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谷郁雄の詩のノート22

侍ジャパンの優勝で、WBCが幕を下ろして、また日常が戻ってきました。WBCロスとやらで、心にぽっかり穴があいてしまった人もたくさんいると聞きます。祭のあとの寂しさでしょうか。日本代表としてプレッシャーの中で活躍してスポットライトを浴びた選手たちも、彼らの日常に戻り、それぞれの人生の続きを生きていこうとしています。日常といえば、街中にはマスクをしない人たちが増えてきました。失われた日常が戻りつつあるのは喜ばしいことです。出会いや恋も増えていくことでしょう。(最新詩集「詩を読みたくなる日」も読んでいただけると嬉しいです)


「素顔」

マスクを外した
素顔に
8割の人が
ガッカリするという

ガッカリさせて
ごめんなさいと 
悲しい目をする
あなたのことが

前より
もっと
好きになる


「一円玉」

お金にも
いろいろ
あるけれど

いちばん
人にやさしいのは 
一円玉

あっても
なくても
大して
変わらないうえに

不幸を
招く
力も持たない


「お返しに」

若い人からは
教えてもらう
ことばかり

お返しに
教えてあげられることが
何もない
コーヒーを一杯
ごちそうすることくらい

若い人は
ぼくを見て
安心するらしい

こんな
いいかげんな
おじさんでも
幸せそうに
生きている

このまま
自分の道を
歩いていこう

©Ikuo  Tani  2023


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