都升品調

絵やら写真やらアニメーションやら小説やら詩やら散文やら映画やら音楽やら

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最近の記事

反転するメルカトル\\\\ショートアニメーション&ショートノベル

 この巨大なビルには何でもある。どこかの国の有名な建築家が設計したらしい。うねうねとしていて何かの生き物のようにも見えるそのビルには銀行もあるし病院もあるし洋服屋だとか玩具屋だとか家具屋だってある。図書館も映画館も遊園地もゲームセンターもカジノも住居もホテルもオフィスも世界中の飲食店も入っている。このビルが一つの街のようになっている。  でもこのビルの最上階に行ったことのある人には会ったことがない。噂では最上階に行くためのエレベーターがあるらしいが、それはいつも同じ場所では

    • Animation & Poetry-short short CAKEs///complete edition

      Cut 1. Sand たぶん嘘だと思うけれど砂漠を歩いていたらケーキに乗った男がものすごいスピードで走り抜けていった。綿飴のような砂埃が舞って空中をふわふわと漂っていた。その欠片が口に入ると甘かった。どうやら綿飴のようだった。 Cut2. Blues cheese 四十年かけてミュージシャンがブルースを聴かせ続けなければそこの店のチーズはできないんだぜ。そう言いながら悪魔が四分の四拍子のリズムで踊っている。 Cut3. Cake plane 昔食べた惑星は甘かっ

      • 夜はいつでも回転している//////////////////////短編集【B面】

        100の夜を巡る短編集 A面 1夜ー50夜 B面 51夜ー0夜 この物語はフィクションであり 実在の人物・団体とは一切関係ありません 51夜 Big fish 死んだらどうなるか?なんて子供の頃から話す定番のテーマだし大人になっても酔っ払った席では宇宙の話だとかタイムトラベルだとかと同じ様に話題にしていた。もちろん誰もその答えを知っている奴なんていない。死んだ事がある奴がいないんだから当然だ。死んだ人は大勢いてもそこから戻ってきた人はいない。戻ってきたならそれは死ん

        • 夜はいつでも回転している//////////////////////短編集【A面】

          100の夜を巡る短編集 A面 1夜ー50夜 B面 51夜ー0夜 この物語はフィクションであり 実在の人物・団体とは一切関係ありません 1夜 I Wanna Be Your Dog 深夜のコンビニでバイトをしているとたまにおかしな客が来る。客が一人もいないので、相棒は仮眠をとっていて僕は廃棄するサンドイッチを頬張っているとやたらと荷物の多い男が入ってきた。カメラの映像を眺めながら男が何か買うようであればレジに行けばいいと考えながらボブ・ディランの曲のタイトルを思い出そ

        反転するメルカトル\\\\ショートアニメーション&ショートノベル

          short short CAKEs////short animation and poetry ②

          Cut11. Smoking bird スモーキングバードは大陸を移動していた。タバコが吸いたくなったがライターをどこかへ落としてしまった。大きなホールケーキがあった。その中心には蝋燭に火がついていたのでタバコに火をつけて息を吐くと蝋燭の火が消えた。今日はスモーキングバードの誕生日だった。 Cut12. Big strawberry city その街には年に一度巨大なイチゴが落ちてくる。 Cut13. Night pool そのプールは夜の間だけブルーベリーケーキ

          short short CAKEs////short animation and poetry ②

          short short CAKEs////short animation and poetry ①

          Cut 1. Sand たぶん嘘だと思うけれど砂漠を歩いていたらケーキに乗った男がものすごいスピードで走り抜けていった。 Cut2. Blues cheese 四十年かけてミュージシャンがブルースを聴かせ続けなければそこの店のチーズはできないんだぜ。そう言いながら悪魔が四分の四拍子のリズムで踊っている。 Cut3. Cake planet 昔食べた惑星は甘かった気がするけれど、大人になってから食べるとなかなか説明できないような味がするんだよね。 Cut4. Sug

          short short CAKEs////short animation and poetry ①

          Short Animation and Poetry

           彼は眠るために作られた。頭部はテレビでできていた。何故そうなのかはわからない。自分の中身がどうなっているのかなど知らない。もしかするとただの空洞ということだって十分ありえる。眠るためにに作られたくせにちっとも眠れない。彼は不眠症の機械だった。眠れないなら仕方ない。夜の電波を捕まえようと外に出た。そうする理由は特にない。ただの気晴らしで暇潰しでしかない。夜の電波は要するに時間のことだろう。時間を捕まえて時間を消費しようということだが彼はそんなことは特に考えていない。ただふらふ

          Short Animation and Poetry

          六本木アートナイト2023

          六本木アートナイト2023のRAN TVとして公開中 六本木アートナイト2023当日に六本木ヒルズメトロハット大型ビジョンにて映像上映されます。 上映時間:5/28(日) 0:00〜7:00 公式YouTubeチャンネル【RAN TV】 More info 六本木アートナイト2023

          六本木アートナイト2023

          Redundancy (short animation and poetry)

          世界中の全ての信号が赤信号になった 無数にドアがある家から飛び出して 車に飛び乗った 瞬きするごとに昼と夜が入れ替わっている 時間を巻き戻すために カラーコーンを被ってムーンウォークをしている いつまで経っても今日が終わらない 今日という時間が引き延ばされてるんじゃなくて 今日が明日を侵食している 時間を肌で内臓で感じるのは 自分の時間がゼロに近づいた時だけだ

          Redundancy (short animation and poetry)

          夜はいつでも回転している

          81夜 偶然の映画 熱がある状態で文章を書くとどうなるのかと思いこれを書いています。それというのも今は真夜中で熱が何度あるのかわからないですが、冷たくて熱い体を毛布に包んで家の中を移動してホットレモンを飲みながらテレビをつけると映画をやっていました。知らない監督で知らない俳優たちばかり出ているし内容的にも普段観ない映画だけれど暫くぼんやり眺めていると昔観たことを思い出しました。何歳かわからないですが、子供の頃でまだ映画なんて観ていなくてアニメや特撮ヒーローやら怪獣やらロボッ

          夜はいつでも回転している

          夜はいつでも回転している

          82夜 泥棒 今日は仕事を休みにして久しぶりに飲みにいった。店を出ると雨が降っていたが傘を持っていないのでそのまま濡れて帰った。昔から傘を差すのが苦手だった。酔いも醒めて帰宅すると部屋の物が綺麗になくなっていた。泥棒が泥棒に入られるとはね。部屋にあったのは盗んできた物ばかりだった。もうどこで盗んできたのか思い出せない。押し入れを開けるとひとつだけ盗まれていない物が残っていた。懐かしいラジオだった。これは盗んだ物じゃない。盗みを始める前に持っていた物だった。もう随分前に処分し

          夜はいつでも回転している

          夜はいつでも回転している

          83夜 日常 彼女の不機嫌な顔が見える。なんで不機嫌なのかわからない。特に理由を思いつかないってことは僕には想像できないような理由に違いない。なんてことを考えていることがバレたらさらに不機嫌になるに違いない。こういう時は何も言わない方がいいに決まっている。なのに思わず聞いてしまう。 「どうしたの?」「もし私が死んだらどうする?」「そんなこと考えてたの?」「たぶん君は私が死んでもいつも通りご飯食べて、もち丸の散歩して、テレビ見ながら笑って、お風呂に入って、ビール飲んで、歯を

          夜はいつでも回転している

          夜はいつでも回転している

          84夜 月を釣る 男と女が部屋の中にいた。 部屋の隅には幽霊がいた。 幽霊は何かをしゃべっているが男女には聞こえていない。 幽霊にとって1日は24時間ではなくなった。 腕時計の針は既に鳥のように夜の中へ飛んでいった。今頃はアフリカ大陸に向かっているのかもしれない。 幽霊は老人であるのと同時に子供でもあった。 男が何かを決断できないでいるのを女は見つめていた。女はタバコに火をつける。女の匂いとタバコの煙が混じり合う。幽霊はかつて自分がこの男だったことを思い出していた。 窓の外を

          夜はいつでも回転している

          夜はいつでも回転している

          85夜 エレファント 布団に入って眠っている時にあるアイデアを思いついた。朝になったらきっと忘れてしまうが、寒いので布団からわざわざ出てメモをとるのも面倒だ。 しかし今書き留めておかなければ永遠に思いつくことはないかもしれない。まずは言語化してすぐにメモに取れるようにしよう。頭の中でアナログなイメージのアイデアを言葉に変換していく。止め処なく言葉が溢れてくる。アナログなアイデアの種はすぐに芽を出して巨大化していく。周りに生えているアイデアも巻き込みながらさらに巨大樹となっ

          夜はいつでも回転している

          夜はいつでも回転している

          86夜 壁 アールデコだかアールヌーボーだかの模様を施された大きな額縁に入った絵がある。シミのある壁のような抽象的なものを描いた大きな絵だった。壁にはシミや落書きが描いてあった。作者不明のその絵は資産家の屋敷に飾られていた。 パーティーを抜け出して広い屋敷の中を探索している時に見つけた。どこかで見たような気がする。しかしこの屋敷に来たのは初めてなのでここで見たわけじゃないだろう。 しばらく眺めていると違和感があった。それがなんなのかすぐにはわからなかった。更にじっくり見

          夜はいつでも回転している

          夜はいつでも回転している

          87夜 新しい世界 パーティー会場はそれほど広くはない。ラウンジDJが会話が成り立つ程度の音量で音楽を流している。誰もが話しているがあまり話が頭に入ってこない。どうにも居場所がないような感覚が急に襲ってきてすぐにでも帰りたい。会話は途切れてもまたすぐに別の会話が始まっていく。きりがない。 奥の方で妻と見慣れない男が話している。時折男が不穏な目でこちらを見てくる。どうにも居心地が悪い。何気なく会話の輪から抜け出して妻の横にいくが気が付いてもらえない。 腰に手を回すとこっち

          夜はいつでも回転している