谷郁雄

詩人。同志社大学在学中から詩作を始め、これまで40冊ほどの詩集を刊行。ホンマタカシ、青…

谷郁雄

詩人。同志社大学在学中から詩作を始め、これまで40冊ほどの詩集を刊行。ホンマタカシ、青山裕企、リリー・フランキー、尾崎世界観、吉本ばななさんとのコラボ詩集なども多数ある。作品はさまざまな合唱曲になったり、中学校の教科書にも掲載されている。詩集『詩を読みたくなる日』他多数。

最近の記事

谷郁雄の詩のノート46

街は日々めまぐるしく変わり続けます。なじみの店が閉店してしまったり、新しい店がオープンしたりと、いつもどこかで工事中。街も細胞分裂をくり返しながら生きているのですね。そんな中、高円寺の高架下では、讃岐うどんの店がオープンの準備を進めています。やったー! うどん好きのぼくは、嬉しくて、ニヤニヤしてしまいました。オープンの日のランチはうどんに決まりです。うどんをすする自分を思い浮かべながら、回転寿司へと向かいます。インスタものぞいてみてください。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発

    • 谷郁雄の詩のノート45

      ぼくも詩を書く人間なので「詩」という言葉を見ると、ふと足を止め、しばし見入ってしまいます。ここは何のお店だと思いますか? なんと、お米屋さんでした。ご主人はヴェンダースの映画が好きなのかもしれません。「ベルリン 天使の詩」からヒントを得たのでしょうか。あの映画の原題は「ベルリンの上の空」です。ぼくは元のタイトルのほうが素敵だと思います。インスタもぼちぼちやってます。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発売中) 「ナルコユリ」 細胞分裂 くり返し ぐんぐん 成長中の ナルコユリ

      • 谷郁雄の詩のノート44

        先日の風の強い日に、ランチに行こうと、高円寺駅の高架下を歩いていたら、この赤いマフラーが目にとまりました。 誰か(女性)が落としていったマフラーを別の誰かが見つけて、このガードパイプに結び付けておいたのでしょう。ぼくにはそれが、たまたま結ばれた人の縁として心に映りました。マフラーがどうなったのかは知りません。春になり、マフラーの出番はなくなります。この日の出来事も、ぼくの中では、淡い色の思い出になりつつあります。インスタでも写真と詩を投稿中。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好

        • 谷郁雄の詩のノート43

          小さな手作りのぬいぐるみをリュックにたくさんぶら下げた女子高生をよく見かけます。お守りなのか、おまじないなのか、ただの友だちなのか、よく分かりません。心の中で笑ってしまいます。女子高生は面白いいきものだと思います。柔らかな心をもって生きているようです。前回お知らせしましたが、インスタもはじめました。ぼちぼち投稿していきますので、ぼちぼちのぞきに来てください。プロフィールのインスタのアイコンから入れます。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中) 「やさしさのリレー」 誰

        谷郁雄の詩のノート46

          谷郁雄の詩のノート42

          ある日、高円寺の裏通りで見つけた真っ赤なステッカー。えっ、パンクロッカーのための労働組合があんの? しばし、その場で感動。証拠写真を撮っとかないと。でも、あとからネット検索したら、パンクバンドの名前だと判明。かなり過激なバンドらしく、おもに高円寺を拠点に活動中とか。いかにも高円寺らしいステッカーでした。最近は、花粉症で頭がぼんやりして詩が書けずにいましたが、なんとか2つ絞り出しました。高円寺の詩もあります。instagramのアカウントも作りましたが、たぶん、何もしないと思い

          谷郁雄の詩のノート42

          谷郁雄の詩のノート41

          近所のスーパーの花のコーナーで撮影した1枚。この日が「愛妻の日」に指定されてしまったのは、いつのことだったのでしょう。いろんなことが、勝手に決められていくのは腑に落ちません。「愛妻の日」とやらがめぐってくるたびに、ぼくはまた一つ齢をとります。こうして年輪を重ねていきます。愚かなままで。郁雄くん、誕生日おめでとう🎉(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中) 「バイバイ」 母が 病室を出るとき 父はバイバイと 手をふっていたという そのあと 父は 独りで死んだ バイバイ

          谷郁雄の詩のノート41

          谷郁雄の詩のノート40

          週に2回ほど行く高円寺。その高架下にはさまざまな飲食店がひしめき合っています。この食堂もその一つ。前から気にはなっていましたが、入ったのはつい最近のこと。「米」という漢字が大きく印刷された暖簾が食欲を刺激します。調理場をコの字に囲むカウンター席だけのシンプルな造りの酒場食堂。ふむふむ、さて、何食うかなとお品書きを眺めるぼくは、さながら「孤独のグルメ」の井之頭五郎さん。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中) 「火の玉」 寒さを ものともせずに ママチャリを ぶっとばす

          谷郁雄の詩のノート40

          谷郁雄の詩のノート39

          皆様、あけましておめでとうございます✨今年は元日から大きな自然災害が発生して、一日中そのニュースばかりでした。被災された方々の気持ちを思うと「おめでとうございます」という新年の挨拶にも陰りが出ます。3日の日に夫婦でお寺にお詣りに行ったら、日光猿軍団の猿回しをやっていました。猿くんも猿に芸をさせる女の子もデビュー戦で、おっかなびっくりな感じ。見物人は大笑いしていましたが、猿くんはなんだか苛立っているようでした。お金だけはちゃっかり集めて幕引きとなりました。(詩集「詩を読みたくな

          谷郁雄の詩のノート39

          谷郁雄の詩のノート38

          年の瀬の東京は青空続きの心地よい日々です。巷ではインフルエンザが猛威をふるっていて、病院の待合室には人があふれているようです。年の瀬とくれば年末ジャンボ宝くじ。今年は1等前後賞合わせて10億円。幻のような10億円よりポケットの中の千円札を大切にしたいと思います。夢がないなぁ~。noteも年内最後の更新です。皆様よいお年を。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中) 「ティッシュ」 ポケットから ティッシュを 取り出して 涙を 拭くのかと 思ったら いきなり 思い切り

          谷郁雄の詩のノート38

          谷郁雄の詩のノート37

          散歩の途中、犬を3匹連れたおばさんに出会いました。散歩をしていると予期せぬ物や人や出来事に遭遇します。ワンちゃんの背中には、小さなサンタが乗っていました。トナカイならぬ、犬に乗るサンタ。犬はちょっと迷惑顔。まだ少し早いですが、皆さんにも素敵なクリスマスが訪れますように。いや、きっと訪れると思います。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中) 「タモリ」 タモリが 世田谷線に 乗って 子どものような笑顔 いつか 乗ってみたいねと 妻と話していた かわいらしい電車 タモ

          谷郁雄の詩のノート37

          谷郁雄の詩のノート36

          お知らせです。まもなく発売になる「地球が廻っているということ」(みらいパブリッシング)という星の写真集に、星のポエムを4つ提供しました。Amazonでは予約が始まっています。いまこのときも、地球は廻り、星たちは旅をしています。そのことを体感できる素敵な写真集です。ぜひ読んでみてください。そして秋の夜空を旅する星たちを眺めてみてください。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中) 「たかが詩」 たかが詩の たかがを つい 忘れそうになる 詩よりも 大切なことは 他に い

          谷郁雄の詩のノート36

          谷郁雄の詩のノート35

          意外と近い場所に「楽園」がありました。でも、よく見ると、小さく「空想喫茶」と書かれていました。なんだ、空想なのか。このお店は、ここでコーヒーでも啜りながら、一人もしくは複数人でそれぞれの楽園を空想するための場所らしいです。あいにく、お店の入口にはシャッターが降ろされていて、お休みのようでした。日を改めて、また訪れたいと思います。「楽園」があった場所は、高円寺駅北口の裏通りです。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中) 「秋の光」 何を 見てきたの? 何を 聞いてきたの

          谷郁雄の詩のノート35

          谷郁雄の詩のノート34

          ずっと昔の話。新宿駅で詩集を売っている女の子がいました。首から「わたしの詩集を買ってください」という言葉を手書きした小さなプラカードをぶらさげて。近づいて声をかける人は誰もいない様子でした。今日、ふとその娘のことを思い出しました。詩集、買ってあげればよかったな。もう遅いけど。いまの新宿駅には詩集を売る女の子なんかいません。みんなどこかへ急いでいるだけ。街も時代とともに変わっていきます。今日の風に吹かれて歩くのがいいのでしょう。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中) 「

          谷郁雄の詩のノート34

          谷郁雄の詩のノート33

          いつものように、ランチのあとの高円寺散歩。長い夏がやっと終わり、街には秋風がやさしく吹いていました。こんな日には、この世の何もかもが、美しく愛おしく思えます。狭い裏通りを歩きながらきょろきょろしていたら、この居酒屋の看板を見つけました。高円寺には面白い名前のお店がたくさんあります。カフェの「ハティフナット」や「エセルの中庭」、古着&アクセサリーの「ひらる」など、散歩の楽しさは、変わった名前のお店を見つける楽しさでもあります。さて、今日は3連休の真ん中の日曜日。良い一日をお過ご

          谷郁雄の詩のノート33

          谷郁雄の詩のノート32

          ある日、高円寺の駅頭で見つけた可愛らしい猫のタトゥー。この猫の飼い主は「ゆい」さん。許可をもらって写真を一枚。ゆいさん、あのときはありがとう! 左腕のタトゥーといえば、レディー・ガガの左腕に彫られた詩人リルケの言葉を思い出します。「若き詩人への手紙」という本の中の言葉をガガは左腕に刻印しました。その言葉を自らの人生の指針にするために。やっと秋風が吹き始めました。今回は3つの「話」を詩にしました。皆さん、良い一日を。(詩集「詩を読みたくなる日」好評発売中) 「いい話」 いや

          谷郁雄の詩のノート32

          谷郁雄の詩のノート31

          日曜日に地元の商店街を散歩していたら、駄菓子屋が目にとまった。そのお店は道端で営業していて、20才くらいの女の子が店番をしていた。なつかしい駄菓子がたくさん並べられ、光の中でカラフルに輝いていた。店番の子の首からぶらさがる名札には「あき」という名前が。あきさん曰く「この駄菓子屋は大学生が経営してます」。大学生、なかなかやるじゃないか。ぼくはタバコを模したココアシガレットという砂糖菓子を買った。子どもの頃にこのおかしを口にくわえて、父の真似してタバコを吸う遊びをしたのが、なつか

          谷郁雄の詩のノート31