とりなお

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最近の記事

我が子が時計を読めるようになるまで(短い針編)

我が子(4歳)は,ひらがなとカタカナは概ね読めるようです。ところが,時計については,何度教えてもなかなか覚えられず,不思議に思っていました。ところが最近,「我が子が何を勘違いしていたか」が分かり,その誤解を解いてあげたところ,短い針(「何時」まで)レベルですが,読めるようになりました。 1.絵本を読んで覚えようとし始めた まず,最初に我が子が時計を理解しようとし始めたのは,時計の読み方の絵本を偶然手に取ったことからでした。 その本には,「短い針は数字の何と何の間にあるかな。

    • あおり運転について

      最近あおり運転について,うんざりするほど報道されています。立法による対応を求める声が安易に出ますが,本当に立法化すべきなのでしょうか。実際,自民党による改正検討の記事が出たことから,その危険性について書いてみようと思います。 1.「あおり運転」を言葉で説明できますか そもそも,「あおり運転」とは何を指すのでしょうか。「2車線あるのに高速道路でピタッと後ろにくっついて何キロも走行し続け,車を停めると向こうも停めて怒鳴ってきた」などという例を挙げれば,「それは怖い!厳罰にすべき

      • 「契約書」はなんでいるのか。

        「書面に残しましょう」「そんな必要ないよ。大丈夫。」というやり取りは,弁護士をしているとしばしば遭遇します。契約書はどうして作る必要があるのでしょうか。 まず,原則として,意思の合致があれば契約は成立します(一部の契約を除く)。そうであれば,契約書なんて作る必要ないとも思えます。しかし,契約書がなければ,どのような内容(金額や支払時期,支払条件など)の契約を結んだのか,事後的に第三者が見て分かりません。 契約書が重要になってくるのは,何らかのトラブルが生じた時であることが

        • 痴漢被害にあったら安全ピンで刺してもいいのか。

          最近,出所はわかりませんが「痴漢の被害にあったら相手を安全ピンで刺せばよい」という話をよく目にします。今回はこの件について検討してみたいと思います。 結論から言うと「わざわざそんな方法とらなくてもよくない?」というのが私の見解です。まず,安全ピンで刺す行為について法的に検討してみましょう。 相手が誰であっても,安全ピンで人を刺す行為は傷害罪・暴行罪の構成要件に該当する可能性が高いでしょう。だからといって,刺した人がみんな逮捕されたり処罰されたりするわけではありません。それ

        我が子が時計を読めるようになるまで(短い針編)

          公用文における数字の扱いについて

          公用文(国や公共団体が出す文書や法令などで用いられる文章)には独特のルールがあります。横書きの場合,読点は「、」(てん)ではなく「,」(コンマ)を使うといったものもその一つです。裁判所に出す書面なども,なるべくこの公用文にならっているつもりです(これは弁護士によってそれぞれだと思います)。私のツイートなどで読点が「,」コンマになっているのは仕事用パソコンの設定を変更しているからです。つまり仕事をサボっている時の投稿は「,」になっているということですね。 さて,ここからが本題で

          公用文における数字の扱いについて

          実名報道の問題点について

          最近,TwitterなどのSNSでマナー違反した人について「晒す」行為をよく目にします。つまり,個人情報が公開されることについては一般の方もある種の「制裁」だと考えているということです。ネットに載った個人情報は簡単に消せるものではなく,残り続けます。しかも,検索すれば一発でその情報が集約できてしまうのです。 犯罪をしたとして逮捕された人は,全員ではないにしろ,実名報道されます。そして,事件の重大性に関わらず,マスコミが「面白い」と思った事件については,追跡等によって過去の学

          実名報道の問題点について

          判決に対するデモや弾劾扇動への違和感

          先日の性犯罪無罪判決を受けて,判決に反対するデモや,担当裁判官の弾劾を促すTwitterアカウントなど,様々なことが起きています。おそらく,多くの弁護士がそれらに異論を述べておりますが,当事者にはその異論の趣旨が届いていないように感じられます。そこで,今回はこの点について私の見解を説明してみます。 まず,「一般人だって判決に対して意見を述べてもいいではないか」という意見についてです。これは「OK」でしょう。もっとも,判決文の要旨すら読まずに反対することが,そもそもできるでし

          判決に対するデモや弾劾扇動への違和感

          性犯罪判決への批判について

          刑事裁判において,実際に起こった出来事(神の目から見た真実)が100%明らかになるということは「絶対に」ありません。これは性犯罪であろうがなかろうが無関係です。例えば,防犯カメラで一部始終映像が残っていたとしても,犯行に至る経緯や当時の主観が明らかになることはありません。 被告人が自白していたらどうでしょうか。被告人が犯行に至る経緯から当時の主観面について洗いざらいしゃべっていた場合です。この自白を裏付ける証拠も残っていた場合,神の目から見た真実が明らかになったようにも思えま

          性犯罪判決への批判について