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佐野元春関連のnote

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僕が書いたnoteのうち、佐野元春に関連するものをまとめておくマガジンです。noteにしたもの以外にも僕のサイト「Silverboy Club」に多数記事がありますから、興味のあ… もっと読む
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記事一覧

佐野元春ライブ・レビュー 2023.12.19 恵比寿ザ・ガーデンホール

佐野元春ライブ・レビュー 2023.12.19 恵比寿ザ・ガーデンホール

『CHRISTMAS TIME IN BLUE』は1985年に発表された曲である。この曲の終盤、リフレインで佐野はこう歌う。

 愛してる人も 愛されてる人も
 泣いてる人も 笑っている君も
 平和な街も 戦ってる街も
 メリー・メリー・クリスマス
 Tonight's gonna be alright

この歌詞が今ほど切実に響いたことはなかったのではないかと思う。もちろん1985年からこのかた

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佐野元春ライブ・レビュー 2023.9.3 東京国際フォーラム

佐野元春ライブ・レビュー 2023.9.3 東京国際フォーラム

昨年リリースされたアルバム「今、何処」の収録曲をまとまった形で演奏する初めてのツアーとなった。初日の戸田が所用とバッティングして行けず、東京と横浜での公演を一日の間隔ではしごした。

「今、何処」が非常に完成度の高い、現在の佐野のすべてをブチこんだと言っても過言ではない力作だっただけに、それがライブでどう表現されるのか非常に楽しみにしていたツアーだったが、アルバム・リリースから一年以上経ってからの

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佐野元春ライブ・レビュー 2022.12.20 恵比寿ザ・ガーデンホール

佐野元春ライブ・レビュー 2022.12.20 恵比寿ザ・ガーデンホール

3年ぶりとなるクリスマス・ライブ。今回はファンクラブの抽選がはずれ、一般販売でもチケットを入手できなかったのであきらめていたが、行けなくなったという人からチケットを譲ってもらうことができなんとか参加できた。ありがたかった。

ガーデンホールは収容が700人強、今回は公演直前に立見も発売されたのでおそらく1,000人前後の公演が2日間だったが、それが完売したのはコロナ禍でこれまでライブを敬遠していた

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佐野元春ライブ・レビュー 2022.11.23 KT Zepp Yokohama

佐野元春ライブ・レビュー 2022.11.23 KT Zepp Yokohama

このライブは「名盤ライブ」として過去のアルバムを丸ごとステージで再現する形で行われたもの。今回は1992年にリリースされたアルバム「sweet 16」を再現する試みた。過去には2013年にアルバム「SOMEDAY」について同じ趣旨のライブが行われている。

再現ライブするなら他にもアルバムあるだろとかひねくれたことを思いながら横浜まで出かけ、雨のなかで入場待機の列をつくった。ライブは10分ほど押し

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佐野元春ライブ・アルバム「2022 LIVE AT SENDAI, FUKUOKA, OSAKA」レビュー

佐野元春ライブ・アルバム「2022 LIVE AT SENDAI, FUKUOKA, OSAKA」レビュー

2022年4月から7月にかけ、全国12か所のホールで行われたツアー「WHERE ARE YOU NOW」から、ツアー中盤にあたる5月8日の福岡市民会館、同22日の仙台電力ホール、同29日の大阪・フェスティバルホールでの演奏を8曲収録したライブ・アルバム。iTunes Storeなどでのダウンロード販売、Spotifyなどのストリーミング・サービスでの配信でのリリース。

このツアーは7月2日の東京

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佐野元春ライブ・レビュー 2022.9.29 ビルボードライブ東京

佐野元春ライブ・レビュー 2022.9.29 ビルボードライブ東京

仕事を終えてミッドタウンに向かった。21時の公演なので先に食事を終え、ビルボードに着いたのは20時半ごろか。受付とバーカウンターで結構待たされたが開演には問題なく間に合った。4階サイドの席でステージを横から見下ろすような格好になった。

このシリーズ・ライブも2012年から続いているということで、最初にここに見に来てから10年以上経ったことになる。前回は2019年だったが、その後はコロナ禍や40周

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佐野元春「今、何処」レビュー

佐野元春「今、何処」レビュー

「新作アルバム2タイトル連続リリース」の第二弾として、4月の「ENTERTAINMENT!」に続いてリリースされた通算19枚めのオリジナル・アルバム。タイトルに関してはパッケージの帯に「今、何処」との日本語表記があり、公式HPほかのパブリシティでもこの表記が用いられているが、アルバムのパッケージ本体やCDのレーベルには英文の「WHERE ARE YOU NOW」の表記しかなく、当サイトでは英文表記

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佐野元春「今、何処」全曲レビュー

佐野元春「今、何処」全曲レビュー

2022年7月6日にリリースされた佐野元春の新しいアルバム「WHERE ARE YOU NOW」の収録曲を1曲ずつ順にレビューする試み。全部レビューしたところでアルバム・レビューに進む予定。

OPENINGアルバムの導入として冒頭に置かれた20秒ほどの短いオーバーチュア。シンセサイザーの重い鳴りとピアノの固いストロークが、佐野自ら「コンセプト・アルバム」と呼ぶ「WHERE ARE YOU NOW

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佐野元春ライブ・レビュー 2022.7.2 TOKYO DOME CITY HALL

佐野元春ライブ・レビュー 2022.7.2 TOKYO DOME CITY HALL

疫病、戦争、デマ、ヘイト。21世紀は混乱の時代なのか。そんな世界でロックはなにを響かせるのか。

この日会場に集まったオーディエンスの多くは、おそらく10代のころから佐野元春の音楽を聴き、それからさまざまな人生を生き抜いて今ここにいるタフでクールなかつての少年少女たちであっただろう。頭を働かせ、足を動かし、窮地に陥っても人の助けを借り、そしていくらかの運も味方につけて、僕たちはここまでなんとかここ

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PURIFYING AT MIDNIGHT / 佐野元春プレイリスト(3)

PURIFYING AT MIDNIGHT / 佐野元春プレイリスト(3)

今回はバラッド・コンピレーション。

サンチャイルドは僕の友達アルバム「SOMEDAY」から。このコンピレーションは朝から一日を経て夜を迎え、翌朝の明け方までという流れを意識して組んでいる。アルバムでは最後に置かれた曲を冒頭の夜明けのイメージにもってくるのは気に入っているアイデア。

モリスンは朝、空港でシングル『グッドバイからはじめよう』のフリップ・サイドであるが、CDから音源を取ろうとすると結

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A KIND OF GRAFFITI 2 / 佐野元春プレイリスト(2)

A KIND OF GRAFFITI 2 / 佐野元春プレイリスト(2)

今回は「A KIND OF GRAFFITI」の後半16曲。カセットテープの時代はB面にあたる部分だ。前半の16曲はこちら。

WONDERLANDシングル『Sugartime』のフリップ・サイドに収録されていた曲。長くCD化されていなかったが、2002年にリリースされた「SOMEDAY Collector's Edition」にモノラルで収録された。ソニー・ウォークマンのCMに使われた2分強の短

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A KIND OF GRAFFITI 1 / 佐野元春プレイリスト(1)

A KIND OF GRAFFITI 1 / 佐野元春プレイリスト(1)

大学生のころから作っている佐野元春のプレイリストがある。タイトルは「A KIND OF GRAFFITI」。「それはある種のラクガキ」というサブタイトルがついた、佐野元春の同名の詩から取った。

デビューからアルバム「THE SUN」までの作品で構成された16曲のプレイリスト2つでできている。この他に「PURIFYING AT MIDNIGHT」というバラッド・ベスト、「HOWL」というザ・コヨー

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佐野元春ライブ・レビュー 2022.6.12 神奈川県民ホール

佐野元春ライブ・レビュー 2022.6.12 神奈川県民ホール

ツアー初日の三郷から2か月、セット・リストはほぼ同じだったが、コヨーテ・バンドの演奏や佐野のボーカル、ステージ運びはこなれてきており、ショーを素直に楽しむことができた。

今回のツアーは全国12か所での公演だが、おそらくは週末に合わせるために公演数の割りには3か月におよぶ長期の日程となっている。ときに公演の間が2週間開くなかでテンションを維持し、パフォーマンスの質を上げて行くのは簡単なことではない

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佐野元春│GREATEST SONGS COLLECTION 1980-1984│収録バージョン事前検証

佐野元春│GREATEST SONGS COLLECTION 1980-1984│収録バージョン事前検証

2020年9月23日にリリースされる佐野元春のベスト・アルバム「MOTOHARU SANO GREATEST SONGS COLLECTION 1980-2004」について、その収録曲のバージョンを事前に検証してみようという記事である。

というのも、佐野元春の楽曲の中には既に何回もコンピレーション・アルバムに収録され、いくつもの別バージョン、別ミックスが存在するものが少なくなく、今回のベストに収

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