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谷郁雄の詩のノート44

先日の風の強い日に、ランチに行こうと、高円寺駅の高架下を歩いていたら、この赤いマフラーが目にとまりました。
誰か(女性)が落としていったマフラーを別の誰かが見つけて、このガードパイプに結び付けておいたのでしょう。ぼくにはそれが、たまたま結ばれた人の縁として心に映りました。マフラーがどうなったのかは知りません。春になり、マフラーの出番はなくなります。この日の出来事も、ぼくの中では、淡い色の思い出になりつつあります。インスタでも写真と詩を投稿中。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中)



「ふりかけ」

ほかほかの
白いごはんに
ふりかけを
ぱらぱら
ふりかける

ふりかけごはんを
食べていると
いつも
あの子がやってくるのだ

やさしい
ともだちであり
手強い
宿敵でもあった

一つ年下の
マコトくん

イクオくん
あそぼうよって



「天使」

天使が
存在している証拠

そこを
歩くと
心がパッと
明るくなる道

空から
大丈夫だよという
言葉が降ってくる
木のベンチ

行きなさいと
背中を押してくれる
誰かさんの
手のぬくもり

でもね
覚えておきなさい

天使も
忙しい
間に合わないときは
一人で
なんとかするしかない



「こだま」

はじめましてと
さよならは
同じ言葉の
二つの表情

それは
あなたと出会えて
よかった
という意味

あなたが
人として
好きです
という意味

はじめましてと
さよならは
姉妹のような言葉

互いに
響き合う
こだまのような言葉

©Ikuo  Tani  2024


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