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デザイナー、詩人、ボカロP。ここには書き散らした記事などを置いておきます。日記とエッセ…

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デザイナー、詩人、ボカロP。ここには書き散らした記事などを置いておきます。日記とエッセイ:https://note.com/diary_and_essay / 火鯨研:https://note.com/kageiken_jp

最近の記事

【短編】前菜は惑星スープです〜生命誕生秘話〜

料理の神である高部神は迷っていた。具体的には、次の神々の祝賀会で何の料理を出すかを迷っていた。 「次の祝賀会はゼウス様やヤハウェ様、アッラー様などの有名人も来られる大きな祝賀会。その祝賀会に見合うビッグで斬新な料理を作りたい……」 高部神が宇宙をウロウロしていると、恒星の周りを回る、とある若い惑星が目に入った。 「若い惑星か。これはいい出汁が取れそうだ。これを材料に何か一つ作ってみるか」 高部神はまずその惑星を強火にかけた。惑星は火の海になり、マグマが地表を覆った。

    • 詩的な表現をしてみたい人へ向けた、詩の書き方講座

      始めに今日は皆さんに偉そうに講釈を垂れて、詩の書き方を教えようと思っています。 文章を書いていてちょっとした詩的表現をしてみたい、そもそも詩を書いてみたい、短歌をやってみたい、作詞がしたいなどといった人には役立つ内容だと思います。 詩の定義詩的表現が何なのかについては人によって様々な意見があると思います。以下では、シクロフスキーの異化理論に基づいて、詩的であるとはどういうことなのかについて解説します。 異化理論の最も重要な主張は、日常言語と詩を分けるものは異常性である、

      • 同じ-14LUFSなのにプロの曲は音がバカでかい

        はじめに音楽を作る人なら知っていると思いますが、一般的な動画・音楽プラットフォームにはラウドネスノーマライゼーションという機能が実装されています。ラウドネスノーマライゼーションとは、各楽曲間で聴感上の音量差が生まれないように、音がデカすぎる曲の音量がプラットフォーム側の規定する値まで下げられることです。そしてこの、聴感上の音量値の基準となる単位がLUFSで、これは、人の耳で聴いたときの音量感を数値にしたものです。 例えば、Youtubeであれば-14LUFS、ニコニコ動画であ

        • AIについて各々が好き勝手言っているので自分で調べてみた

          2023年12月17日14時3分 改訂 はじめに最近Sunoという楽曲生成AIが出てきて、自分が属しているボカロP界隈でも、そのメロディのクオリティの高さ、特にフレーズのキャッチーさに多くの人が驚いている状況です。そういった状況で、生成AIについてあまり知識がなさそうな人たち(自分を含む)が生成AIについて、あれこれ好き勝手に言及している印象を持ったので、可能な限り自分で調べてみることにしました。(※素人が調べただけなので、間違っている可能性大です。) 生成AIの定義生成

        【短編】前菜は惑星スープです〜生命誕生秘話〜

          たぶん誰でもできる、喋るみたいにメロディやコード進行を紡ぐ方法

          とりあえず何もわからない初心者は、ドレミファソラシド(ピアノの白鍵)の音だけで曲を作ってください。背景が知りたい方はキーとか調とかで検索すると良いです。 さて、まずはメロディを作ります。メロディ作りのコツは、文を組み立てる感覚でフレーズを組み立てていくことです。皆さんの頭に?が浮かんでいると思うので、詳しく解説します。 文には係り受けという構造があります。皆さんもたぶん学校で習ったのではないでしょうか。復習しておくと、例えば、 $$ 私は明日ピザを作って、彼女と食べる。

          たぶん誰でもできる、喋るみたいにメロディやコード進行を紡ぐ方法

          イノセンス音楽とリミナルスペース

          2023年4月30日23時55分 改訂 この記事は、私が完全に主観でボカロのイノセンスというジャンルについて語ったものなので、妄言だと思って読んでください。 イノセンスという言葉の扱いづらさここで言うイノセンスとは、2017年にPuhyuneco氏が投稿したアイドルという曲を契機に広がっていった、ボカロのアンダーグラウンドシーンにおける音楽ジャンルのことである。しかし、このジャンル分けは、明確な使用ツールや音の体系による区分(例えば、狭義のロックというジャンルはギターとい

          イノセンス音楽とリミナルスペース

          前日から仕込んで作る!火鍋のレシピ

          こんにちは。ここのところ四川料理にハマりすぎて、真っ赤な料理ばかり作っています。 さて、四川料理の王様とは何でしょうか。人それぞれに答えがあると思いますが、私にとっての王様は火鍋です。初めて好人家の火鍋底料を調理して食べたときの、激辛とスパイスと旨味で脳汁がドバドバになった感覚は永久に忘れないと思います。ドラッグとしての料理の、一つの到達点が火鍋なのではないでしょうか。そんな火鍋を香辛料と出汁からじっくり時間をかけて作るレシピがこちらです。 材料(8人分)多すぎる!と思う

          前日から仕込んで作る!火鍋のレシピ

          sin(1)+sin(2)+...+sin(n)って足していくとどうなるのか気になって夜も眠れない

          ある日気になった。 $$ sin(1)+sin(2)+sin(3)+…+sin(n-1)+sin(n) $$ あるいは、 $$ cos(1)+cos(2)+cos(3)+…+cos(n-1)+cos(n) $$ といった感じで$${sin(n)}$$や$${cos(n)}$$を足していったらどうなるんだろう。三角関数の値が正のときはこれらの総和はだんだん増えていって、逆に負のときは減っていくのを周期的に繰り返すわけだから、これらの総和の一般項も、何らかの三角関数+定数

          sin(1)+sin(2)+...+sin(n)って足していくとどうなるのか気になって夜も眠れない

          社会と物語、存在と寂しさ

          2023年4月30日 改訂 物語序論 人間は、特定の物語を信仰することで、この空っぽの世界に価値体系を構築して生きている。例えば、イスラム教という物語を信仰すれば、一日五回メッカの方角に向かって祈るという行為に価値が付与されるし、現代の日本社会において家族という物語を信仰すれば、特定の人間と愛し合って子供を産んで育てるという行為に価値が付与される。そしてコミュニケーションとは、互いが共通する物語のなかのキャラクターであることを相互に認め合い、それを定期的に確認し合う行為全般

          社会と物語、存在と寂しさ