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【極音】『ウエスト・サイド物語』見てからの【極音】『ウエスト・サイド・ストーリー』を見た直後の雑感

今日は立川のシネマシティ/シネマ・トゥで【極音】『ウエスト・サイド物語』と【極音】『ウエスト・サイド・ストーリー』を見てきた。



『ウエスト・サイド物語』を見た直後にスティーヴン・スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』を見ると、より21世紀の『ウエスト・サイド・ストーリー』がクッキリと見えた!


21世紀の『ウエスト・サイド・ストーリー』は20世紀の『ウエスト・サイド物語』をベースにしてスティーヴン・スピルバーグ監督が再構築リメイクをした作品である。

歌・ダンスのパワーアップはもとより、

『ウエスト・サイド物語』にはなかった新たな設定の数々に驚かされる。

まず、トニーのムショ帰りだったり、ベルナルドのボクサー設定、チノのメガネダサ男設定、アニータの針子、マリアの清掃夫など、数々のキャラクターに細かな設定を与え、ドラマ性が色濃くなっている。特にベルナルドのボクサー設定はアクションシーンでの映えだけでなく、プエルトリコ系のヒーロー的な扱いでシャークスのリーダー格として説得力があったり、ミュージカルシーンでも一部ボクシングジムが使われたり、多方面で影響がいい方に波及している。

チノのキャラ変も意外に良い。まるで『シカゴ』に出てくるジョン・C・ライリーが演じたエイモスみたいなダサ男だが、意外にちょこまか動いている。ジムのシーンやベルナルドとのやり取りなど細かいシーンが後に効く。

さらには『ウエスト・サイド物語』版のアニータ役のリタ・モレノが演じる新キャラのヴァレンティーナの役目もムショ帰りのトニーに職を与えたり、何かと相談に乗ったりする。ヴァレンティーナを見るたびにやはり『ウエスト・サイド物語』のアニータと被るので感慨深い。

それと1回目の鑑賞では歌とダンスばかりに目がいったが、意外に効果があるのはバックのロケーションの使い方である。『ウエスト・サイド物語』ではジェッツやシャークスの曲がバックストリートでの歌とダンスが中心だったのが、車がちゃんと通るメインストーリーで堂々と踊っている。同様に「アメリカ」での演出も『ウエスト・サイド物語』では室内の歌・ダンスだったが、これまた室内からアパート内、ストーリーに飛び出してのダイナミックなバージョンに生まれ変わっている。トニーとマリアが会った直後の「トゥナイト」も非常階段の鉄格子やフェンスを檻に見立てたりし、何気にバージョンアップしている。コミカルソングの「ジー、オフィサー・クラプキ」は逆に室内でダンスしているが、椅子や机などあらゆる小道具を巧みに使い、『ウエスト・サイド物語』よりも遥かに面白くなっている。

など、バージョンアップを語ったらさらに長くなるぐらい全編に渡っている。

何よりも凄いのが、

『ウエスト・サイド物語』と『ウエスト・サイド・ストーリー』を連続で見たのに、後者を完全にアナザーバージョンとして楽しめたことだ。ヴァレンティーナが出るシーンはもちろん、銃調達などのアディショナルシーンやトニーとマリアの邂逅と決闘の申し入れのシーンの場所違いなど、スピルバーグによるアナザーが全て面白くなっている。

60年前は公民権運動バリバリの人種差別の時代の中での『ウエスト・サイド物語』が、21世紀になってオバマ政権からのトランプ政権を経験し、未だに引きずる現代の『ウエスト・サイド・ストーリー』に生まれ変わった。

『ウエスト・サイド・ストーリー』は見れば見るほどスティーヴン・スピルバーグ監督の凄さをただただ痛感する!!


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