見出し画像

リノベーションがオシャレと言われる理由

築48年の戸建て住宅を購入し、リノベーションして暮らしている建築士の鶴見哲也です。
リノベーション体験談としてプロセスや技術的なこと、性能的なことについて書いてきました。

もっとライトな内容を書こうと思って、リノベ暮らしを始めてからよく言われる言葉「オシャレ」ということに注目しました。
なぜリノベーションがオシャレと言われるのでしょうか。

1.新築にはできないデザインができる

1つ目の理由は、デザインです。
リノベーションといっても様々な方法があります。
既存の跡形もなく直すこともできます。
しかし我が家は「既存の良い所を残すデザイン」というコンセプトで設計しました。
例えばこんな雰囲気です。

画像1

障子、緑色の聚楽壁、柱や長押等、和室の雰囲気を残しながらフローリングの洋室に変えました。
経年変化で落ち着いた色味になった木は、再塗装はせず清掃だけで残しています。
この雰囲気を新築でやろうとしても、コストも手間もかかって実現するのは難しいと思います。
また新しくした床や壁の仕上げは、既存に馴染むものになるようにと配慮し選定しました。
柱や長押という天然木を見せているので、床のフローリングは無垢材を選んでいます。
これがシート張りのフローリングだと、偽物感が強くて雰囲気が崩れてしまいます。
壁も同じく聚楽の塗り壁なので、ビニールクロスだと異素材で違和感が出てしまうので、自然素材の塗り壁を選定しました。
このように既存の雰囲気を受け入れ、馴染むシンプルな素材選定をしたからこそ、新築にはないオリジナリティのある住まいにすることができました。
このオリジナリティこそ「オシャレ」という言葉を引き出すのだと思います。

2.ラフな価値観

土地と建物を900万で購入し、リノベーションに1200万かけて暮らしています。
正直、この住まいで一生住む気はありません。
手をかけて、直しても住めない気もしています。
おそらく20年〜30年住んで、住み替えます。
県内で土地と注文住宅の両方を取得する人は、だいたい3500万円ぐらいの住宅ローンを組みます。
それに比べて私は1500万円ぐらい安い選択をしました。
20〜30年後、その1500万円を元手に住まいを考え直してもいいと考えています。
同じ場所に建て替えるもよし、土地も売ってしまいその資金を追加して双方の実家どちらかを建て替えるもよしだと思っています。
新築戸建て住宅を構えると、一生ここで暮らすぐらいの意気込みか、または何も考えていないかだと思います。
住む前から住み替えるというラフな価値観を持っていることも、「その生き方いいね!オシャレだね!」なんて言われる理由だと思います。

3.リノベはまだまだ少数派

家を建てようと考える人で、リノベーションを選択する人は少数派です。
実家を直す人はまだいますが、わざわざリノベーション前提で中古物件を購入するという人は、本当に稀です。
それは私が一級建築士で設計の仕事をしていて、建物の目利きができたり、リノベーション費用を自分で弾けたり、建築の専門知識があったからできた選択だと思います。
リノベーションは正直難しい行為です。
年々空き家が増えていますが、その中でリノベーションして住める住宅は限られています。
多くは劣化が激しく、建て替えと価格が変わらない物件ばかりです。
直せるのか、直せないのかという判断は専門知識がないと難しいことです。
建築士の中でもリノベーションが得意な人、不得意な人がいます。
家づくりを始めようと思い、建築士の知り合いもいない一般のお客さんが、内見会を回ったり展示場に行くだけで、リノベーションが得意な建築士に出会う確率は低いです。
専門家の中では、リノベーションは手間がかかるので、何かしら理由をつけてお断りする、新築に誘導するという方もいます。
このようにリノベーションを実現できる人が少数の中、実際に住んでいるだけで「さすが建築士さん!オシャレだな」と言われます。

4.まとめ

リノベーションはオシャレだと言われる理由について考えてみました。

1.新築にはないオリジナリティある雰囲気が実現できる
2.新築住宅とは異なるラフな価値観
3.難易度が高くて少数派

主に3つの理由があると思います。
どれも新築とは異なる思考、価値観というのがポイントです。
そんな価値観もあるのかと知っているのかどうかが大きな違いだと思います。
まずは知ること、そこから調べること、それが実現への着実な道です。
「建築士と写真家の夫婦が、リノベーションしたオシャレな暮らし」というクリエィティブな仕事をしている私たちの付加価値にもなっているので、どんな住まいで暮らしているのかは大切かもしれません。
ただしイメージ戦略として狙っていたら、付加価値にはなってなかったと思います。
十分な予算が無い中で、希望の住まいを手に入れようと創意工夫の結果がリノベーションで、そのプロセスへの共感が大きいと思います。
是非みなさんも住まいを手にして、豊かな暮らしを手に入れて下さい。

建築と写真で素敵な生活のサポートをしたい