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【詩】消して欲しいもの・立ち上がってくるもの

ある文豪の愛人だった女優の
赤裸々な手記
よく行っていたラブホテルの名前まで
出てくるのはおかしかったな
才能に溢れ見た目も完璧な妻が
夫である文豪に不倫されて気が狂い
娘もろともその女優を突っぱねるけど
女優との関係を選んだのは
夫であり父であるその文豪だからね
夫を認めないという
父を認めないという
文豪が死にそうになって入院しても
女優を病室にも入れなかったが
入院の身元保証人のところには
その女優の名前が書いてあったとか
そんな恥ずかしい話も暴露されて
暴露しなくちゃ気が済まなくて
深き業
書かないと文豪との関係が
なかったことになってしまうから?
消せない
立ち上がる
勇気? 欲?
分からないけれど
読み物としては最高に面白い

語るべき過去など何もないから
新たな物語を紡ぐのか
年寄りが昔の話ばかりするのは
面白いと思っているからなのか
ノスタルジーというだけで面白いのか
周りも面白がると思っているのか

幸いにも今
雨が降っている
雨の音に
かき消してもらいたいものはあるのか
沈思のチャンス
そこから立ち上がってくるものを
見極めよ

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