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谷郁雄の詩のノート48

一年のうちでいちばん好きな月が五月です。仕事に行く途中や散歩の途中で見かける若葉の美しさは格別です。特別なことがない日々でも、心が高揚します。写真は、高円寺にある高円寺というお寺の駐車場で缶コーヒーを飲みながら見上げたときの、一枚。皆さんも五月を堪能してください。インスタもときどき投稿中。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発売中)



「つづれ織り」

人生は
ゲームさと
言う人もいる

人生は
旅さと
言う人もいる

人生は
問いさと
言う人もいる

人生は
忍耐さと
言う人もいる

人生は
人生さと
言う人もいる

そうかも
しれないと
ぼくは思う

クリスマスの日
小さなケーキと
通知表をもらって
下校した思い出が
ぼくの人生の原点

喜びと
悲しみの
つづれ織り



「蛇のポエム」

フランスの詩人
ルネ・シャールは
一行だけのポエムを
たくさん作った

中でも
ぼくのお気に入りは
このポエム

「蛇の健康を祝す」

蛇に向けられた
詩人のまなざしは
この上なくやさしい

蛇のポエムを
教えてくれたのは
詩人の田村隆一さん

二人の詩人は
あの世で
友達になれたのだろうか
蛇を介して

若葉輝く五月
ふらりと
散歩に出たら
近所の川を泳ぐ
蛇を見つけた

思わず
ぼくは呟いた

蛇の健康を祝す

©Ikuo  Tani  2024


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