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谷郁雄の詩のノート47

高円寺駅構内に花屋さんがあります。花屋さんは2カ所にあるのですが、いつも季節やイベントに合わせた色とりどりの花が並びます。この日はちょうど母の日のプレゼント用のアジサイなどが並べられていました。そうか、もうすぐ母の日だったな。遠くで暮らす93歳の母の顔を思い浮かべました。父はとっくに亡くなったのに、母は令和のいまも生き続けています。どうせなら、100歳まで生きてほしいと思います。花もいいのですが、ぼくはこの季節にしか見られない木々の若葉の輝きを愛しています。インスタもやってます。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発売中)



「準備」

2台ある
エアコンの
掃除をして
それから
試運転

2台とも
順調に
爽やかな
冷風を吐き出している

それから
扇風機も
分解して
掃除して
リモコンに
電池を入れて
スイッチをON
こちらも
ちゃんと風を吐き出す

これで
大丈夫
夏よ
いつでも来るがいいさ
2台のエアコンと
扇風機で
お前を迎え撃つ!



「旗印」

信じる
宗教もなく
語れる
思想もなく

風にはためく
国旗も持たず

唯一の
旗印は
風に翻る
洗たくもの

ここに
ぼくらの
くらしあり

その
旗印の下で
ぼくは
詩を書き
一人の
弱虫として
意見を述べる

©Ikuo  Tani  2024


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