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“心を満たす”お金の使い方

町内に店舗を構えている事業主や、これから町内で店を始めようとする方を応援する補助制度「とうまのお店元気事業」。店舗の新築・増改築の費用を補助するもので事業開始以来、多くの方に活用いただき、新規出店や移住につながっています。

4年前にこの事業を活用して、当麻町に移住した店舗が3つあります。旭川市から移住した和食喫茶「Nostalgic JAPAN 和のみ」。恵庭市のパン店に勤め自分の店を持とうと当麻に移住したパン屋「boulangerie 廻りみち@当麻」。幌加内にあった北海道大学の製材工場をそのまま店舗として移築した元旭川市のアパレルショップ「MOONLOID」。

和のみさんはステーキやカレー、パフェといった洋食に和のテイストを盛り込んだオリジナルのメニューで人気を呼んでいます。食材にもこだわりがあり、店主の菅野さんが“これ”と思ったものだけを提供しています。景観にこだわった道道沿いの店舗。天気の良い日にテラスに出て、大雪山と田園風景を眺めながらいただく食事は、“絶景”という隠し味が加わり、より美味しく感じます。

田園風景が広がる「Nostargic JAPAN 和のみ」の店内
和のみの生麩をメインに使った天丼。モチモチとした食感がたまらない


JR当麻駅前にある廻りみちさん。メインはハード系ですが、中はしっとりとやわらかく素材のおいしさや香り、食感とどれをとっても超一流。バターの香りとサクッとした食感で人気のクロワッサンやシナモンロール、ラング・ド・ブッフなど甘さが際立つパンも好評。オープンの朝8時前には芳醇なパンの香りに誘われたお客さんが並び、午前中には商品が無くなってしまうという大人気店です。

通常のハード系とは一線を画す「boulangerie 廻りみち@当麻」のパン
柔らかい食感のパンもおすすめ。店内には芳醇なパンの香りが漂う


MOONLOIDさんはセレクト系のアパレルショップですが、取り扱うメーカーと商品にはこだわりがあり、デザインの中にも機能性や、着心地、素材など自信を持って勧められるもののみを取り扱っています。またブランドとのコラボ企画として“MOONLOIDのみ取り扱い”の商品もラインアップ。滋賀県のシュラフメーカー「NANGA」とは、独自のブランド「NANGA WHITE RABEL」を立ち上げ、NANGA製品と違った特別な素材や配色、ギミックを施したダウン製品を展開しています。

MOONLOID独自のブランド「NANGA WHITE RABEL」
デザイン性の中にも機能性や着心地などにこだわった商品を取り扱う

道道沿いであったり、駅前であったりと立地条件が良いとは言えども所詮は田舎町。正直なところ4年前は「やっていけるのかな?」と心配していました。しかし、客足はオープン当初から衰えるどころか着実に伸びているんです。良いものを取り扱っていることはもちろんですが、もう一つ大切なことがあって、そのことを移転当初から店主さんたちは話していました。

テラスから望む景色を眺めながら「“すごい所に来たな”と思うんです」と話したのは和のみ店主の菅野さん。“まわりみちしたぶんだけ美味しいパンを”と言う思いを店名に込めた廻りみちの店主會津さんご夫婦。「お店に来るまでの道のりも楽しんでほしい」と話したMOONLOID代表の甲斐さん。
広大な風景が広がる田舎道。ちょっと足を延ばす旅気分、プラス良いものに巡り合えたという満足感。田舎でしか味わえないものなのかもしれません。

インターネットや通販で買い物をしても満足感は得られますが、“心を満たす”というレベルが違うと思うのです。名店デパートで買い物をした時の気持ちと同じなのかもしれません。伊勢丹デパートでタータンチェック柄の紙袋下げながら、館内のレストランで食事を楽しむこと(当麻町近郊で言うと旭川駅前の西武デパート(5年前に閉店)で西武の紙袋を下げ、屋上のレストランで食事をする感じでしょうか?)と同じことなのだと思います。MOONLOIDや廻りみちのおしゃれな紙袋を下げながら、町の風景を楽しみ、和のみで美味しい食事を頂く。一生懸命働いて得たお金を使うなら、心を満たす度合いは高い方が良いですよね?

当麻までの道中ではこんな風景が当たり前のように見ることができます

3店舗の他に、4年前に同じタイミングで道の駅とうまの横に「コーヒーとカレーの店MERB」がオープンしました。旭川東高等学校の正面にあったスパイスカレーの老舗「米々亭」の厨房で長年その味を守り続けた斎藤さん(町内在住)がオープンさせたお店です。多くのファンに惜しまれつつ閉店した名店の味が当麻で楽しめるとあって、こちらも連日多くの方でにぎわっています。