利用者に頭痛・胸痛の訴えがあった場合の対応「緊急時もしくは事故の対応に関する研修」
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。
私は作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、管理職に必要な知識と情報をシェアしていきたいと思います。
今回は、『利用者に頭痛・胸痛の訴えがあった場合の対応』についてお伝えしていきます。
冬に向けて、頭痛・胸痛への対応方法を確認しておくことはおススメです!
「頭痛・胸痛への対応方法が統一されていない」
「頭痛・胸痛への知識をつけたい」
「今年度の緊急時研修をまだしてなかった」
そんな方にオススメな内容です。
それでは早速お伝えします。
危険な頭痛を察知しよう!
頭痛は誰もが経験する一般的な症状です。
自然に治まる軽症のものもありますが、時には命にかかわる緊急性の高い頭痛( 脳血管障害) もあります。
特に注意が必要なのは、突然の激しい頭痛、意識障害、嘔吐、麻痺などを伴う場合は緊急対応が必要です。
高齢者に頭痛の訴えがあった場合は下記の項目に注意して、緊急性の高い頭痛を見逃さないようにしましょう。
よくある頭痛
よくある4つの頭痛をお伝えします。
1,片頭痛:
血管が拡張することでズキズキとした拍動性の痛みが生じる頭痛です。
主にこめかみから目のあたりが痛みます。
痛みの発作は4時間~数日間続きます。
片側に現れることが多いですが、両側から痛むこともあります。
女性に多く、20~40代女性に起こりやすい頭痛とも言われています。
痛みが出る前に目の前がチカチカ光ったり肩こりを自覚することもあります。
2,緊張型頭痛:
頭や後頭部から首にかけての筋肉の緊張により起こると考えられている頭痛です。
夕方に現れやすい特徴があります。
身体的ストレスや精神的ストレスが重なることによって症状が悪化すると考えられています。
3,一時的な頭痛:
風邪・二日酔いなどの原因な場合です。
数時間が経てば自然に改善します。
4,群発頭痛:
目の奥の辺りの激痛が起こるほか、目の充血、涙や鼻水が止まらないなどの症状を伴う頭痛です。
20~40歳代の男性に多いです。
症状は1~2か月間ほど毎日のように起こます。
こんな症状があったら危険
以下のような症状が見られたら、迷わず救急車を要請しましよう。
このような症状がある場合は、脳出血、脳腫瘍、くも膜下出血、髄膜炎などが考えられます。
上記の症状がある場合は【寝かせる、歩かせない、 頭を高くしない、頭を揺らさない(特に前に曲げない)】を心掛けましょう。
日常のケアのポイント
糖尿病など生活習慣病が悪化すると、危険な頭痛( 脳血管障害) のリスクが高まります。
食事に気を付け、水分補給や適度な運動など、日常的にできることで予防になります。
施設だけでなく、ご自宅でも気を付けていただくよう、施設からお便りを出したり、施設内にポスターを貼るなどし、ご本人やご家族に注意を促しましょう。
ご本人やご家族への啓発内容を、下記にまとめていますので参考にしてみてください。
高血圧、糖尿病:
脳出血の8割以上は高血圧が原因です。
処方されている降圧剤はきちんと服用しましょう。
血糖値が高い状態が続くと動脈硬化が進行し、脳梗塞のリスクが高まります。
食事、運動、服薬治療により血糖値をコントロールすることが非常に大切です。
適度な運動:
激しい運動は逆に危険です。
毎日数分間、体操などの軽い運動を習慣にしましょう。
適度な運動は肥満防止など、生活習慣病の改善にも効果的です。
食事・水分:
塩分の取りすぎや、タンパク質が不足しないよう注意しましょう。
また、脱水状態になると血液の濃度が高くなり血栓ができやすくなります。
ご自宅でもこまめな水分補給を心掛けましょう。
便秘や温度差にも注意:
排便時にいきむことで血圧が急激に上がります。
それが脳出血の引きがねになる場合があります。
また、急な温度変化によるヒートショックにも注意が必要です。
血圧・脈拍管理:
毎日、ご自宅でも体温や血圧などを記録してみましょう。
病気の前兆を見逃さないように、日ごろの健康管理に気を付け、血圧や脈拍などの変化に注意しましょう。
冬場の胸痛は心筋梗塞を疑う
次に胸痛です。
寒い時期は血圧が上昇しやすく、特に暖かい屋内から寒い部屋や屋外に移動する際の血圧の急激な変動が生じます(ヒートショック)。
よって心筋梗塞や狭心症といった心臓の病気は、冬に多く発症する傾向があります。
心臓の病気は命にかかわる症状です。
心筋梗塞や狭心症は、虚血性心疾患とも呼ばれ、発作に起因して突然死してしまうケースも少なくありません。
しかし迅速に対応することで救命率が上がることが分かっています
また胸痛と言っても色々な疾患と症状があります。
様子を観察するとともに、看護職員などへ以下の情報を伝えましょう。
意識・バイタルに変化があれば救急車の要請を!
高齢者は、上記のような症状が出ない場合があります。
また'痛みを感じにくかったり、それを表現しにくい場合もあります。
意識レベルやバイタルサインに変化がある場合は、すぐに救急車を要請しましょう。
リスクが高く要注意!
次のような方は心筋梗塞のリスクが高いため、特に注意が必要です。
高血圧
脂質異常症
肥満
糖尿病
喫煙者
高齢者のバイタルサイン(目安)を載せます。
下記はあくまでも基準になります。
日々の数値と異なる場合は、目安内の数値であっても要注意です。
体温:35℃後半〜36°C台
血圧:最高血圧150mmHg 未満/最低血圧90mmHg未満
脈拍:60〜80回/分
呼吸:14〜20回/分(呼気・吸気で1回)
個人差があるため、その人の「通常値」を把握しておくことが大切
ヒートショックを予防しよう
ヒートショックとは、急激な温度差により血圧が大きく変動することで失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こし、身体へ悪影響を及ぼすことです。
特に注意が必要なのは入浴時です。
暖かい部屋から寒い脱衣所に移動し、熱い浴槽に入るときなどに起きやすいです。
脱衣所、浴室、浴槽内での事故が多く、ご家庭での注意も促していきましょう。
ヒートショック 8つの対策
湯をはるときに、浴室を暖める: 湯温は37〜40°Cに設定する
食後1時間以上空けてから入浴する
お酒を飲むなら入浴後に
脱衣所も暖めておく
入浴前と入浴後に水分を取る
掛け湯をしてから湯に入る
浴槽から急に立ち上がらない
お湯につかるのは10分以内
ヒートショックのような、冬によくある急変への対応は、別の記事で詳しく解説しています。
もし興味があればこちらもご覧ください。
冬によくある急変への対応「緊急時もしくは事故の対応に関する研修」
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回は、『利用者に頭痛・胸痛の訴えがあった場合の対応』についてお伝えしました。
利用者さんが頭痛や胸痛を訴えた場合、経験がないと焦ってしまい、適切な対応がとれません。
冷静な対応ができるよう、普段から知識を取り入れておきましょう。
介護現場で働き続ける限り、必ずいつか役立つ知識です。
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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