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フライはなぜこんなにもカレーに合うんだろう

カレーを作って食べることにしたある日。せっかくだから何かトッピングしようと思い、候補にのぼってきたのはこんな顔ぶれ。

  • ヒレカツ

  • 白身フライ

  • ササミフライ

  • メンチカツ

  • ゆで玉子

最終的にこんな感じで完成したのですが、採用になったトッピングは白身フライwithタルタルソースと茄子フライ。Wフライカレーです。今回はホールトマト缶を使った、ちょっと爽やか系のカレーだったので、お肉より魚や野菜のトッピングのほうがいいかなと思ったんです。

🍛ふと気づくとフライ

食べながら、ふとトッピング候補の顔ぶれを見直すと、ゆで玉子を除いた面々は、ヒレ、メンチ、ササミに白身魚と、それはそれは見事にフライもの。

たしかに、揚げ物大好きだしな…。

いや、あらためて考えるとカレーのトッピングって、そもそもフライが多いですよね。揚げ物といっても天ぷら、フリッターではなくパン粉の衣のフライ。

もちろん、トッピングのメジャーなラインナップには、ハンバーグとか今回も候補に上がったゆで玉子とか、卵ならほかに目玉焼きとか、いろいろありますが、それでもやっぱり強いのはフライのような気がします。

ほら、載っけ系カレーの王様といえば、やっぱりカツカレーですもんね。その豪華さ、華やかさにボリューム、誰もが一目置くキングオブカレーであるはず。そのトンカツだってパン粉系フライものです。

今回も白身フライに加えて、フライの中ではちょっとマイナーな茄子フライまで作ってみる気になったわけですし、このカレーがフライを呼ぶ現象、フライがカレーを求める現象には、なにかしら合理的な説明が付く気がします。

🍛作りながら考えてみる

そんなわけで、Wフライカレー作りを振り返りながら、その理由を考えてみることにした、というお話です。

ではさっそくフライの準備から。

茄子フライはふだんは縦に四つ割にしたなすに衣を付けてますが、今回はカレーに載せやすいように輪切りスタイルに。ペラペラではなく、ある程度厚みを残します。

輪切りにする前に、縦に4筋ほど皮に切り込みを入れておくと、あとで食べやすいのでおすすめです。茄子の皮ってけっこう弾力があって噛みきりにくいんですよね。

白身魚は削ぎ切りです。茄子と厚みを揃えておくのが、食べるときにそれぞれの食感を比較しつつ楽しめるポイントになります。

衣は天ぷら粉を水で溶いたものをくぐらせて、パン粉をまぶす、トケイヤKitchenいつものスタイル。

ぱっと見、なにか分かりにくいけれど、茄子フライ準備万端。

白身も同じようにパン粉を付けます。

パン粉をつけ終わったフライを仮置きするバットは、ラップフィルムを敷いておくと、あとで片付けやすくなります。

🍛高温でかりっと揚げる

今回はどちらも火通りのいい素材なので、揚げるときは高温でOK。

下になった面の衣が固まってきたら返して、両面をきつね色に揚げていきます。

白身フライも同じ感じで。

しっかり油を切る間に、衣のかりっと感が安定します。そうそう、この衣の食感。これはカレーとの相性のカギのひとつのような気がしてきました。

🥚タルタルソースも手作り

白身フライといえば、これ。

細かく刻んだ玉ねぎとピクルスを、マヨネーズ+フレンチマスタード、こしょうで和えて、タルタルソースも手作りです。

単品でいただくなら、こんな盛り付けでいきましょう。キャベツの隣に自家製タルタル。ビールがほしくなりますね。

🍛今回のメニューはWフライカレー

でも今回はカレーにトッピング。載っけてこそのWフライカレーです。

その前に土台作り。お皿の端から1/3くらいのところまで、キャベツの千切りとごはんを盛りつけて、空けておいたスペースにカレーをたっぷり注ぎます。それからフライを載っけます。

といってもカレーソースの上に置くと、せっかくかりっと揚げた衣がいきなりソースを吸ってクリスピーさを失ってしまうので、載せる場所はごはんの上です。

この配置なら、フライは基本的に衣カリカリで楽しめます。まず茄子フライをひと口。衣の中からじゃわっとジューシーな茄子の旨味が登場。続いてタルタルソースをかけた白身。こちらは衣に閉じ込められた熱々の身が、ふっくら仕上がっていて美味しいです。

ここでキャベツで口の中をリセット。あれば福神漬やらっきょうが活躍するポジションを、今回はフライの付け合わせとして定番のキャベツがとって代わります。なぜならばそこにフライがあるからです。しかも2種類。もはやカレーを食べていることすら忘れそうに完璧な、ミックスフライの布陣です。

でもやっぱりきょうのメニューはカレー。

カレーに白身フライとタルタルソースを載せたものであって、ミックスフライにカレーを添えたものではないのです。ここがカレーの強さ。メインを張るのはあつまでカレーです。

あのトンカツでさえ、カツカレーのときは主役ではなく、カレーのトッピングの一種になってしまうのですから。

カレーをひと口食べて、そして今度はフライをカレーにくぐらせて、カレー味でひと口。こうすると、最初にフライだけで食べたときとはまた違う味が生まれます。白身フライはマヨベースのタルタルとカレーが混じって、さらに新しい味に。カレーとトッピングは、組み合わせれば組み合わせるごとに、無限の掛け算効果を生み出してくれます。

ここまでたどり着いて、カレーのトッピングといえば、なぜ最初にフライが出てくるのか、という問題の答えが見えた気がします。

🍛カレーとフライのオノマトペ

カレーを食べるときのオノマトペって“もぐもぐ”だと思うんですよ。アレンジしたとしても“むぐむぐ”とか“はむはむ”とか。なんなとく少しこもったような音で、鼻濁音的な印象ありませんか。なぜならばカレーも、それを受け止めるライスもやわらかいからです。

ではフライはどうでしょう。まずひと口目は“カリッ”とか“サクッ”とか。ちょっと高い音で、しかも開放的な感じがします。

これ。もぐもぐとカリッ。はむはむとサクッ。この組み合わせが、フライとカレーが王道の組み合わせになった理由ではないでしょうか。

かりっと揚がった食感になにかしらのカギがあるとは思っていましたが、これではないでしょうか。

音楽でいうハーモニー。色彩構成でいうコントラスト。そんな感じの同一、同種ではないからこそ、引き立てあい、輝き、輝かせる組み合わせ。フライとカレーにはそんな共存共栄、共生の関係がある気がするのです。

そして、衣の特徴を考えると、それが唐揚げでも天ぷらでもなく、フライである理由もわかった気がします。唐揚げは衣が薄すぎるし、天ぷらは天ぷらそばでもご存じの通り、衣があっという間に水分を刷ってしまうからです。比べて、フライの衣はたくましいです。多少の水分にはびくともしないことは、コロッケそばが教えてくれてます。

結論。カレーは美味しい。フライを添えると美味しさの種類が増える。奥行が広がる。フライも美味しい。カレーに添えると、フライをフライとして食べる楽しみに、カレーと食べる楽しみが付加される。

今度作るときは、なにを揚げようか。今度はフライの中でも、なにが一番カレーに合うのか、突き詰めてみたい。そんなことを考えています。



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