊がいかに"チームとしての戦力"を最大化し、敵および組織内で行われるランク戦に打ち勝っていくのかの見応えがすごい。少し余談とはなるが、知る限り、バトルもののマンガの中で最も戦いの戦略性に富んだ作品でもある。

2. 二月の勝者-絶対合格の教室-

巻数:15巻 (2022年5月時点未完)

中学受験がテーマ。業界トップの学習塾から、合格実績が落ち目の塾へと移籍した塾講師が主人公。中学受験という一見ベンチャー企業とは遠い舞台ではあるものの、生徒を正しい方向に導き、その両親までもチームの一員として巻き込み、理解を得ながら共に生徒を育てていくその様は、ベンチャー企業におけるマネージャーの姿とも大いに重なる。いかにトップ校に負けないよう学習塾を立て直せるのかという奮闘にもベンチャー感を感じる。なお、子供を持つ一人の親として、ある意味ディープな中学受験の世界の知識が同時に身に付くという意味でも有用な作品である。

3. 大東京トイボックス

巻数:10巻 (完結)

弱小ゲーム制作会社が舞台。元大手ゲーム制作会社の社員でありゲームディレクターである主人公を中心に、理想のゲーム制作をとことん追求する姿が描かれている。内外の多数の関係者、難解なパラメータ設計、潰しても潰しても見つかるバグ、その中で与えられた厳密な納期。ゲーム制作は、日々がまさに"QCD"のバランスとの戦い。破天荒で、Q(Quality)の中でも特に"面白さ"にこだわりが偏った主人公が、チームや外部の関係者と対立・協力していく様に、ベンチャー企業におけるあるべき"プロジェクトマネジメント"とは、ということを深く考えさせられる作品である。

4. 宇宙兄弟

巻数:40巻 (2022年5月時点未完)

幼少時に共に宇宙飛行士になる約束を交わし、その夢を実現した兄弟が宇宙で奮闘する様が描かれた作品。先に宇宙飛行士となったエリートの弟と比べ、職場での問題行動から一時は無職になってしまった兄が、一念発起し再度宇宙飛行士として挑戦いく様を中心に物語が進む。宇宙という誰もコントールができない空間の中で訪れる様々なトラブルを、元々は弟に対するコンプレックスの塊で卑屈であった主人公が、独自の機転や工夫、他の宇宙飛行士仲間との協力で乗り越え宇宙開拓を進めていく様は、チームの目的が事業ではないにしても、その魂はまさにベンチャー企業。

5. GIANT KILLING (ジャイアント・キリング)

巻数:60巻 (2022年5月時点未完)

サッカーの元有名選手が、かつて所属していた弱小のプロサッカークラブを監督して率い、まさにタイトルの通り"ジャイアントキリング(大番狂せ)"を成し遂げていく物語。スポーツものとしては数少ない選手ではなく"監督"に焦点を当てたマンガであるため、膨大なスポーツ系マンガの中でも、特にマネジメント要素が強い作品。また、ジャイアントキリングというテーマ自体もまさにベンチャー企業であり、競合企業とのシェア争い、大企業の参入に対する対応、既得権益との戦いなどなど、日々向き合っている種々の大きな課題と重なる部分もあり、読んで熱くなる人も多いのではないだろうか。

6. アオアシ

巻数:27巻 (2022年5月時点未完)

Jリーグの高校生年代の育成組織、いわゆる"Jユース"をテーマにしたマンガ。地方の弱小サッカー部からJユースの監督に見出された主人公が、本格的にプロを目指していく様が描かれている。Jユースという舞台の特性上、数ある他のサッカーマンガと比べても「どのように育成し、戦力を最大化させていくのか」という観点が強く、また素質はあるものの決してチートではない主人公が、監督によりその能力を徐々に開花させられ、個ではなく、あくまで組織の力で勝つことに目覚めていく様は、まさにベンチャー企業における組織作りそのものではということを感じさせてくれる作品。

7. ROOKIES (ルーキーズ)

巻数:14巻 (完結)

超不良高に着任した熱血新人教師が野球部の監督に就任し、野球を通じて生徒を更生し、本気で甲子園を目指してくいく様が描かれた物語。問題児ばかりであり、全く意志が統一されていなかった生徒を、熱い信念と明確な目標設定で導いていく様は、ベンチャー企業における初期の"MVV"設定の大切さ、そして何よりマネジメントとしての一貫した姿勢の大切さを教えられる。今回紹介する中でも組織崩壊度合いではトップクラスであり、多少の組織崩壊くらいでめげないように頑張ろうとある意味思わせてくれる作品。(さすがにこのレベルの問題児がいるベンチャー企業は無いであろうもののw)

8. ラストイニング

巻数:44巻 (完結)

元高校球児であり、悪徳なセールスマンとして生計を立てていた主人公が、ひょんなことから母校の野球部の監督への就任を要請され、再び甲子園を目指していく物語。かつては名門だったものの廃部寸前まで落ちぶれていた弱小野球部を、独自の育成方法や戦略で立て直していく様は、まさに野球版『ジャイアントキリング』(ただし連載開始はむしろこちらの方が早い)。膨大な数がある野球マンガの中でも、チームで勝つという観点での戦略性がずば抜けて高く、それでいて理論が現実離れしていないという比類ない作品。知名度がそこまで高くないのが不思議なもっと評価されるべき隠れた名作。

9. SLAM DUNK (スラムダンク)

巻数:20巻 (完結)

もはや説明不要とも言える伝説級の作品。不良でバスケは初心者の高校生が、多くの経験者がいる中でレギュラーを勝ち取り、インターハイを目指していく物語。主人公が初心者であることに加え、他のメンバーも個性が強く、強豪校と比べて決してスター揃いではない人的リソースの限られた環境の中で、監督による育成と采配、そして紆余曲折はありながらも、最終的には個ではなく組織の力でがむしゃらに勝利を掴みにいこうとしている姿は、舞台は企業ではないものの、ベンチャー企業のマネージャーにとって大きな刺激となる。とにかくモチベーションを上げたい時の一冊とも言える。

10. 弱虫ペダル

巻数:77巻 (2022年5月時点未完)

秋葉原が大好きなオタクの少年が、ひょんなことから自転車競技部に入部し、チームメイトと共にインターハイを目指していく物語。自転車と言うと個人競技なイメージが強いが、描かれている"ロードレース"は、試合が数日に渡り、チームで協力しなければ絶対に勝てない競技。高いポテンシャルを持ちつつも全くの初心者である主人公の育成、チームメンバーの適性に応じた役割分担、試合の状況に応じた連携、チームを正しい方向に導き・鼓舞していく強いリーダーシップ等、むしろ他の団体競技のマンガ以上に、「チームとして如何に勝つか」という姿がとことん描かれている作品。

11. アルスラーン戦記

巻数:16巻 (2022年5月時点未完)

中世の中東をイメージさせる架空の世界が舞台。原作は『銀河英雄伝説』の田中芳樹先生の小説であり、漫画は『鋼の錬金術師』の荒川弘先生によって描かれている。侵略により都を奪われた主人公の王太子が、弱冠14歳ながら、君主として成長し、多くの仲間を得ながら復興を行う様が描かれている。「王として"血筋"は重要なのか」ということが節々で提起されているのが特徴であり、これは日本企業で今でも時折問題となる派閥や年功序列の話を彷彿とさせる。とにかく成長が第一であるベンチャー企業におけるあるべき人事制度、組織作りとは、ということを考えさせられる作品。

12. 蒼天航路

巻数:36巻 (完結)

中国の三国時代、いわゆる三国志の世界を舞台としたマンガ。数ある三国志を題材とした他の小説やマンガとは異なり、これまで一般的には悪役として描かれてきた魏の曹操を主人公としているところが大きな特徴。曹操を「最も人に興味を示した英雄」と位置付け、国の要はあくまで人であると考え、時代的に出自・家柄・血統等で人生のほぼ全てが決まるという中、才能があれば大胆に任用・抜擢していく姿が数多く描かれている。まさに完全実力主義、「自分より優秀な人を雇う」ことが肝である、ベンチャー企業における採用・組織作りのあるべき姿を再認識させてくれる作品。

13. キングダム

巻数:65巻 (2022年5月時点未完)

今さら挙げるのは憚られるが、かといって外すことはできないマネジメント論においては王道中の王道のマンガ。舞台は中国の春秋戦国時代、いわゆる秦の始皇帝の時代の話。まずは何より主人公が率いる部隊(飛信隊)そのものがまさにベンチャー企業。高い武力を持ちながらも、組織の長としての資質は決して完璧ではないがゆえ、もがき苦しみながら、仲間、組織、そして自身が成長し、戦いを勝ち抜いていく姿に感銘を受けるマネージャーは多い。主人公とは全く異なるマネジメントスタイルを持つ武将が多く登場し、「あの人ってあの武将っぽいよね」という話を会社で楽しめる作品でもある。

14. 海賊と呼ばれた男

巻数:10巻 (完結)

敗戦後の日本において、石油会社の立ち上げ、そして日本そのものの再興に貢献した出光興産の創業者である出光佐三氏をモデルとしたベストセラー小説のコミカライズ版。少し昔の話ではあるものの、舞台がずばりベンチャー企業であり、まさに主人公がその組織を率いる経営者。物的リソースも、人的リソースも限られ、市場環境や競合企業により幾度となく窮地に追い込まれながら、不屈の信念で、組織を鼓舞し、事業を拡大させていくその様は、まさにベンチャー企業におけるマネージャーの鑑。元々は小説であるもののマンガとしても必ず挙げたい一冊。

15. スティーブ・ジョブズ

巻数:6巻 (完結)

Apple創業者スティーブ・ジョブズのベストセラー自伝のコミカライズ版。『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ先生が漫画を担当したことでも話題となった。Appleというまさに当時はベンチャーであった企業を率いる経営者の物語は、今回のテーマのど真ん中と言える。一方で、当初のスティーブ・ジョブズは全く名マネージャーではなかったことは広く知られていることであり、少し毛色の異なる紹介とはなるが、マネージャーの手腕やスタンス如何で、組織が良くなのか、悪くなるのかは大きく変わるという、ある意味反面教師的に、マネジメントの大切さそのものを学べる作品。

終わりに

いかがでしたでしょうか。やはりマネジメントというテーマ上、スポーツや戦いをテーマにしたマンガが多くはなってしまいますが、極力幅広いジャンルから選んでみました。如何せんスポーツもののマンガは本当に数多く世の中に出ていますので、このテーマにおける重要な作品を今回はカバーできていない可能性も十分にありますので、その点はご容赦いただけますと幸いです。

なお、当然のことながら、これらのマンガを読んだらマネジメントが完璧にできるようになるということはさすがにないかと思いますので、ビジネス書を合わせて読むことをお勧めします(笑)。あくまで日々マネジメントをされる上でのちょっとした息抜きになっていれば何よりです。

他にもオススメのマンガがありましたらぜひ教えてください。Twitterでもマネジメントやマンガのことを呟いていますので、よろしければフォローしてもらえると嬉しいです!

https://twitter.com/takeshisumida_

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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