扁桃腺、腫れた。どんどん、腫れた。

扁桃腺が腫れた。僕は扁桃腺をよく腫らす。季節の変わり目だとか、忙しい日が続いたりするとすぐに腫れる。うだるような暑さが続く毎日に耐えられずに、クーラーの温度を低く設定し、寝てしまったために、今回は腫れた。痛くて、喋るのもしんどい。もちろん食べることもつらい。会社の近くの内科に行く。初老の男性医師が対応してくれた。
医師は、コンビニでアイスを買ったら付いてくるような木製のスプーンで、僕の舌を押さえつけ、喉を観察する。ちなみに、そのアイスのスプーンみたいな器具は「舌圧子」というらしい。安住紳一郎の日曜天国(TBSラジオ)でこの間、安住さんが得意げに紹介していた。
「あー、盛大に腫れてるね」とちょっと嬉しそうに言う。「クーラーをつけっ放しで寝てしまって」と返す。「今、多いんだよ、そういう人」と合点がいった顔つきで医師が言う。そして、それに被せるように、「あなた、鼻が悪いね」と言う。なんでわかるんだろう!? 今まで、どこの医者に喉を見せてもそんなこと言われたことなかったのに。
「なんでわかるんですか?」と思わず僕は言う。「わかるから、わかるんだよ」と医師。なぜかはぐらかされるが、喉を見ただけで、僕の鼻の悪さを指摘してくれて、なんだか嬉しくなってしまった。ネット検索して適当に見つけた会社近くの閑散とした町のクリニックなのに、名医を発見した気分だ。その医師は、抗生物質と風邪薬と、抗アレルギー剤を処方してくれた。これで熱を出さないで済むだろう。助かった。でもアルコールを一週間禁止されてしまった。明日も明後日も、楽しみな飲みの約束があるのに。まるでそのことまで見透かしたかのように、病室を出る間際に医師にさとされた。生ビール1杯とハイボール1杯くらいなら大丈夫かなと、心の中で思いながらその病院を後にした。

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