見出し画像

白饅頭日誌:11月27日「『エビデンス』がないからといってダメではないけど」

 思わず眉間に皺がよってしまう、そんな記事を見かけた。

 世の中やSNS上で客観的・統計的データやエビデンスを(第一義的に)求める風潮が強まっていることに対して違和感を持ち、これに異論を唱える社会学者のインタビュー記事である。

 何をするにも合理性や客観性が求められ、数値的なエビデンス(根拠)を示せと言われる時代。そのうち、仕事でもAI(人工知能)が導く最適解に従うことになるのかもしれない。なんだか自分の感覚や経験則には、なんの価値も無いような気がしてしまう。「客観性の落とし穴」(ちくまプリマー新書)の著者で、大阪大学教授の村上靖彦さん(53)に、エビデンス重視の世の中にどう向きあえばいいか聞いた。(中略)

 SNSでも、データを持ち出してきて、自分の気に入らない投稿を批判するような書き込みが目につきます。エビデンスという道具を使って、他者をたたきたいという暗い欲望が蔓延(まんえん)しているように感じます。

朝日新聞『「エビデンス」がないと駄目ですか? 数値がすくい取れない真理とは』
(2023年11月2日)より引用
https://digital.asahi.com/articles/ASRBZ3JWJRBWUCVL003.html
※太字は御田寺による

 この記事のなかでは「エビデンスで殴られる例」として、よりにもよって平和・人権・福島第一原発事故(にともなう処理水放出)という、ポリコレ左翼がお気持ち一本槍でごり押ししてきたせいで大きな反発を生み出したものを例示してしまったこともあり、オーディエンスからは猛烈な批判を浴びていた。

 「いやいやダメに決まってるだろ」「証拠もないのに他人を批判している奴の方がどう考えてもおかしい」「論理で勝てないからってお気持ちか?」「まーた社会学者か」「風評加害者が被害者ぶるな」——などなど、辛辣なコメントが殺到しており、総スカン状態というかちょっとした炎上騒動になってしまっていた。

( https://twitter.com/yasuhikomurakam/status/1719555480916492293 より引用 )

 インタビューを受けた張本人である大阪大学教授・村上靖彦氏は記事が炎上状態になってしまったことにX上でややご立腹のようだが、私は朝日新聞の当該記事も読みなおかつ記事が書かれるきっかけとなった氏の著書『客観性の落とし穴』も買って拝読した上ではっきり述べさせてもらうと、氏がスクショで列挙した「クソリツイート」のような意見や感想が持たれるのは妥当なのではないかと感じる。

ここから先は

4,557字 / 1画像
月額購読マガジンです。日記やコラムがほぼ毎日のペースで更新されます。さらに月ごとに特典をたくさんご用意しております。

月額購読マガジンです。コラムが定期更新されます。その他に、「白饅頭note(本編・毎月2回更新・単品購入の場合1本300円)」の2018年…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?