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名曲名盤紹介 クラシック編

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ブラオケ団員がおすすめしたい、至極の名曲や名盤の数々を紹介しています。 ここではクラシックを特集しています。 お気に入りの一曲が見つかるかも!?
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名曲名盤紹介コラム ~ クラシック#15 組曲《くるみ割り人形》より「行進曲」

名曲名盤紹介コラム ~ クラシック#15 組曲《くるみ割り人形》より「行進曲」

 皆さんは、人生で初めて聞いた曲を覚えているだろうか。きっとここを見ている音楽好きの皆様は色々な曲を挙げるだろう。私はカラヤンとベルリンフィルによって 1965 年に録音された《展覧会の絵》のプロムナードだった。
 気になったのは、人はいつオーケストラ曲に出会うのか、ということだった。そこで、今回は「皆がよく知っている」という視点のもと、有名なオーケストラ曲を取り上げたい。

 では、何をもって「

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名曲名盤紹介コラム ~ クラシック#14 プーランク:生誕 100 年記念 室内楽全集

 フランスの作曲家「フランシス・プーランク」の作品を聴くと、非常に独特且つ簡素な旋律で、どことなく心地良さを感じざるを得ない。オペラやバレエのような舞台音楽から、管弦楽曲、室内楽曲、合唱曲、教会音楽など、多岐に渡る作品を残しており、「プーランクの作品と言えば?」と聞かれたら、三者三様の回答が返ってくるであろう。その中で、今回ご紹介する室内楽全集は、プーランクの生誕 100 年を記念して 1999

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #13 スーザン・ニグロ「ザ・ビッグ・バスーン」他

ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #13 スーザン・ニグロ「ザ・ビッグ・バスーン」他

 コントラ〇〇という名前が付いた楽器の魅力を考えたことがあるだろうか?管楽器に限定した場合、オーケストラプレイヤーであればコントラファゴット、吹奏楽プレイヤーであればコントラバスクラリネットあたりがパッと思い浮かぶだろう。極稀にコントラバストロンボーンも登場する。
 これらの楽器は、非常に低い音域を担当する楽器であり、また、フォルテで鳴らす場合は、地響きが起きているような錯覚に陥るほどの低いサウン

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #12『ジョリヴェ:エラート録音集成』

 作曲家「アンドレ・ジョリヴェ」と聞くと、難解な作品を作曲する人というイメージを持つ人が多いようだが、実際には前衛的な音楽から、分かりやすいCM音楽まで、様々な作品を作曲しており、必ずしも全ての作品が難解という訳では無い。ジョリヴェは、1905年に生まれ、1974年に没したフランスの作曲家であり、同じくフランス生まれの作曲家ヴァレーズの影響を大きく受けている。故に、十二音技法や実験的音響に対して特

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #11 『序曲「南国にて(アラッショ)」 作品 50』

イギリスの作曲家、エルガーと言えば『威風堂々』を思い浮かべる人が多いだろう。他にも、『愛の挨拶』や『ニムロッド』、『チェロ協奏曲』あたりを思い浮かべる人が多いと思われるが、『南国にて(アラッショ)』を思い浮かべる人はなかなか居ない。エルガーは、イギリスでは超有名人ではあるが、日本においては、日本語の伝記が2023年1月時点では電子書籍(水越健一著:「愛の音楽家エドワード・エルガー」他)でしか販売さ

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #10『21世紀のチューバ協奏曲』

 協奏曲と言えば、ピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲などをイメージする人が多いと思われるが、当然のことながら、ある程度認知度が高い楽器であれば、その楽器専用の協奏曲を作曲する作曲家も現れてくる。例えば、アホが作曲したコントラファゴット協奏曲、パーシケッティのイングリッシュホルン協奏曲、エワイゼンのテナーサクソフォン協奏曲やバストロンボーン協奏曲、ラヴィ・シャンカールのシタール協奏曲など、多岐に渡る。

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #9 『マーラー:交響曲第9番(バーンスタイン & ベルリンフィル)』

 マーラーの交響曲第9番を聴くと、たとえ初めて聴く人であっても、誰しもが重々しく感傷的な雰囲気を感じ取ることが出来るだろう。マーラーは「死」を非常に恐れた作曲家だからである。当時、9番目の交響曲を作曲すると死ぬというジンクスがあり、実際に、ベートーヴェン、ドヴォルザーク、ブルックナーなど、何人かの著名な作曲家は、9番目の交響曲を作曲した後に亡くなっているのだ。勿論、マーラーの「死」に対する意識は、

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #8 『マーラー:交響曲全集』

 今回は、名盤紹介として、DECCA社から発売されたリッカルド・シャイーとロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団によるマーラーの交響曲全集を紹介したい。

 シャイーによるマーラーの交響曲は、1986年から2004年に掛けて録音されており、第1番から第9番までがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)、第10番がベルリン放送交響楽団(現在のベルリン・ドイツ交響楽団)による演奏となっている。シャイー

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #7 ニルス・ゲーゼの作品

 今回は、デンマークの作曲家、ニルス・ゲーゼの作品をご紹介したい。

 ゲーゼ(1817-1890)は、北欧諸国の音楽界の近代化に貢献したと言われる、音楽史上、非常に重要な作曲家のひとりである。ゲーゼと聞いてピンと来る人は相当なマニアだが、グリーグやニールセンなどに影響を与えた作曲家であり、北欧音楽における功績は大きい。なお、グリーグのピアノ作品集『抒情小曲集』のゲーゼという小品があるが、これは作

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #6 『交響曲 第4番『ロック交響曲』 / I.カルニンシュ』

 今回は、イマンツ・カルニンシュの『ロック交響曲』を紹介したい。

 ところで、クラシック音楽の変遷というのを、これまで考えたことがあるだろうか。小学校や中学校の音楽室を思い起こしてみると、大抵の学校では、左から順番に古い作曲家の肖像画が飾られており、通常はバロック初期に活躍したヴィヴァルディの写真が一番左に飾られていることが多いであろう。『いやいや!私の出身校は先生がマニアックだったので…』とい

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #5『サンベリーナ組曲 / A.パヴロワ』

今回は、ウクライナ出身のロシア女流作曲家、アラ・パヴロワの『サンベリーナ組曲』を紹介したい。

アラ・パヴロワは、1952年にロシアで生まれた現代音楽作曲家であり、モスクワで作曲を学んだあと、1983年からブルガリアでオペラ作曲を中心に活躍した。1990年からはアメリカを拠点にしながら活動しており、現在Naxos社から出版されている作品の多くは、アメリカに拠点を移してから作曲された作品である。パヴ

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #4交響曲 第1番『巨人』/ G.マーラー

今回ご紹介するのは、ルツェルン祝祭管弦楽団が2009年に演奏した、マーラー交響曲第1番の動画です。ルツェルン祝祭管弦楽団とは、スイスのルツェルンで開かれる「ルツェルン音楽祭・夏の音楽祭」において臨時編成されるオーケストラであり、主に、ヨーロッパの有名楽団のメンバーや、著名なソリストを招いて演奏する楽団です。トランペットの1stはラインホルト・フリードリヒで、オケのラッパ吹きならば知らない人はいない

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #3『交響曲第7番第2楽章 / L.v.ベートーヴェン』

ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #3『交響曲第7番第2楽章 / L.v.ベートーヴェン』

●はじめに
ベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章は、何故冒頭の和音がAmの第2転回なのだろうか。今回は、この冒頭の和音について考えてみたい。

 第2楽章はイ短調から始まり、第2転回は基本形よりも不安な響きを持つものであるが、何も知識が無い状態で考えれば、ベートーヴェンは第2楽章で暗い何かを表現したかったのだろうと考えるであろう。しかし、緩徐楽章でありながらAllegrettoという指示を出してい

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クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #2 歌劇『最後の審判の日の預言者』よりコラールとフーガ/W.ペッテション=べリエル

2 回目の私からのクラシック名曲紹介では、ウィルヘルム・ペッテション=べリエルの歌劇『最後の審判の日の預言者』よりコラールとフーガを紹介したい。

ペッテション=べリエルと聞いてピンと来る人は、相当なオケマニアでしょう。ペッテション=べリエルは、スウェーデンの作曲家であり、ピアノ曲集『フレースエーの花々』がスウェーデンでは有名であるが、日本では殆ど知られていない作曲家である。大変に毒舌な評論家であ

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