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私の過去⑭~自己受容・赦し~



私は、宗教と両親から離れて生きて行く道を選んで、日々生きていく中で、自分で選んだ道とは言え、どうしても生きづらさを感じると、
自分の力ではどうする事も出来なかった幼少期の体験のせいだと、そんな体験を私に与えた両親のせいだと、ずっとそう思い、ずっと両親を恨んできたように思います。


両親が私にした事のせいで、私は私の人生前半の貴重な時間を奪われ、自分の心身が傷つき、心の奥深く根底に闇を抱え、それが根深くあって、どう努力しても、藻掻いても足掻いても辛く消えない、だから生きづらい。
両親のせいで、両親のせいで、私は生きづらいんだと思っていました。


それを感じる毎に、そして年齢を重ねていく中で、更に更に深く傷つけられたという思いから、両親に対して強い怒りを抱いていました。


本当に、誰がなんと言っても頑として聞き入れられない、私の頑固な部分が前面に出た、両親への怒りの気持ちでした。
自分が子育てを経験してからは、親の気持ちも少しはわかりました。
親の立場の気持ちがわかったからこそ、自分の両親の事が到底理解出来ない部分もありました。
主人や義理の母が、時々、私に両親に会いに行ったらどうか...と人情心から言う事がありました。
それは私と両親の関係を心配する気持ちからのもので、有り難く、理解は出来ました。私も頭では、そう出来ればいいとわかってはいました。
でも、気持ちがついては来ませんでした。
頭ではわかっているけど、無理無理......と。
会いに行くなんて到底無理...、
両親は加害者で、私は被害者なんだから、と、
そう思っていました。
私の両親は、宗教に傾倒し洗脳されて、
私の人生を長年押さえ付け、制限し、傷つけ続けた。私の人格や人権や気持ちを無視して、否定し続けた。
いくら親でも、そんなの酷すぎる。認めたくないけど、悲しすぎる。
両親の事を、たとえ赦したくても赦せるはずがない、と思っていました。
強い怒りの気持ちと、深い悲しみの気持ちだったと思います。

そしてそういう両親への深い悲しみを覆い隠し、その上に乗せた強い怒りの気持ちが、私を日々頑張らせる、辛くても生き続けさせる原動力になっていました。
両親への悲しみと怒りを原動力にして生きるそんな中で、
いつか両親が、自分達が間違っていた、と気づく時が来るかもしれない、と思い、
その時は、両親に、誠心誠意詫びてほしい、
本当にすまなかったと、自分達が間違っていたと心から謝罪してほしい、精一杯謝ってほしい、と思っていました。
そんなような時は来るわけないと自分に言い聞かせ、望みはすぐに打ち消し、諦めていましたが...。


両親からもしももしも謝罪があれば、長年わだかまりのある両親と私の関係が、少しでも変化するかもしれない...と、思っていました。
そしてその謝罪をしてもらう事が、両親が私の事を、私が選んだ生き方の事をやっと認めてくれる事にもなる、と思っていました。
私は両親に認めてもらいたかったんだと思います。
両親から、上辺ではなく、心から本当に謝罪してもらう事で、今の私自身と私の生き方を承認してもらいたかった。...そう...承認欲求。
そして、それを、承認を得る事が出来たら、
もしも万一そういう時が来たら、私は両親の事を赦せるのかもしれない、と思っていました。

期待していました。
今回の事(宗教2世関連の報道)を聞いて、ようやく、両親が自分達の間違いに気づいて、
私に謝って、
私の事を認めてくれるのでは??
私の生き方を認めてくれるのでは??と、
今がそのタイミングなのでは??と期待しました。
ずっと、そんな時は来る事ない、来るわけないと諦めていました。
でも、期待してしまいました。
そのために、今回は強く、両親の気持ち、解釈、捉え方がどのようなものなんだろうと、
知りたいと、諦め切れないと、強く気になったのだと思います。


妹に、連絡してよかった、
話せてよかったと思いました。
妹と話した事で、私は自分の思いの中枢を吐き出せたと思います。
妹の気持ちや立場もわかりました。
両親の立場や姿勢もわかりました。
両親は変わらないんだ、という事がわかりました。
そして両親が何があっても揺るがずに自分達の信条を貫いて生きる姿勢は、
私は私のままでいい、と、
私自身は私自身を貫いて生きる姿勢でいいと、
これからもそのように生きていったらいいという指針のように感じさせてくれました。
両親は両親、妹は妹、私は私、それぞれ違っていてそれぞれでいいと本心から思えた事が、
私は今の私のままでいい、と、
ずっと以前から今までも、そして今も、
私は私でよかったんだ、と
私は私のまま、ありのままでよかったんだ...、との自己受容と自己の承認に繋がりました。

妹への両親からの言葉を聞いてから、両親の複雑な気持ちも感じとり、
一昨年の両親との電話での両親の言葉を思い出し、
私は両親に認めてもらっていない、と、もしかして...、思い込んでいた...? と思いました。
もしかして、そういう思い込みで、
私は自分で自分をがんじがらめにしてきていたのかもしれない...と思いました。
もちろんそう思い込んでしまった要因となる、両親との数々の衝突や摩擦がありました。
でも、思い込み、それをずっとずっと長年思い続けて、苦しみ続けてしまったのは、私自身の受け取り方によるのかもしれない...と思いました。
そのがんじがらめの長年の私自身の思い込みから、私は、両親から向けられていた謝罪の気持ちや、承認などを、自分で拒絶してしまい、
受け取る事が出来なかったのではないか...と思いました。
受け取る事が出来ず、受け取る事が出来ないまま、今日まで来てしまったのではないか...と思いました。


それが、今回の一連の流れ、妹とのやり取りで、
両親の気持ちが推測出来た時、
両親の複雑な気持ちに思いを寄せる事が出来た時、
両親は、もう、いつからか、私の事を、
認めてくれていたのかもしれない... ...
認めてくれていたんだろうか...
認めてくれていたんだな... と思いました。
そして、そう思った後... ... 、
理解して...、納得出来た後... ...、
もう ... いいや... と、
もう ... いいかぁ... ...もう いいよね... ...と、
無意識に、そう呟いていました。
気持ちが緩んでいくのを感じました。
気持ちが解けていく感覚を感じました。


さっきまで、妹とやり取りしていた時は、まだ両親への怒りはあったのに...
妹に私の気持ちの中核部分を吐き出せた後、
ずっと私の中にあった両親への悲しみと怒りが、
私の生きる原動力になっていたエネルギーが、
ふっ... ...と緩まり、解け、薄れていくのを感じました。
もう ... いいや ... ...
もう、謝ってもらわなくても、大丈夫...
もう、謝ってもらわなくても、大丈夫...
もう、両親の悔いている気持ちが、伝わった...
複雑な気持ちの中に、すまなかった...という謝罪の気持ちがきっと...ある...。
そう感じました。
両親の事を、憐れむ気持ちも入り混じりました。
そして、長年今までずっと、理解し合えない関係ではあったけれど、
両親はもう、いつからか、私の事を、認めてくれていた...
そう感じました。
そう感じられ...
気持ちが、緩み解けて、心が楽になった気がしました。
心を何重にも縛り続けていた紐のようなものが、本当に緩み、ふわりと解けて、心が呼吸したような、そんな感じがしました。


少し前までの自分とは、違う感覚でした。
何年も、もうずっと何年も、両親の事を恨み、赦せない、一生赦せないかもしれない...と思っていた私でしたが、
この時以降、私は両親の事を、赦せたような...気がしています。
私は両親の事を、全ては理解出来なくても、
一部分の理解と、私なりの納得が出来たのかなと思います。
大きな大きな壁を、大きな大きな山を、越えたような気がしました。


そして、気づきは連鎖しました。
一昨年、私が両親に会いに行こうとして、動けず、行けなかった時の事です。
あとは出発するだけ、にまで準備をして、身体が動かず、行く事が出来なかった...。
それは、心の傷が刺激されて、両親に会えばまた何か衝突して傷つくんじゃないか...、きっと傷つくよ...と怖かったためでした。


そして、...その気持ちとは別の感情があった事に気がつきました。
私はずっと、両親への悲しみと強い怒りを原動力にして生きてきました。そのために、もしも両親に会ってしまうと、その悲しみや怒りのエネルギーが緩和されてしまうのでは...と。
もしも両親に会ってしまっては、
会ってもしもお互い歩み寄るような展開になってしまっては、自分自身がずっと生きる原動力にしていたものが、弱まってしまう。
そうすると自分自身を保てなくなってしまう、私は生きる事が出来なくなってしまう...。
両親に会って、もしも悲しみや怒りのエネルギーが弱まってしまっては、その後私はどうやって、何を原動力にして、何を支えにして生きていけばいいのかわからなくなる...。
それは困る、それは怖い事...、不安...、
両親に会いたいけれど、会えない...、
会うのが怖い、会った後に訪れるかもしれない変化が怖い、予測も出来ず怖い...
といった、とても矛盾した、複雑でややこしい、自分でも把握出来ていなかった、そんな気持ちがあり、その気持ちが無意識にブレーキのように働いたのではないか...と思いました。
そのため、どうしても、身体が動かなかった...会いに行く事が出来なかったのでは...。そう思いました。

そして、この気持ちは今もまだ、私の中に燻っているように思います。



⑮に続きます。



お読み頂き、ありがとうございました。




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