見出し画像

一夜限りの特別な試写会から学んだ「体験のデザイン」

こんにちは!
「Tangity」のサービスデザイナー、Mariです。

今回は、この冬にある映画の試写会で感じた「手触り感のある体験のデザイン」について書きます。特に以下のような方にお読みいただければ幸いです。

・デジタルとフィジカルを組み合わせた体験のデザインに興味がある方
・音楽や映画が好きな方


映画「ストップ・メイキング・センス 4Kレストア」


1983年、ハリウッド・パンテージス・シアターで開催されたトーキング・ヘッズのライブを記録したライブドキュメンタリー映画が「ストップ・メイキング・センス」です。(トーキング・ヘッズ:1970年代半ばから1980年代後半にかけて活動した米国の伝説のロックバンド)

2024年、収録から約40年を経ても色あせることのないエンターテインメント作品が、現代の技術を生かし、4Kデジタルリマスター版として再び映画館で見られるようになりました。

映画の始まりから終わりまでの約90分、ひたすら音楽を浴び続け酔いしれることができる作品です。

映画「ストップ・メイキング・センス 4Kレストア」の特別な試写会


2024年、映画の公開を記念して、渋谷のライブハウス「Spotify O-EAST」にて、オールナイトの試写会が開催され、わたしも夫とともに参加しました。

出典:Spotify O-EAST

通常、映画の試写会が開かれるのは「映画館」です。

どの席から見ても視界を遮られることはなく、(応援上映などを除くと)大きな雑音で音声がかき消されることもなく、誰かにモッシュされることもない、いわゆる快適な空間です。

一方、今回はまるで当時そこにいたかのような感覚が味わえる「ライブハウス」で開かれました。

映画館と比べると、視覚も聴覚も触覚もノイズが入るため通常は映画への集中には不向きな環境ですが、今回はライブハウスでの試写会だからこそ、トーキング・ヘッズが目の前で演奏してくれているかのような没入感が味わえました。

映画館のような自分とスクリーンだけのシンプルな関係ではなく、ライブハウスにおける観客による熱狂的な歓声・ハンズアップ・モッシュ、スピーカーによる圧倒的な音圧、空間を漂う埃やアルコールの匂いなどのレイヤーが重なることで、1983年の当時のライブハウスに自分がいるかのような錯覚を覚えたのです。

一夜限りの体験から振り返るサービスデザイン


“ 映画館からライブハウスへと、開催場所を変更した。”

この単純な変更により、デジタルとフィジカルの要素が心地よく組み合わさった結果、映画への集中力や没入感が高まり、それは素晴らしい体験のデザインだと感じました。

試写会は一夜限りのイベントなので読者の皆様に体験いただくことはできませんが、別の例であれば東京ディズニーシーのフライトシミュレーター型アトラクション「ソアリン」が近いかもしれません。湾曲した巨大スクリーンに美しい映像が映し出されているだけでなく、それが自分自身の足の下にまで映し出されることで「乗り物で空を飛んでいる感」が増しているためです。

ここでふと、自身のデザイナーとしての仕事を振り返りました。

わたしの仕事はユーザーがその商品・サービスを通じて得る体験・接点のデザインですが、NTTデータのデザインチームに所属しているため、時折、体験・接点のデザインを「デジタル」に寄せてしまっていることがあります。
わたしもクライアントもつい思考の枷というか前提条件があり、思考の枠が狭まって解決策を考える傾向にあると自省しました。

ライブハウスで開催されたオールナイトの試写会では、スクリーンの中のデジタルリマスターされた映像ではなく、スクリーンの外のフィジカルな空間を工夫することで、ユーザーである観客の体験をより手触り感のある素晴らしいものにしていたことに感銘を受け、わたしももっと思考の枷や前提条件を捨てて、体験のデザインに臨もうと決意を新たにしました。

デザインチーム「Tangity」の語源は、実体があることを意味する「Tangible」 です。今後、より一層無形化・複雑化するデジタルビジネスについて、人にとってわかりやすく「手触り感」のあるものを作り上げていくことを意図したものであり、今後も手触り感を意識しながら努めていきたいと思います。


デザイナーさん大募集


現在Tangityではデザイナー職を積極的に採用しています!サービスデザイン、UXデザインのクライアント業務の経験がある方、ぜひ私たちと一緒に働きませんか?募集要項など詳細はこちら。お待ちしております。

インスタグラムやってます!


TangityのInstagramです。ぜひフォローしてください!

この記事が参加している募集

映画感想文

映画が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?