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詩小説篇

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『流星の競走馬』

フリーウェイを南に向かって走っていた時、
パカラドドッ×7と夥しい数の競争馬がオレの隣を並走していた
パトカーが馬たち、あるいはオレを追っていることに気づいた

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『きみたちの優しさ』

『きみたちの優しさ』

オレは歯を磨くように入念に夢を飲み込むと、 擦り込めるだけの天然塩を歯茎に擦り込み、アキレス腱に絡みついた苦悩を解き放とうと物思いに沈む。

大きなヒノキが風に揺られサラサラ花粉を飛ばすとき、オレは緋色の空に向かって小便を放つ、高く、遠く、もちろん近隣住民の許可は得た。

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『ロクデナシたちの棲家』

気がつくとオレは部屋中知らない奴らだらけのところにいた
また、いつものロクデナシの酔っぱらいどもだ
みんな裕福からは程遠く、
若さを失い始め、
身体の末端から枯れ始めていた

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『詩 ロクデナシの1人』

『詩 ロクデナシの1人』

寡作だがそこそこイイ詩を書くカビ
素敵な1軒家に住むカビ
年に数回ガールフレンドに会うために南国へ出かけるカビ
ロクデモナイ詩人たちの中では生活にゆとりがあるカビ
数万円はするTシャツをいつも着用し、
ピカピカの高価に見える革靴を履くカビ
髪はサーファーのようにセクシーで、
歯は天然塩を使って磨くので歯茎は乙女のピンクのカビ
「どうやってそううまくやってるんだ?」ロクデナシの詩人の1人が言う
「赤

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『奇妙な男』

『奇妙な男』

funny man Charles Bukowski

ミスター・ジェムザールは土曜日の午後に自宅でパーティーを開くのが好きだった
オレたちはいつも招待された
オレの3番目か4番目の妻だったと思うが、彼女はいつもパーティーに行きたがり、家に居続けるのが惨めになるまで彼女はオレにしつこくせがんだ
その日は彼女が勝った、オレたちはエコー・パークまで車を走らせ、丘の上に車を駐め、小さな灰色の家を見下ろし

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『身体の調子がおかしい』

14時間眠った
目を覚ましたのは14:20
昨日の夜はクソな客を23:15までマッサージした
スマートフォンの画面には職場からの連絡が無数に来ている
“休む“連絡を返しビタミンCを買いに行った
1箱2000円もしやがる
ふざけた価格だったが2箱買った
1時間おきに1グラム飲む
21:00にベッドに入る
24:00を過ぎるまで寝られなかった
仕事がオレを殺していく

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『立ち寄った街で』

『立ち寄った街で』

『Notes of a Dirty Old Man』 Charles Bukowski
ニューオーリンズ、フレンチ・クォーターでのことだ
オレは路肩に立っていた
アル中の酔っぱらいが壁にもたれかかっているのを眺めていた
そいつは泣いていた
そばを通りかかったイタリアンがそいつに聞く
「おまえはフレンチマンか?」
「ああ、そうだ、俺はフレンチマンだ」フレンチマンはそう言った
イタリアンはそいつの顔を

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『136キロの女』

『136キロの女』

『Notes of a Dirty Old Man』 Charles Bukowski
ある夜、バーで136キロの女出会い、寝ることになった
他の誰もそんなことはしたくなかったがオレはやる気だった
女は脂肪のかたまりのマジのデブで風呂にすら入れない体型だった
いったいこの女はどうなったらこうなるだ、
何がしたいんだ、
どうやってこれまで生きてきたんだ、
なんて退屈な質問はしたくなかった
だからオレ

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『栄光の瞬間』

『栄光の瞬間』

『Notes of a Dirty Old Man』 Charles Bukowski
あの頃はいつも誰かがオレの部屋にいた
オレがいようがいなかろうが関係なく
そこに誰がいて誰がいないかオレは知らなかった
ただの誰かだ
体だけはでかくなったやつらで、魂はない
いつもパーティーが開かれていた
限られた運を薄く伸ばして
目の前の現実から目を背けるようなもんだ
2ドル数セントで部屋いっぱいのたわ言と

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『ブロンドの髪の長い少女と鋼の爪を持つ女』

『ブロンドの髪の長い少女と鋼の爪を持つ女』

『Notes of a Dirty Old Man』 Charles Bukowski
ある日の夜を思い出す
西地区のダウンタウンの薄暗がりにある
バーにいたときのことだ
その時オレはそのバーがある通りの角を曲がり
丘を少し登ったあたりに住んでいた
まぁ、いずれにしろオレはそのバーにいて気分良く酔っ払い
若くてタフなオレはケンカ相手が欲しくてウズウズしていた
オレは22,23で人生はまだ始まったば

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『名もなき女からの手紙とその返信』

『名もなき女からの手紙とその返信』

『Notes of a Dirty Old Man』 Charles Bukowski
ファンキーなブクへ
わたしはあんたをファンキーなブクと呼ぶから
なんでかって、あんたのことをロクデナシって思ってるから
怒らないで、だって私はあんたのキモいところが好きだから
ーわたしをゾクゾクさせるの
あんたがドレス姿の女を舐めるように眺めているときとか
エレベーターの中でシコシコしてるときとか
女のパンツの

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『手紙』

『手紙』

『Notes of a Dirty Old Man』 Charles Bukowski
1年に1度か2度手紙を受け取った 
長い手紙だ 
だいたいクリスマスの前だ 
”文章の練習に付き合って”女は言う 
エスキモーと結婚して2人だったか、3人だったかの子供がいる 
女が言うには”本を書いた”と言う 
それは本棚に飾ってあって、子供たちのために書いたと 
女はその本を誇りにしているとも 
今は”人格

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『鳥が欲しいのならまずは捕まえろ』

『鳥が欲しいのならまずは捕まえろ』

『Notes of a Dirty Old Man』 Charles Bukowski
オレはいつものように仕事をクビになった
酔っ払っていた
ガールフレンドのマギーと酔っ払っていた
昼過ぎに起きた
クソったれの芝に水をやった
二日酔いで芝生の上に立つ
オヤジがオレを嫌った理由を思い出した
オレが働くことを嫌ったからだ
飲んで酔っぱらい女と寝て過ごしてきた
今ではオレはオヤジの匂いの染みついた家と

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『階下のトイレには気をつけろ 』

『階下のトイレには気をつけろ 』

『Notes of a Dirty Old Man』 Charles Bukowski
そこは綺麗なバーだった 
巨体を担いだ若い男たちが座っていた 
生活に酷使された暗い顔つきだ 
シーンと静まりかえっている 
『スコッチアンドソーダをくれ』バーキープに言う
やつは聞こえないふりをする 
声のボリュームを上げる 
「バーテンダー、スコッチアンドソーダをくれと言ったんだ!」
やつはじっくり時間をか

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