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谷郁雄の詩のノート37

散歩の途中、犬を3匹連れたおばさんに出会いました。散歩をしていると予期せぬ物や人や出来事に遭遇します。ワンちゃんの背中には、小さなサンタが乗っていました。トナカイならぬ、犬に乗るサンタ。犬はちょっと迷惑顔。まだ少し早いですが、皆さんにも素敵なクリスマスが訪れますように。いや、きっと訪れると思います。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中)


「タモリ」

タモリが
世田谷線に
乗って
子どものような笑顔

いつか
乗ってみたいねと
妻と話していた
かわいらしい電車

タモリに
先を越されて
ちょっぴり悔しい

トレードマークの
黒めがね
変装道具は
ただそれだけ



「家出」

秋の
中野坂上を
ぶらぶら
歩いていたら
電柱に
家出猫の貼り紙

おや
こいつ
ついさっき
見かけたやつにそっくり

貼り紙に
ケータイ番号
少し迷って
かけるのはやめた

猫の気持ちを
尊重しよう
深い理由が
あるのだろう

特徴は
左耳の
先っぽが
食いちぎられていること



「折り紙」

折り紙の
折り方を
間違えて

ツルが
カメに
なりました

人生の
折り方も
どこかで
間違えたのかも
しれません



「歌は」

今日は
ジョン・レノンの命日
英語では
death  anniversary

顔や首に
ナゾの湿疹が現れて
痒いので
ぼくは皮ふ科に
行かなくちゃならない

痛み
痒み
寒さ
だるさ
寂しさ
生きているということ

たった
一発の
銃弾で
人は死ぬのに

歌は
人の心を
励まし続ける

©Ikuo  Tani  2023


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