見出し画像

初めまして。活動の根源の想い

今日郵便局に行ったら、ちょうど近所の方が外にいらしたので会釈をすると、

「林さんだよね?」
と声をかけていただきました。

「ラジオ聞いたよ!STVラジオに出てたでしょう。聞いたよー」
ととてもうれしそうに言ってくださるので、お礼を言うと、
「がんばってね!」と言って手を振ってくださりました。
地元の方が喜んでくださるのはひとしお嬉しいなと感じました。

私は自分に故郷がありません。
生まれ故郷の埼玉からは家族揃って引き上げてきたので、もうそこに行っても何もありません。
住んでいた家もアパートなので、取り壊されてもう既になく、別の建物が立っています。

自分にとって、生まれ育った場所に寄る辺がないと言うのは、何とも言えず、足元が不安定な感覚がありました。

しかも訳あって生まれ故郷を離れているので、簡単に帰ることができません。

WATERと言う水のドキュメンタリー映画を上映していた時、その中に1つのエピソードがあります。
それは、記憶を失って、さまよっていたある男が、ある場所の泉の水を飲んだことにより、自らの故郷思い出したと言うものでした。

水は情報を伝達するし、私たちの体は80%以上が水でできています。
水の結晶がさまざまに形を変えるのは、外界からの情報を受け入れてできる自然のシステムで、それはすべての水に当てはまります。

私は、そのエピソードを見たときに、様々な出来事があって、記憶が分断されている自分の幼少期の記憶を取り戻すために、生まれ故郷の土地に行ってみたいと思うようになりました。

そしてそれは数年前に、ほんの短時間だけ実現しました。

電車を降りて、生まれ故郷の空気を吸った瞬間、えもいわれぬ懐かしさに胸が締め付けられました。

涙が出そうになるような喉の暑さを覚えながら、記憶をたどって住んでいた家の方へ歩いて行きました。

子供の頃遊んだことのある川、そして橋、通ったことのある道、今はもうない懐かしい長屋のあった場所を通り、1時間もいないで、また電車に乗りました。

ですが、このときの経験は私の中の何かを確実に変えてくれました。

あの空気を吸っただけで、私の中の何かが落ち着いたのです。
それはとても不思議な感覚でした。

私は、自分が故郷がないが故に、とても故郷に憧れていました。

子供2人授かってから、なおさら、この子供たちに自分と同じ思いをさせたくないと思うようになり、いつでも帰って来られる故郷を作りたいと思い、がむしゃらに暮らしているうちに、大滝で一軒家のご縁をいただきました。

そして上野の土地に住んで約17年。なんてこの土地は美しいのだろうと思って、何のゆかりもないのにきた。大滝にここまで惚れ込むとは自分でも思いませんでした。

まさに水が合うとしか言いようがありません。私にはこの大滝の水はとても甘く感じます。ここの空気もとても清らかに感じます。緑は鮮やかで、紅葉は艶やかで、雪は清らかで、どれほど年月がたってもその感動は薄れる事は無いのです。

自然の中で自然と共に暮らしたいと言う私の願いは、ここを大滝で叶えていただきました。
生き物と共に暮らしたいと言う子供の頃からの願いも、ものを作って暮らしたいと言う願いも、一軒家に住みたいと言う願いも、自給自足的な暮らしがしたいと言う願いも全て叶っています。

私がどれだけ伊達大滝に感謝しているか、大滝が大好きか、それはまだ全くお役に立ててはいませんが、少しずつ形にしてきたもので明らかになっています。

骨折してからあまり作れていないけれども、地元の特産果実アロニアのクッキーの開発ができたこと。

百畳敷のニョロニョロが好きすぎて、持って帰りたいのに持って帰ることに罪悪感を感じ、思い余ってガラス細工のオブジェを作り出してしまったこと。

家の窓にできる氷紋が美しすぎて、写真を撮り溜めていたおかげで、骨折してパンが作れなかったときに、氷のアートが生まれて命を救われたこと。

またCDを作れていないけれども、紅葉舞う道を通っているときに、故郷大滝と言うとても素敵な演歌ができたこと。

子供たちと学校が入る前までは、泥だらけになって自由にさせてあげたいと半農半パン屋な暮らしをしていた中で、20年何とか継続させていただけたてんねんやと言う菓子工房を継続できたこと。

そして今、氷紋アーティストや氷紋伝道師と言うお言葉を周りからいただき、新聞さまには画家とまで書いていただき、伊達大滝の美しい氷紋をたくさんの方に喜んでいただくことができるようになってきました。

でもこれはまだまだ私が大滝にお世話になった御恩返しの爪の先ちょほどもできていないと思っています。

私の大滝愛はこんなちっぽけなものでは無いのです。もっと皆様に喜んでいただきたい、たくさんの方が喜んで大滝に来て、そして喜んで大滝から帰っていくようなことができるようになりたい。

このような思いでずっと暮らしていたら、上野町の今の清らかな土地を授かり、氷紋が生まれ、パリやフィレンツェに絵が展示していただくような稀に見るびっくりぽんの流れが生じてきました。

これも全て、私がこの土地に住まわせていただいたおかげで、この年の清らかさを先人の皆様が守り続けてきてくださったおかげだと強く強く感じています。

だから決して私の才能とか、力では無いのです。
ここを絶対に間違ってはいけないと私は心に命じています。

すべて与えていただいて、全て使わせていただいていかせていただいている。

氷紋の絵を描いている時によく思うことがあります。

今は道路ができて車で簡単に走ってこられるこの土地だったけれども、昔は牛や馬に引いてもらったりした山道だったはず。
アイヌの方が住んでいたとも聞くが、この極寒の地に和人が入植し、チェーンソーもユンボもない時代に木を切り、畑を切り開いて手作業で家を建てた、そのご苦労と言ったらどれだけのものなのか。
車やテレビが導入され始めた頃の昭和生まれの私には全く想像もつきません。

氷紋の絵を書かせていただきながら、人生の先輩のお兄様お姉様が、昔は炭鉱によくできたことや、朝起きたら、布団の襟が凍るような昔の家には毎日これができていたと教えていただいたことを思い出し、先人への感謝の念が湧くのです。

この感謝の念を感じさせていただくことも、私がこの土地に生まれ育ったものではなく、他から来たものなのに、こんなにも良くして受け入れていただいていること、この厳しい寒さの気候条件も厳しいこの土地で、集落を守ってきてくださった皆様のおかげで、私はこの美しい土地に住まわせていただいている事を思い、胸が熱くなるのです。

先人のどの行いの1つが欠けても今はないことを深く知ると、今の奇跡を実感します。

ものがありふれていて、何もかも満たされたように見える世の中ですが、私が子供の頃よりも、なぜか殺伐た事件が多かったり、様々な災害や疫病など、過去にはなかったような大変なことが増え続けていることを半世紀以上目の当たりにしてきました。

もっと幸せで、もっと優しく、もっと心安らかに暮らせる世の中を子供たちに残したい。
そのために自分が今何ができるのかをずっと考えてきました。

そこを考えすぎて、日常のことが手につかなくなることもある位で、自分がおかしいんじゃないのかと思う位ずっとそのことを考え続けてきました。

なので、事務仕事などをしていても、そのことが常に頭にあり、その延長上で絵や歌が生まれたりするので、よく誰でもできるような当たり前のことができなくなったりするうっかりものです。

どうして自分は、こんなにも人様よりもポンコツなんだろうと思い、とても情けなく、自信をなくすようなことがとても多かったです。

ですが、今、自分では世の中の役に立たないだろうと思っていた私の絵がたくさんの方に喜んでいただけるということが本当だと、一つ一つ実感させていただいて、ポンコツな部分の多くある私だけれども、こうして1つ役に立てることができたなら、とても幸せだと感じています。

逆に、搭載していていただいた絵と言うそのオプションを役に立てることによって、ポンコツな部分をカバーしていただいているような気がします。

それは、皆様がとてもうれしそうに絵を見てくださったり、メディアに出たことをを見たよと言ってくださったりしてくださるそのやりとりの中で、私は一つ一つこれでよかったんだ。大丈夫だ。間違ってないんだと言うことを噛み締めさせていただいています。

いちど捨てた絵の道に戻ってきたのは、とても不思議な感覚ではありますが、子供たちにもっと素敵な世界を残してあげたいと言うその思いを中心に置いて、では何をしたら良いかというところにシフトしてきたので、書きたいから書くと言うものでは全くなく、書かせていただいているとしか言いようがないのです。

何人かの方に、その我欲の少ないところが、ルーブルやフィレンツェの流れを呼び込んでいるんじゃないのかなぁ、と言っていただいたこともあります。

できるだけ美しい氷紋の美しさを損なわないように、その美しさをさらに春でも夏でも秋でも、溶けることなく、消えることなくお伝えできるように、氷紋アートが生まれたかのようです。

身に余るようなありがたいお仕事をさせていただいていますが、皆様に美しい氷紋を見ていただいて楽しんでいただけるように、心を整え、氷紋から大自然への感謝と、この先も美しい世界が続く願いをお届けすることで、大好きな大滝にありがとうと感謝の思いを形にできたらと思っています。

そしてそれが皆様の喜びにつながるのであれば、これ以上の幸せはありません。

まだ大学生の息子がおり、毎月ヒーヒー言っているシングルマザーですが、命ある限り貢献したいと思っており、がんばりますので、今後ともぜひどうぞよろしくお願いいたします。


この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?