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スコットランド ネス湖 クルーズ編

ネッシーとは

"ネッシー" といえば、私が幼い頃に話題になった都市伝説的な生き物で、当時(1980年代)テレビでネッシーなるものを見て、幼心おさなごころに「怖いけれど見てみたい」というありがちな好奇心を持ったことを今でも覚えている。

ネッシーをご存知ない方のために -

ネッシー(英: Nessie)は、イギリス、スコットランドのネス湖で目撃されたとされる、未確認動物「ネス湖の怪獣 (Loch Ness Monster、ロッホ・ネス・モンスター)[1]」の通称。未確認動物の代表例として世界的に知られ、20世紀最大級のミステリーとして語られてきた。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ネス湖(Loch Ness)は私にとってはそんなイメージだったので、今回の訪問には少し不思議な感覚があった。日本や、私の郷里からはとてつもなく遠い場所なのに、まだ何も知らない幼い頃から、その存在の一部(ネッシー)を知っていた、ある意味で身近とも言える場所だった。

インヴァネス市内散策

厚い雲に覆われた不安なお天気で始まったこの日、渡英用に購入した軽量の折り畳み傘をお守りに、午後のクルーズまでは市内散策を楽しもうと朝も早々に宿を出た。

小さいながら美しい教会。紫のドアが印象的。そして後ろの雲行きがすこぶる怪しく、実はそちらに目が奪われる。

イギリスでは定番の、玄関先に飾られたお花。お天気が悪い国だけに、彩り鮮やかな花々が私たちの目を楽しませてくれる。(しかしやはり、後ろの怪しい雲行きが気になる)

おかしなお天気だったこの日、前方には明るい空が垣間見えるのに…
振り返ると、こちらは黒い雨雲が広がっていた(同じ通りである)。思わず何度か振り返ってしまった。

インヴァネス城はこぢんまりした小さなお城。小高いこの場所からの眺望ちょうぼうは、市内を見渡せてとても美しい。

まるでランチタイムを見計らったように雨足が強まり、私は近くのカフェへお昼がてら避難した。インヴァネスの人たちは、それぞれに穏やかにランチタイムやおしゃべりを楽しんでいた。


旅行者というものは、地元の方々やその生活に触れることで、よりその地への思いを深くする。はるか遠くから来た異邦人の私を、インヴァネスの人々は淡々と、そして時には親切にもてなしてくれた。それは彼らの精神そのもので、寒いけれど温かい、そんな思いを抱いたインヴァネスの散策だった。


ネス湖のクルーズ

そして待望のクルーズがスタート。気温も低く、風も冷たくまるで冬のようなお天気のクルーズに、少々くじけそうになったのは私だけではあるまい。しかし果敢に船外に出てみると、湖面の美しいことと言ったらない。

それは ロックローモンド(Loch Lomond)とはまた違った、より北の大地の荒々しさと清らかさを併せ持ったような個性のかたまりだった。こんなお天気なら、ネッシーのような怪物が現れたとて驚くどころかまさしくその通り、と納得してしまいそうになる。ネス湖はそんな場所だった。

アーカート城

南北に細長いネス湖の北端からスタートしたクルーズは、湖の中腹より若干手前にある アーカート城 (Urquhart Castle)に到着した。

これほど厳しい気候の地で中世の時代にもお城が作られたとは、スコットランド人も相当に我慢強い。そして例外なくグリーンがすこぶる美しく、青空が覗けばあのブルーとグリーンの最高のコンビネーションが私たちの視界を彩っていた。

風のため体感は一層低くとても寒いネス湖だったけれど、晴れ間が覗けばそれは目が醒めるほどの美しい眺めだった。まるで絵画の世界から飛び出してきたような、しかし今は廃墟と化したお城に、旅行者はそれぞれに思いを馳せていたことだろう。

ひと時の晴れ間がこれほど有り難く美しく感じられるのは、北の大地ならでは。これを美しいと感じない人はいるのだろうか。

約一時間のクルーズ、アーカート城での一時間の散策を終え、名残惜しく(しかし一方で寒さからは解放されほっとしつつ)復路はバスで市内へ戻った。

名物ツアーガイド

復路のバスでは、アナウンサーか芸人か?とも思えるほど美声で話し上手の名物ツアーガイドの男性が、ネス湖やアーカート城、インヴァネス、そしてスコットランドの歴史を愉快に語ってくれ、車窓を横目に楽しい帰り道だった(蛇足だが、あまりの話の上手さに私は録音してしまったほどだった)。感謝の意味も込めてそのツアーのリンクを張っておきたいと思う。

Loch Ness by Jacobite

Thank you Alan and Jacobite for your amazing tour!

フィッシュ・アンド・チップス専門店

市内中心部に戻った私は、再び晴れ間が覗く市内をゆるく散策がてら、夕食を求めて地元で有名だというフィッシュ・アンド・チップス専門店へ向かった。

フィッシュ・アンド・チップスは、日本で言えば肉じゃが、といったところだろうか。イギリスの代表的でかつ一般的な料理の一つ。珍しくもないが、それだけに特筆するほど "美味しい!" と感じたことも個人的にはあまりなかった。

魚の他に、チキンやパイなどのメニューもある。

…が、おそらく幾度となく食したイギリスのフィッシュ・アンド・チップスの中で、こちらのお店のものは私にとっては一番美味しかったものだと思う。空腹は一番の調味料というから、クルーズを終えた私にとっては何でも美味しかったのかもしれない。けれど白身魚もフレッシュで、ポテトもほくほく、何より出来立てである。イギリスでもやはり田舎はごはんが美味しい、と感じた夜だった(ちなみに、写真はハーフサイズである)。

Mcleod's Traditional Scottish Fish and Chips 
29 Grant Street
Inverness, IV3 8BN
https://www.mcleodsfishandchips.co.uk/

一日の最後を美味しいもので〆られて満足感に浸れた私は、まもなく終わりを迎えるスコットランドの旅に想いを馳せつつベッドに就いた。


追記: どうやら6月9日は「ネッシーの日」でもあるようです。飽くまで都市伝説レベルの話です…が、たまたまこの日にネッシーのトピックを更新したということで面白いので書き加えておきます。(2022年6月10日)

6月 9日 ネッシーの日
1933年のこの日、スコットランドのネス湖の怪獣「ネッシー」の記事がイギリスのタブロイド紙「デイリー・エクスプレス」に掲載され大きな反響を呼びました。

「ネス湖の怪獣(Loch Ness Monster、ロッホ・ネス・モンスター)」の目撃情報は6世紀ごろから記録が残っているそうですが、この新聞記事のあと、目撃例が飛躍的に増え、翌年には水面から長い首が突き出たあの有名な写真が発表されるなど、盛り上がりを見せました。

出典: 科学 今日はこんな日 ブルーバックス編集部

※ 挿入されている写真及び画像、動画コンテンツはすべて筆者によるものです。また、施設等の情報は、当記事執筆時点(2022年6月)のものとなります。

(Inverness, 30 June 2019)

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