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【発酵入門】ザワークラウトがある暮らしに没入

「丁寧な暮らし」ときくと身の毛がよだつ人はいるだろうか。

朝日に包まれながらヨガ、5時から朝食作りを開始する。畑で育てた無農薬のクレソンサラダとライ麦パンやおひつに入れられた雑穀米。自家製味噌で作った味噌汁を両手で持ち上げ、微笑みながら啜る。食べ終わった食器をひとつひとつ丁寧に持ち上げ、エシカルな洗剤でゆっくり時間をかけて洗っていく。天然素材の服を身に纏い、いつもにこにこ笑っている。

メディアやSNSなどから断片的に入手した情報が自動的に組み合わせられて、自分の中で「丁寧な暮らし押し付けおばさん」的な像が作り上げられている。

私が「丁寧な暮らし」に拒絶反応を示す理由は、一瞬憧れてしまうからだ。
「こんな暮らしができたらいいなぁ」と思いはじめている自分に気づき、いかんいかんと首をぶんぶん振って正気に戻る。こんな丁寧すぎるが故に逆に無機質さを感じてしまう生活をしていると絶対おもんない奴になってしまう。そう思い直し、また雑に納豆卵かけご飯をかき込むのだ。

そして、こんな生活はたとえやろうと思っても無理だと感じる。朝ごはんを食べているうちに夜になってしまう。きっと気づけば昼夜逆転しているに違いない。丁寧に暮らすが故に逆に時間に追われ、丁寧にがんじがらめになる。丁寧から逸脱した行為に不要な申し訳なさを感じ、自己肯定感が下がっていく。そうなってしまいそうなのだ。


しかし、知らぬ間に自分の中に構成された「丁寧はしゃらくさい」という概念を一回忘れてみると、丁寧に暮らすこと自体は悪くないことに気づく。

丁寧に縛られないように注意を凝らし、適度に丁寧っぽいことを取り入れていくことは、生活に瑞瑞しさを与えてくれるような気がする。「いや、何カップラーメン食べてるのよ」と丁寧が言ってきたら、「いや、俺に指図するなよ」と跳ねのけ、丁寧にしたい欲が沸いてきた時に別人のように自家製味噌を作りはじめたって良いのである。丁寧に支配されなければ良いのだ。

そんなこんなで私は少しずつ丁寧を取り入れはじめている。もちろん主に食についてだ。丁寧というか、ただうまそうなものをこだわって作ってみたいというだけではあるが。


ということで、まずは誰でも簡単に作れる発酵食「ザワークラウト」を紹介しよう。

ザワークラウトはドイツ語で「酸っぱいキャベツ」という意味。キャベツを乳酸発酵させた食べ物である。

そのまま食べても良いが、私は琵琶湖でキャンプをした時に友人が作ってくれた「パストラミザワークラウトホットサンド」がシンプルなのに無性にうまかった。それがきっかけになり、常備したいと思った。

乳酸菌と食物繊維のダブルの効果が見込めるので、便通を整えたり、腸内環境改善にもつながるようだ。

では作り方を説明しよう。


材料 所要時間10分
キャベツ 300g(だいたい1/4個くらい)
塩 小さじ1(6g)※キャベツ量の2%

口調が変わりますが、すみません。材料はこれだけです。
お好みでキャラウェイや鷹の爪などスパイスやハーブ類を加えてみるのもおすすめですが、何事もまずはベースを知ることが重要です。ぜひ2回目以降に挑戦するか、少量ずつ作って食べ比べてみてくださいね。

作り方
1 外葉を外し、キャベツを洗う(洗いすぎは禁物)
 ※外葉外してからキャベツ重さ計ってね
2 キャベツを2〜5mm程度に千切り
 千切りした後、改めて重さ計るとより正確です
3 塩を振り、ぎゅぎゅっと揉み、水分を出す
4 出てきた水分と共に清潔な瓶へ
5 表面が空気に触れないようにラップなどを被せ常温で発酵

レシピのポイント

  • キャベツを洗いすぎない

  • 煮沸消毒を済ませた瓶に入れる

  • 表面が空気に触れないようにする

キャベツを洗いすぎない

塩の量が肝。正確に計ろう。

最初からいきなり難しいですね。
ザワークラウトはキャベツの葉に付いている乳酸菌で発酵を促すので、洗いすぎると乳酸菌が洗い流され、十分に発酵しないおそれがあるようです。
とはいうものの、残留農薬や汚れが心配な人が多いと思うので、私はある程度普通に洗っています。それでも問題なくできましたよ。また、洗わないパターンとしっかり洗ったパターンでも作って共有します。

古いキャベツを使うと気分も乗らないし、余計な菌が入りんでうまく出来上がらないおそれがあるので、新鮮なキャベツを使ってくださいね。

煮沸消毒を済ませた瓶に入れる

とにかく雑菌の繁殖を防ぐ。それが重要だ。

とにかく雑菌が繁殖にしないように注意すること。それが最大のポイントです。
煮沸消毒を済ませた瓶か、ジップロックなどに入れましょう。ジップロックは手軽ですが、私的には瓶に入れた方がテンションが上がります。発酵していく様を眺めやすいのもメリット。実用性だけでなく、作っていて楽しい、見ていて楽しいかどうかも大切ですよ。手間をかける余裕があれば瓶詰めに挑戦してみてくださいね。

キャベツ300gなら、これくらいの容器がジャストです。私はこれを使っています。↓

縦長の容器でも良いのですが、キャベツを入れた後隙間がないように押し込む必要があります。そのときに手が入らず、綿棒など押し込む道具が必要になるので注意です。この商品のように底が広くて350ml程度の容量のものがおすすめです。

瓶の煮沸消毒方法はこちらを参照してください。

キャベツを揉むときはジップロックなどに入れて手が汚れないように外側から揉むのもありですが、発酵食品は手についた常在菌という菌によっておいしくなるとも言われています。菌というと気味悪感がありますが、自分で食べるものなので一度素手でやってみてはいかがでしょうか?気色悪いと感じる場合や、人にも食べさせる可能性があるならビニール手袋をしてやっても良いでしょう。

表面が空気に触れないようにする

落とし袋で表面を覆うのもひとつの方法。

瓶に入れたら拳やめん棒や菜箸などで隙間がないようにぎゅうぎゅうと押し込み、キャベツ全体が水分に浸るようにします。めん棒や菜箸などを使う場合は、清潔にしてからですよ。上の写真のような瓶だとキャベツが少量だと綿棒などが必要になるので、浅めで広口のものの方が良いと思います。

発酵が進むとぷくぷくと泡が出てきます。容器ギリギリまで入れてしまうと吹きこぼれてしまうおそれがあるので、容器の7割あたりまでにとどめておきましょう。

乳酸菌は空気(酸素)が苦手なので、空気にキャベツ表面が触れないようにするのが重要です。空気を好む雑菌の繁殖も防げます。
ラップで覆って小皿などで落とし蓋っぽくするのでも良いですが、私は水を入れたポリ袋を載せることもあります。違いがあるか定かではありませんが、形がキャベツの表面に合わせて変わるので、隙間なく覆える気がします。

重石をするのは水の上がりを良くするためです。キャベツ全体が水に浸かっていないとカビの原因にもなるので、要注意です。重石なしでもキャベツ全体が水に浸かっていれば問題なく完成したので、ただラップで覆うだけでも大丈夫かもしれません。それでも時期や気温の影響もあり得るのでしっかり重石をする方が安全ですよ。

水の上がりが悪く、半日経ってもキャベツ全体が水に浸からない場合は、2%濃度の食塩水を追加してキャベツ全体が水に浸かるように整えましょう。

待機

夏は1〜3日、冬は3〜6日を目安に直射日光のあたらない常温環境で保存します。環境によっても変わるのであくまで目安です。

キャベツが黄色っぽくなり、気泡が出ていたら味見をして、酸味があればOK。酸味が足りないようならもう少しおいて好みの酸味になれば完成です。(長くても2週間くらいがおすすめ)実際に食べてみるのが大切です。

好みの酸味になったら冷蔵庫で保管します。冷蔵庫内でも発酵は進みますが、ゆるやかになるので、好みの酸味のザワクラが楽しめます。

保存について

発酵具合を毎日観察するのが楽しい。

保存状態が良ければ1年持つとも言われていますが、私は1ヶ月を目安に食べ切っています。というか300gなんて余裕で食べ切れます。実験好きの人はもっと寝かせても良いかもですが、作るのも楽しいので、バクバク食べ切って、何回も作ってほしいです。スパイスも加えてみましょう。

「うまくいかなかった・・・」の判断ポイント

残念ながらうまくいかないこともあります。
大丈夫。もう1回作れば良いだけです。

こんな場合はもう一度作り直してみて下さい。

明らかに臭い。明らかに茶色い。

残念ながら腐っています。塩が足りなかった、水に全体が浸っていなかった、雑菌が入り込んだなどが考えられます。

気泡が出ない。酸っぱくない。キャベツの色が変わらない。

発酵が進んでいません。塩が足りなかった、水に全体が浸っていなかったなどが考えられます。冬は気温が低すぎたことも考えられます。場所を移してしばらく様子を見るのもひとつの方法です。

成功のコツ

再チャレンジする時は、次のことに気をつけてみましょう。

塩をしっかり計る

日々の料理は目分量で作っても、発酵食はしっかり分量を計ることが重要です。失敗の確率をぐっと下げられます。時間をかけてさぁ食べようという時に腐っているとたまらなく萎えてしまうので、ここは一手間です。

新鮮なキャベツを使う

古キャベは水分が少なかったり、余計な菌がついていたり、うまくできない根本的な原因になってしまいます。古キャベは別の料理に使って、ザワクラには新鮮キャベツを使いましょう。
ちなみに冬キャベよりも春キャベの方が水分豊富なので、おいしく漬かりやすいですよ。

清潔な道具を使う

瓶だけでなく、包丁・まな板なども清潔にしてから使いましょう。
とにかく雑菌類を取り込まないように注意です。包丁などはアルコールで消毒してから使うと良いでしょう。

水が全体に浸るように

全体がしっかり浸かっているかチェックしましょう。使っていなければ重石を追加するか、2%濃度の塩水を追加します。でも、私は気持ち的に塩水投入したくないって思ってしまいます。まずは新鮮キャベツを使う、塩をしっかり計るなど他のポイントを徹底してみてくださいね。

ザワークラウト活用レシピ

ザワークラウト土手トースト

パセリなんかも振っちゃって。

マヨを土手にして卵乗せるトーストあるじゃないですか?それの土手をザワークラウトに置き換えてみました。

ザワークラウトで食パン上に土手を作り、結構大量にブラックペッパーを振ります。(ザワークラウトにはブラックペッパー多めが合うと気づきました)

めっちゃ振ります。

土手の真ん中に生卵を落とし入れ、その上からマヨネーズ、とろけるチーズを被せて焼けば完成。ハムを乗せてもおいしいですよ。

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