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【桃】逆プラ2019お気に入り

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#ファンタジー

アンバーグリスの心臓

クジラ狩りの船団が空と海とに浮いていた。

初猟日の空はその年も底抜けに晴れて、天国の跡地まで見通せそうだった。
人だかりのできる港を避けて、ミオは町はずれの砂浜で一人、遠ざかる船影を見送った。
武装飛行船の細い腹はみるみる小さくなって、もう米粒のようだ。その影を追いかけるように、網や大砲を積んだ大型漁船の群れが海上を走っていく。
漁船の一つにはミオの父親も乗っていた。
家を出る前の早朝、父は身支

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神の化石 -ガリュンルガプ博物誌-

神の化石 -ガリュンルガプ博物誌-

 最初に言っておく。
 この物語は夢オチで終わる。
 その上伏線も一切回収されない。
 なげっぱなしである。
 つまり佐伯、お前が間違いなく不満を覚えるであろう物語だ。
 だが、現実なんてそんなものである。
 それを、今からわからせる。
 心して読め。
 しかるのちに凹めばいい。

 その博物館には、神の化石が展示されている。

 走る電車から眺める外の光景に、忍者もしくはマリオを走らせたことのな

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『牧竜』

『牧竜』

 湾曲した杖を突きつけ羊たちの鼻先から進行方向へ差し向ける。先頭のリーダーを誘導すれば羊たちは驚くほどの一体感で曲がりくねる山道を下っていく。ラマの背に揺られながら牧場へ帰りつくと祖父が山鹿のシチューを用意して待ち構えていた。硬いパンと山鹿のシチューはあまり好きではなかったが遠い日の思い出が香辛料となり祖父が骨までしゃぶりながらワインを愉しむ姿を思い出すと笑みがこぼれてしまう。

 羊や妖精と戯れ

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Who Let The One Out?

Who Let The One Out?

 ひょんなことから時間移動できるようになった俺は適当に10年くらい前にタイムスリップしてどこかの家から金をかっぱらおうとしていた。
 俺の住んでいたホワイトレスト駒川は10年前は一軒の平屋だったらしく、部屋で適当にタイムスリップすると俺はその知らん平屋の庭であぐらをかいていた。
 俺はあたりを見渡す。すると、その縁側のところに、肘掛け付きの籐椅子に座って日光浴をしているババアがいた。
「ババアだ。

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第五背板市

第五背板市

 蟻の頭をラッパで撃ち抜いた瞬間、市内に三度目のサイレンが鳴り響いた。一度目は開始を、二度目は中間を、三度目は終了を表す。追い詰めた蟻は二匹。間に合ったのは片方だけだった。震えるもう片方を押しのけ、死骸を解体する。蟻の甲皮は固く刃物を通さないが、関節に刃を入れれば簡単にばらすことができる。必要なのは油臓のみ。擬翅を落とし胴を裂く。どれだけ丁寧に取り出しても、油臓を包む膜は薄く、微かな傷から染みだし

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